みんなのGOTY(Game of the Year 2024)

Game of the Year 2024
おしりぷりこ さん
Fate/Grand Order
突然ですが、皆さんはスマホゲームのオート戦闘機能をご存知ですか?  オート戦闘とは文字通り戦闘が始まると各キャラが適切な行動をとり、プレイヤーが全く操作する事なく戦闘してくれる機能です。例えば家事などやりながらオート戦闘したり、周回が必要な場面でオート戦闘したりなどプレイヤー的にも有難い場面が多いから実装されているんだと思います。ゲームによっては難易度的にオートだと勝てない戦闘もプレイヤーが操作することで勝てたりするので、オート戦闘機能があるからと言ってダメだとは思いません。むしろ手軽に遊べるスマホゲーには必須とも思える機能だと思います。  さて、話を本題に戻します。今年最も多くの時間を費やしプレイして、最も熱くさせ、最も泣いたのはこのゲーム。Fate/Grand Order 通称FGOです。(以下、FGOで統一します。)  2023年夏からダラダラとプレイしていましたが、2024年から第2部までストーリーが進み、そこから加速度的にシナリオが面白くなりました。まだ最新のシナリオまで到達しておらず、ノータッチのシナリオも多いです。それでも自分には最高のゲームでした。 ゲームとしては シナリオ読む→戦闘→シナリオ→時々強化→戦闘 みたいな、スパロボに似ているなという印象で、シンプルな流れです。  スマホゲーには珍しく、FGOには先述した「オート戦闘機能」がないんです。  リリースから9年も経過し、FGOはこれまで数多のアップデートでかなりユーザーに優しいプレイ環境にしてくれました。技術的にはオート戦闘実装も十分に可能だと思います。  でも、そうはならない。何故か?  私にとって今年はその問いについて考える一年だったのかも知れません。  ここで少しこのfateシリーズとFGOのストーリーを解説します。そもそもFGOはFateシリーズと言う大きな枠組みの一作品です。 fateとは。あらゆる願いを叶える万能の願望器「聖杯」を賭けて、過去の英雄や伝説上の存在を「サーヴァント」と呼ばれる使い魔として現代に召喚する魔術師(マスター)達のバトルロワイヤル「聖杯戦争」と、それに関わる人々の人間模様を描く。シリーズによって時代設定や登場人物は異なりますが、サーヴァントとマスターがチームを組んで戦う所は共通しています。  サーヴァントを具体的に言うと、英雄として名高いアーサー王やギルガメッシュ、神話に出てくるヘラクレスやアキレウス、偉人であるエジソンやナイチンゲール、日本の織田信長や新撰組もいます。有名所からマイナーまで、現在はFGOにおいて約400騎以上のサーヴァントが実装されています。  偉大な英雄であるサーヴァントとチームを組むマスター達も強者ぞろい。元殺し屋や天才魔術師など、サーヴァントに頼らずに直接自ら戦うマスターも多いです。  それに対してプレイヤーである主人公の説明は以下の通り。「48人のマスター候補のひとりであり、"才能ある一般人枠の10人"として呼ばれたものの、魔術回路を起動したことさえない完全なド素人。実は魔術師の家系だったり、出生や才能が特殊だったり……などという事もなく、偶然魔術回路を持っていただけの素人である。」そう、圧倒的な弱者であり、力持たざる者としてプレイヤーはいるのです。当然、戦闘には参加しません。  FGOの物語はそんな弱い主人公であるプレイヤーが様々な時代や世界を旅して、行く先々で出会うサーヴァントと協力し、世界を救う為に翻弄する。そんな話です。主人公に戦う力は有りませんが、「マスターの為に」と英雄達が手を貸して戦ってくれるのです。そんな彼らへの指示がAIでのオート戦闘?いや、あり得ない!恐れ多い!  そもそもの話ですが、せっかくガチャを回して、お目当ての推しキャラをゲットしたのに、「なんかいい感じに適当にやっといて」的なオート戦闘なんて許されない。ましてや主人公が最弱だとしたら、せめて英雄たる彼らの近くで指示を出すこと(スマホの画面ポチポチすること)くらいやらないとっ!