家に帰ってきて1時間あれば誰と何をしよう。この問いには様々な答えが返ってくるだろう。
家族と過ごす。1人で過ごす。友人と過ごす。僕はこのゲームが発売されて以降、こう答えている。
「知らない誰か2人と夜を渡っている」 と。
この作品、「ELDEN RING NIGHT REIGN」(以下ナイトレイン)
はフロムソフトウェアの名作、「ELDEN RING」(以下エルデンリング)のマップとエネミーとシステムを使用したローグライトゲームだ。
元々オープンワールドゲームだったエルデンリングをぐっと縮小して、限られたキャラクターや限られた時間、限られたマップ内で敵を倒し、レベルを上げ、更なる強敵と待ち受けるボスを倒す。
これだけである。しかしこのゲームは今年の僕のゲーム時間の大半を奪ってしまった恐ろしく罪深いゲームである。
エルデンリングでは一部を除いてただひたすら、自分と向き合うゲームだった。広大なマップを隅から隅まで探索し、様々な武器や魔法やアイテムを駆使し、強大な敵と戦い続ける。それはそれで非常に楽しかったのだが、ナイトレレインはエルデンリングと同じ部分が大半であるはずが全く別のゲーム体験を与えてくれる。
前述した縮小したマップもアイテムとエネミー、環境の一部をランダムに変化させる事で毎回違う攻略を楽しめる。
主人公である夜渡りたち6人もそれぞれ個別のストーリーと待機場所での何気ないセリフによって非常に魅力的なキャラクターとして仕上がっている。
限られた3日という時間制約も1プレイ約45分という絶妙な配分で準備に10分、1プレイ45分、反省5分とこれでちょうど1時間である。そしてその1プレイの間に拠点攻略、小ボス撃破、探索、中ボス撃破、プレイヤーの強化、大ボス撃破、というエルデンリングで得られた報酬と快感が詰め込まれている。
そしてこのゲームの恐ろしいところは5分の反省の直後にある。「次は、もっと上手くやる」という期待と希望を抱けてしまう。そうなるともう一周、もう一周と夜を渡り続け、気がつけば夜が明けてしまう事もある。
アップデートや情報の出し方も実に良好だった。武器や魔法、技の調整や各種ボスの調整も少しづつ行われ、絶対のセオリーというものがエンドコンテンツに拘らなければ特にない。かといって簡単でもない。何度も、ライトに挑めば良いのだ。
魅力的なキャラクターとそれぞれの関係性でユーザーの心を掴みつつ、夜への挑戦を常に新鮮なものに保ちつつ、常に報酬と快感が得られるゲームデザイン。僕はこのゲームに惚れ込んでしまった。何なら、これを書き込んでいる今現在もDLCが発売された直後であるため、夜を渡りたくて仕方ない気持ちを抑えている。
僕の今年のYOURGOTY大賞に選ばれるのも納得である。このゲーム以外まともにやっていないのだから。そして来年もこのフロムソフトウェアという時間泥棒はまた別のジャンルでゲームを出すというではないか。来年も恐ろしく、それでいて楽しみである。
それでは、夜を渡ってきます。