って思います。  これはFGOの運営側が「プレイヤーの快適性よりもゲームの世界観を尊重した!」と、言えると思います。でも不便さはあるもののそれを補う程の面白さがあるからこそFGOというゲームは長年続いてきたのだと思います。だからオート戦闘無くても全然構いません。むしろオート戦闘があると、やはり世界観の崩壊を招くと思うので、今後もやらないで頂きたい。あくまで個人的な意見ですが。  と、ここまで長々とFGOについて語ってきました。歴史好き神話やファンタジー好きには是非おすすめしたい作品です。  私は小学生の娘とこのゲームを遊んでいるのですが、彼女もとてもハマっており、先日「パパ知ってる?アストルフォはイングランドの王子なんだけど、友達のローランが失恋しちゃったから元気づけようとして女装しているんだよ!」と、言ってきました。  親子ともども大好きです❤️
Game of the Year 2024
Lava Yuki(ゆうき・らわ) さん
ソフィーのアトリエ2 〜不思議な夢の錬金術士〜
今年に一番没頭したゲームと言えば、やはりソフィーのアトリエ2 〜不思議な夢の錬金術士〜でした! 一作目である「ソフィーのアトリエ」はずっと昔にPS VITAでプレイしたことがあるのだけれど、それ以来アトリエシリーズに出す機会が中々なかったのです。でも、今年中アトリエシリーズが何度もセールになっていたので、黄昏シリーズを始め、不思議シリーズとライザを全部トロコンまでやり込んでいてどれもすごく楽しかったが、一番好きだったのはソフィー2でした。 ストーリー: 不思議シリーズの最後にプレイした作品だったけど、時系列はソフィーとフィリスの間です。も2022年に発売された作品なので、色々な場面で洗練され、ストーリーもしっかりと描かれていて他の作品よりソフィー2の世界へ完全に吸い込まれちゃったんです!一番好きだったところは、プラフタをより深く知ることができるところでした。他作品で明かされなかった彼女の過去、幼い頃の性格、そして錬金術師になった経緯などが丁寧に描かれているので、プラフタが好きな私にとってはすごく面白かったです。前作ではソフィーの師匠をやっていたけど、なぜその錬金術の知識を持っているのかは明かされていなかったし、ずっと気になっていました。人間から本、本から人形になったわけだし、本当に秘密の多い存在ですね。 キャラクター: 今作のパーティメンバーの全員が大好きでした。皆は中々個性的でお互いの掛け合いやユーモアが凄く面白かったと思います。元騎士で用心棒として活動しているディーボルトが一番好きだったかな。こういう真面目で冷静なキャラがタイプだし、戦闘でもめっちゃ強くてガリ勉っぽい見た目の割にかっこよかったです。ムードメーカー商売員のアレット、俺様用心棒のオリアス、美人のお姉さんタイプのラミゼル、可愛くて芯の強いソフィー、そして真面目でしっかりとしているプラフタ、魅力的なお揃いだったなと思います。キャライベントやクエストも豊富でやり甲斐があって面白かったです。 パーティ以外の新キャラの皆もかなりユニークで全員好きでした。ノームは中性っぽい働き者の男子で、「水晶の輝き亭」というレストランでウェイターとして働いています。カティは美人のお姉さんタイプでノームの上司、そして依頼の掲示板も管理しています。仕事をいつもサボっている感じでレストランの事を殆どノームに任せているけど、歴史などを記録するのが意外な趣味です。ピリカは前作のコルネリアと同じ種族で、自分のお店を営みながらアイテムの複製と補充をやってくれるんでソフィーたちにとっては重要なサービスですね。 調合: 今作の調合システムはソフィー、フィリスとリデイ&スールの要素を取り入れて、最高の調合システムが作り上げられた感じで凄く楽しくてやり甲斐があります!パズルのような仕組みで他の作品より難しくてちょっと複雑だなと思っていたけど、コツさえ掴めばすごく楽しくて満足感も高い。強力なアイテムを作るのが楽しかったし、ちょうど良い歯応えがあったからこそ調合の楽しさが増したと思います。触媒には「通常パネル」と「リバースパネル」という2種類があって、パネルと触媒によって調合パズルの難易度が変わります。リバースパネルには使用できないところは多くて難易度が高いけど、より強いアイテムを作れるので、終盤になるとほとんどリバースパネルを使っていました。 レシピ発想は前作と似ていてとても分かりやすかったです。プラフタでも調合できるけど、共通レシピの他にソフィーとプラフタそれぞれにしか作れないレシピがあって錬金術レベルも別々になっているので、二人で協力し合っているってのがすごく良かったと思います。 探索: ライザ程ではないが、過去作品より各エリアがかなり広くなっており、オープンワールドに近いかな。ワールドマップからイベント、素材、出現する敵、強敵、ランドマークやキャラのイベントがちゃんと表示されているので、見逃す心配はありません。他作品にはなかった大採取という新しいシステムがあって、特定のポイントでちょっとしたミニゲームをやることで普通より良質の素材を採取できるので、中々いいシステムだなと思いました。 道具は複数あって(杖、鎌、ハンマー、虫取り網、パチンコ、つるはし、釣り竿)、道具によって違う素材を採取できるんで色々試したりするのが面白かったです。温室栽培システムで種を埋めることでレアな素材もゲットできます。種類は複数あり、種によって違う素材をもらえるので、やり込む要素としてはよくできているなと思いました。 戦闘: 戦闘はターン性なんだけど、非常にシームレスで前衛(3人)と後衛(3人)と交代しながら戦っていく感じです。サポートガード、ツインアクション(TPを消費して二人で攻撃すること)、そしてデュアルトリガー(二人で必殺技を行うこと)といった要素があってすごく楽しくて爽快感がありました。育成に関しては、AP(アビリティポイント)を消費することで、キャラクターのパラメータやスキル、採取レベル、カゴの増加、依頼補修アップなどののアビリティを修得できます。自由に振れるけど最終的には全てが取得可能なので、それがありがたかったです。 デザイン・音楽: キャラクターデザインやグラフィックが洗練されていてとても綺麗になっていると思います。音楽は良かったし、CGも可愛かったです。プラフタのうさぎ耳は真面目な彼女にしてはちょっと意外だったけど、彼女の幼い姿と性格にはすごく納得できました。 プラフタをフィールドでも操作できれば良かったけど、プラフタのDLCを購入すればできます(DLCだけ、本編ではない)。私は購入したんで3時間未満で結構短かったけど、本編のちょっと前の話になるので、プラフタがどうやってこの世界に入ってきたのか、そしてアトリエをもらった経緯などを色々知りことができます。プロローグのような感じかな。マップは一つしかないけど、デザインがスイーツの世界のような感じでとても可愛いです!本編では新しいレシピと素材も入手できるし、このエリアを本編からでも入れるようになるので、自分としては買って良かったなと思います。 総合的:5星 調合、ストーリー、キャラクター、探索、戦闘、デザインや音楽がどれもよくできているんだなと思って、まさにアトリエシリーズの傑作だと思います。アトリエシリーズは未プレイの方にはソフィーのアトリエと合わせてプレイするのがおすすめです! ストーリー:5星 キャラクター:5星 戦闘:4星 調合:5星 探索:4星 音楽:4星 グラフィック:4星
Game of the Year 2024
ファイ さん
ステラ―ブレイド
主人公イヴが所属組織の任務を全うしようとする忠誠心、彼女の人の役に立ちたいと思う直向きさ、コロニーから降りてきて怪物と戦うイヴが地上の住人から「天使」と崇められている関係性…どことなくゴーストオブツシマの境井仁と似たような境遇にあると感じました。 基本アクションやスキルビルド、QTEのような操作に真新しさは無いものの総じて手触りは良く、ストレスを感じることなく遊べた感じです。 ストーリーを進めるごとに、何故イヴが送り込まれた星に怪物が跋扈しているのか明らかにされてゆくその展開にも引き込まれてゆくほどに構成がよくできていました。 SNS等ではキャラクターの容姿も話題になりましたね、それもそのはずで、とにかく道中で手に入るコスチュームの種類が多くあり、さらに髪型も変更できちゃったり、メガネのフレームも細かいディティールで表現されてるので、それを見るだけでも時間が高そうになります。 運営もユーザーに良心的で、発売後も細部のゲームバランス調整、さらなるコスチュームの追加、設定の追加、NieRオートマタとのコラボも追加されて、アクションゲームとしてはすごいゲームボリュームになってます。 僕は現在2周してまだ真エンドと追加コンテンツ未プレイですが、プレイ時間は60時間を超えています。 フォトモードも追加されたので、NPCとのツーショットとかも撮れるのも魅力ですね。 BGMはイベントシーンと戦闘シーン、フィールドでのメリハリがハッキリしており…特に戦闘BGMはハイスピードなアクションにぴったりのアップテンポの曲調ですごくお気に入りです…特に終盤で登場するとある人物との戦闘曲はこの曲調でやるの!?という驚きもありましたが妙な中毒性がありました。 唯一…唯一不満点を挙げるとしたら、クリア後のセーブポイントはラスボス手前となり、アイテムコンプリートのためには周回プレイを余儀なくされることでしょうか…これはエンディング分岐のフラグ条件が関わってくるためであれば致し方ないのかもしれませんね。 社会的な関係性についてが話題でしたが、是非未プレイの方にもやってみてほしい作品です
Game of the Year 2024
ジョン@営農とサブカル さん
Project_Y: Working Title
本作は、「聴いたら呪われる怪談」にまつわるホラーゲームだ。 ゲーマーでも、知っているひとはおろか、やっているひともいないであろう課金のスマホゲー(2024年11月時点で900円)である。 もともとは、Meta Quest用VRゲームとしてリリースされ、今年の10月にiOS用にリリースされた。 ゲームとしてやることは、どうも「聴いたら呪われる怪談」について取材していたオカルトライターのY(仮名)が、なんでかしらんけど360度カメラで撮影した映像を調べていくことだけ。 プレイヤーはその360度カメラの映像を、スマホを実際にその方向に向けながら、映像に写っているもの、語り手やYが、撮影当時に気づいていなかった怪異を探していくことになる。 プレイヤー(おれ)は、どこでこんな動画を手に入れて、なんでこんなものを見る羽目になったのかはわからない。(たぶん、App Storeで900円で買ったから) けれど、見てしまった以上、プレイヤー自身も、この動画を撮影したYと同様に「聴いて呪われた」状態になってしまう。呪いを解くためには、Yが調べたことをもとに、Yと同じように動画のなかに入り込んだ怪異を発見し、それを見なければならない。 これが、結構、怖い。 FANZAで大人向けの3D映像を見られたことがある18歳以上の諸兄には分かっていただけると思うが、見たいものを見たいアングルで好きなだけ見るのはとても楽しい。 だが別段、見たくないおばけや怪異を自分で探して見続ける、という行為は反転して、ホラーを見慣れている私でも、まあまあ嫌な気分になる。出てくる怪異も、ぼんやりと存在感をもって現れてくる「品の良い出方」をする怪異で、なおのこと、じっとりと怖い。 そして、このゲームがホラーとしてとても優れているのは「使っているメディアの特性を使って、端末ごと呪ってくる」という手法をしばしばとるからだ。 本作は、VRゴーグルでプレイするよりもiOSの端末でやるほうが恐ろしい、と私は思う。 VRゴーグルは映像に没入できるが、ゴーグルを外せば怪異は消える。けれど、スマホは、怪異が現れたことによって、スマホごと呪われたような気がしてしまうのだ。 そして、本作のすごいところは、この怪異が引き起こす「呪いによる身体の異常」はゲームをしていると実際に「プレイヤー自身の身体にも起こる」。 私の身体にも、Yと同様の不調が起きた。 幸いにして、私は無事生き延びて、こんなレビューを書いているわけだが、このゲームはメディアを通して、ほんとうに「ひとを呪う」ということに、半ば成功している。意図したものだとしたら、ほんとうに、よく出来た「呪いのビデオ」だと思う。 ただ、このゲームはその手法を使っている結果、ホラー作品としては「反則だ!」と思うようなことをやってのける。 詳しくは書かないが、私は、ゲーム中にスマホをぶん投げる羽目に何度か陥ったし、夜中に「ふざけんなよ!」と叫んだりもした。 なかなか40代のおじさんを叫ばせたり、スマホをぶん投げさせたりするホラー作品はないよ。そして、あとでスマホを取りに行くときの虚しさは格別よ。 ホラーがお好きな方は、ぜひともやってみたら良いと思う。 基本的に褒めるところのほうが多いホラーゲームであるが、気に食わない点がいくつかある。 本作は多くのモキュメンタリーホラー作品がそうであるように「説明くさい」。 Yはけっこうカメラ目線でヒントを言う。Yの職業が、オカルト系動画配信者なら、語りかけるのも納得なんだけど、なんか変な感じがした。役者さんは迫真の演技をしている分、説明っぽさが際立ってしまって、なんかな、と思ってしまう。こう思うのは、私が怪談に本当っぽさを求めてしまうからなのだけど。 怪異も品が良いほうではあるのだが、後半にいくほど「お調子に乗ってくる」。 具体的には、この作品のお化けは、次第にジャンプスケアをやるようになる。スマホのジャンプスケアはほんとうにひどい。私が叫んだり、スマホを投げたりしたのも、だいたいこれのせい。 いたいけなおじさんになんて酷いことをするのか。 想像してほしい。 FANZAの3D大人向け動画を見ている最中に、カメラを向けた先に、マジモンの幽霊が写っていたとしたら。そして、その幽霊が画面から飛び出んばかりに見ているこちらに向かってきたとしたら。「愚息もしょんぼり」ではすまないことになる。ジャンプスケアがなくてもちゃんと怖いのに、どうしてこんなひどいことをするのか。 そして、モキュメンタリーであることをぶん投げる映像が後半に入ってくる。 この辺は、昨今のホラー映画のモキュメンタリー作品もやっていることではあるので、流行りなのかなーとも思うが、あんまり私の好みではない。この辺は、ベタな、御愛嬌の部分だな、と思わなくもないが、ちょっと勿体無い感じがした。 色々書いたけれど、ホラーゲームとしてはもちろん、映像の体験としてとても新しい経験であった。 これを体験する料金として「900円」はとても安い金額だ。プレイ時間も5時間を切るくらい短いので、時間のないひとも、ぜひ試してみてほしい。
Game of the Year 2024
お砂糖2 さん
Kingdom Come Deliverance
フェイチャンネルで見てずっとやりたかった中世ボヘミア村人体験RPG、今年はこれといまやってるドラクエの2タイトルから厳選してお砂糖的GOTYに選びました! 来年発売予定のキングダムカムデリバランス2も楽しみです。サンタさん、プレステをください。
Game of the Year 2024
Kumu@ゲー旅 さん
Detroit:Become Human
昨年、ケイト・デヴリン氏が書いた『ヒトは生成AIとセックスできるか』(新潮社)という一冊に目を通し、衝撃を受けた。タイトルだけでも十分に刺激的だが、本書では人間とAIの関係性が深く掘り下げられている。 もし2038年の未来にアンドロイドが当たり前の存在になったら、私たちの社会はどう変わるのか? そんなことを考えながらプレイした『Detroit: Become Human』は、現実とSFの境界線を問い直すゲーム体験だった。 2023年ごろから、chatGPTをはじめAIの進歩が目にみえる形になってきた世界の中にいると、ありえない話ではないかもと思えてくるのだ。レストランに行けば注文した食事を配膳してくれるロボットはすでに実用されているし、オフィスビルに行けば業務用のルンバのようなロボットが稼働している。 『Detroit: Become Human』の舞台は2038年のデトロイト。 デトロイトはアメリカの自動車産業の中心地として栄えた都市だが、産業衰退により失業率が急増し、2013年には財政破綻した。しかし、この歴史を持つデトロイトが『Detroit: Become Human』の舞台となることで、現実の課題と未来像がリンクして描かれている。 プレイヤーは、2038年のデトロイトで3体のアンドロイドを操作しながら物語を進めていくことになる。  ①コナー:警察の捜査をサポートするために製造された男性型の最新式試作アンドロイド  ②カーラ:女性型アンドロイドで、料理や掃除、育児など人間の家事をサポートするためのモデル  ③マーカス:男性の姿をしたアンドロイド。画家であるカールの介護とアシスタントを務めている 物語は、コナーの場面から始まる。 本来、人を傷つけるはずのないアンドロイドにバグが生じて、家族のお父さんと駆けつけた警察官の二人を射殺し、子供を人質に立てこもっているのだ。子供を救えるかどうかは、すべてプレイヤーの判断に委ねられている。 アンドロイドが登場する映画や小説は古今東西、さまざまな作品が存在するが『Detroit: Become Human』はアクションアドベンチャー。不意に訪れるQTE(クイックタイムイベント)や、限られた時間の中で命の選択を何度も迫られる。 善意の行動か、悪意の行動か。 そもそも善悪ってなんだ・・・。 例えば、コナーの最初の任務では、人質となった少女を救うための交渉が描かれる。暴走したアンドロイドの不安を和らげるため、私は嘘をつき、信頼を得た。そのすべては、彼女の命を救うため。そして最後には、別の警官のライフルによってアンドロイドは殺された。 人間からすれば、アンドロイドに仕事を奪われ生きる意義を見いだせなくなっている。 アンドロイドからすれば、人間から理不尽な要求を突きつけられる。 映画さながらの展開にも関わらず、物語は多方面に分岐する。 プレイヤーが100人いれば、100人とも違うゲーム体験になるだろう。 緊迫感のある物語に引き込まれる理由はいくつも存在する。 モーションキャプチャによる体の動きはもちろん、顔の微細な表情すらゲーム内で再現されている。ぜひゲームを遊んだら、登場人物たちの表情からあなたが何を感じるか意識してみてほしい。 また3体の主人公のアンドロイドごとにBGMが割り当てられていて、特典映像ではそのことを「音のカラー」と表現していた。アクションアドベンチャーなのだから、動きや物語(セリフ)で、感情を表現することはわかるが、ゲーム内の音楽からもプレイヤーのゲーム体験を盛り上げてくれる。 世界観の作り込みも素晴らしい。 「もしアンドロイドが実用化されたら?」 ドラえもんのような、ゆるくふわふわした世界ではない。 生きる希望を見出せない人間たちはアンドロイドに嫌悪感を持つ。 しかし、アンドロイドがいないと、もはや生活は成り立たないのだ。 失業率30%を超え、格差の拡大は止まらない。 富める者は財を持て余し、貧する者は家でアルコールを飲むか、ドラッグに溺れるか、アンドロイドに暴力を振るうか。そんな人間が多数存在する世界は、脈々と受け継がれてきた人類の先祖たちが望んだ世界なのだろうか。 倫理問題においても、ゲーム内ではトロッコ問題を応用した一つの仮説が提示されている。 カメラで人間を認識し、その人物の性別・年齢・職業・子供の有無などで人間同士を比較し「人間の価値」を瞬時に判断する。例えば、医療に従事している人間。子供、女性などは、価値が高いと判断されるわけだ。 もしAIで自動運転される車が暴走したら? ・右にハンドルを切ればAにぶつかる。 ・左にハンドルを切ればBにぶつかる。 AIは上記の基準に基づき、瞬時に『AとBのうち、価値が低い方』にぶつかる判断を下すのだ。AIはトロッコ問題に対する倫理の問題もクリアしているのだ。 この基準に照らし合わせると、私自身は価値が低いと判断されてしまうのだろう。(おいおい、俺が10年後に世紀の大発明をする可能性は考慮されないのかよ笑) 本作が発売されたのは2018年と6年前のソフトだ。 あなたは友人から6年前のソフトを勧められたら、遊ぶだろうか? 私ならやんわりと受け流すかもしれない。 中年になり、限られた時間や残された時間を考えると、中途半端なソフトで遊ぶ時間がもったいなく感じるのだ。ここ数年で言われているタイパ(タイム・パフォーマンス)の話ではない。セネカが『生の短さについて』で語るように、人生は有限だ。 では『Detroit: Become Human』を遊び終えた時、私は何を感じたか? 今の時代こそ、多くの人に遊んでもらいたいと感じた。 良いゲームとは何か? 私にとって、良いゲームとは「ただの娯楽ではなく、自分の価値観や考え方に深い影響を与える作品」だ。『Detroit: Become Human』は、ゲームを通じて、AIとの共存や選択の倫理を問い直される体験は、今後の私の心に長く残るだろう。 私が生きている間には、『Detroit: Become Human』の中に登場するようなアンドロイドは実現しないかもしれない。しかし、300年後は?1000年後は? テクノロジーを使い、ヒトが不要な世界にするか。 テクノロジーを捨て自らの足で歩いて生きていくか。 テクノロジーとヒトが共存する世界を模索していくか。 あなたが描く未来は、どのようなものだろうか? 『Detroit: Become Human』を通じて、あなた自身の答えを探してみてほしい。 このゲームは、きっとあなたの中に新たな問いを生み出してくれるはずだ。
Game of the Year 2024
くろねこさんだる さん
inside
playdead's insideの感想。 今年新しいゲームをそんなにやっていなかった。。。反省。 人生と人間社会の不条理がテーマです。 大人や上司に従い周囲に合わせたり、最後はカフカの「変身」のような老害モンスターで暴走したり。 真エンドの背後のヘッドギアの人物。 結末を全て知りスイッチを切る主人公。 この主人公は私たちです。 我々はどこから来たのか。自分は何者か。我々はどこへ行くのか。 人生の答えがわからない。そんなメタ的恐怖。 ストーリーは私たちに哲学的に問いかけます。 それでも考えることをやめないで。 ちっぽけな人生にヒーローや超人のような主人公はいません。 それでも結末に絶望しないで。 道筋で出会った出会い、驚きと感動、達成の喜びを。 この世界の美しさを。 どうか探し続けてください。 本当の人生は一本道ではないんですから。 そんなゲームです。
Game of the Year 2024
🐉ドラゴンユズ🐉 さん
ペルソナ3 リロード
■原作への愛が生み出した偉業 P3Rは原作を非常に忠実に再現している作品だ。原作との違いを言葉で表すと「戦闘システムとグラフィックスを最新のものにしたペルソナ3」である。では、この作品の価値は戦闘システムとグラフィックなのか?と問われると、答えは”否”である。 今作が成した偉業は、原作の世界感の再解釈と、見事なアートワークへのアウトプットである。 原作より、ペルソナ3という作品のテーマは「死という生命には抗えない運命」と「命の意味」であり、これらのテーマを学園物のヤングアダルトフィクションに落とし込んだ作品である。そして、今作P3Rのリメイクチームはこの世界感を爽やかな青と再定義したのである。 P3Rは全てが青い。ロード画面やメニュー画面などのUIから、キャラクターの影に至るまで、とにかく全てが青いのだ。そして、青を基調とした美しいアートワークが、プレイヤーを儚くも爽やかな世界観に浸らせるのである。PS2版も青ベースのUI構成ではあったが、ここまで圧倒され印象に残るようなものではなかった。 他のゲームでは見たこともない挑戦的な試みであり、原作への深い理解と愛情が感じられる素晴らしい世界のリメイクだ。 ■メニュー画面に於ける革命 今まで数々のゲームをプレイしてきたが、”メニュー画面を動かすのが楽しい”という経験は初めてだ、これはもう革命でしょうが。今後他のメーカーは間違いなく参考にするであろう秀逸なデザインである。ゲーム業界に新たなマイルストーンが置かれる瞬間を感じ、感動を覚えた。 ■快適なゲームプレイへの探求 P3Rをプレイする前は「戦闘システムはペルソナ5準拠」となぜか思い込んでいたのだが、本作の戦闘システムはペルソナ5をベースにさらに進化している。特に素晴らしいのがワンボタンでの弱点スキルの呼び出しである。アナライズ済みの敵への有効打を持っている場合、(RB)を押すだけでWEAK攻撃を呼び出すことができるのだが、ペルソナシリーズは「弱点を突いて総攻撃」が戦闘の基本であり、このショートカットが追加されただけで、戦闘のテンポが大幅に改善されている。 今作から追加された、“テウルギア”(ゲージを溜めて打つ必殺技)も素晴らしい。属性相性が悪く、有効打が無いような局面でも、耐性無視で大ダメージを与えられるため、戦闘がぐだぐだと長引くことがない。 しかし、戦闘に関しては残念な部分も残している。これは原作を忠実に再現したが故の、原作から地続きの問題点であるが、先ず敵のデザインが序盤から最終盤まで変わらず退屈だ。数種類のデザインの敵が色違い(なんなら色すら変わらない者もいる……)で永遠に最後まで使いまわされる。見た目がほぼ同じなのに出てくる度に弱点属性が変わっているのもどうにも納得感がない。 また、タルタロスと呼ばれるダンジョンの探索も単調だ。ダンジョン内では特にストーリーなどはなく、替わり映えのしないマップを上を目指してひたすら歩くだけなので、単調に感じる。終盤は敵をかわしながら、階段にダッシュするだけのゲームになってしまった。 ■原作から変わらず素晴らしいストーリー ストーリーについては原作を忠実になぞっているが、刷新されたグラフィックスとペルソナチームが作り出す素晴らしい映像表現により、原作よりさらに没入度の高い体験ができる。特にエンディングムービーの美しさは圧巻だ。 終盤に向けて加速度をつけて走り出す残酷なストーリーはプレイヤーの心に強烈な傷跡を残す内容になっている。少年少女達、命を持たない戦闘兵器、そして勇敢なわんこが、死という運命にどのように立ち向かい、命にどのよう答えを見出すのか、是非とも多くの人にプレイしていただきたい傑作だ。
Game of the Year 2024
ゆーが さん
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
最後に買ったゲーム機はNintendo64。かれこれ20年ほどゲームから離れていました。 ふと、またゲームを遊びたくなり、年初にswitchを購入。空白期間を埋めるべく、名作と呼ばれるタイトルを新旧問わず遊びました。久しぶりのゲームの世界は驚きと発見に満ちていて、充実した一年を過ごせました。 その中で一番を選ぶなら、月並ですが「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」になってしまう。 映像、音楽、システム、シナリオ。全てが調和し、無駄なものが一切ない美しさ。そして、プレーヤーのために残された余白と、そこに秘められた無限の可能性。 ハイラルでの胸踊る冒険は、今年の思い出の一部になっています。 ひろった武器がすぐ壊れたこと。 盾でスノーボードをしたこと。 ガーディアンの光線を弾き返したこと。 巨大迷路を空から攻略したこと。 無人島で裸にされたこと。 ライネルに初めて勝った日のこと。 バナナとドリアンを死ぬほど食べたこと。 流れ星を探したこと。 ゼルダをなかなか助けに行かなかったこと。 温存した武器を結局使わなかったこと。 ガノンを討伐した時、寂しくなったこと。 リンクのように20年間眠っていた私に、ドキドキとワクワクを思い出させてくれた。 そんなブレワイが私にとっての「2024 Game of the Year」です。
Game of the Year 2024
Yoshi さん
Red Dead Redemption 2
狂気を感じる世界の作り込み、 主人公アーサー属するギャングの一団はその世界の中で生き抜くためにもがいていく。 彼等の物語の果てに何が待つのか。 今まで遊んだゲームの中で最も心に残るラストでした。