みんなのGOTY(Game of the Year 2025)

Game of the Year 2025
丸もち さん
ドラゴンクエストI&II
 皆さんご存知ドラゴンクエストシリーズの原点であるⅠとⅡをHD-2Dでリメイクした作品である『ドラゴンクエストI&II』。  本作の感想を語る前に私のドラクエ遍歴について簡単に述べておく。初めてドラクエに触れたのは小学校低学年の頃、普段ゲーム否定派である父が大学生時代にプレイしていたとのことで珍しく買ってくれたWii版の『ドラゴンクエストI・II・III』を兄がプレイしている横で付属していた攻略本をボロボロになるまで読み込んでいた。その後は3DS版『XI』や、昨年の『III』HD-2Dリメイクを経て、ロトシリーズの物語をすべて把握した上で本作をプレイした。その私が感じたことを述べていきたい。  まず、戦闘面について述べていく。特筆すべきは、オリジナル版にはなかった要素の追加により、戦闘の選択肢が格段に増えたことだ。特に『I』においては、原作の「1対1」から「1対複数」が基本へと変更されている。これにより、単に「たたかう」を連打するだけでは雑魚敵相手でも苦戦を強いられるようになった。しかし、これが理不尽かと言えばそうではない。ボス戦においては相手の攻撃パターンや弱点を把握し、適切な特技や呪文によるバフ・デバフを差し込むことで優位に立ち回ることができる。死んで覚え、対策を練って挑むその手触りは、まさに「JRPGソウルライク」と呼ぶにふさわしい緊張感と達成感があった。また、この戦略性の向上のおかげで、レベル上げという単純作業をそこまで強制されなかった点も、現代のゲームとして非常に快適だった。  続いて、探索面について。本作では、探索によって「呪文と特技の巻物」という新要素が入手できる。これにより「レベルアップで強くなる」だけでなく、「世界を隅々まで歩くことで強くなる」という新たな動機づけが生まれた。個人的に嬉しかったのは、昨年の『III』リメイクのクリア後要素であったような、ちいさなメダル等の収集要素がほぼ必須ではなくなった点だ。義務感や作業感の強い探索が減り、純粋に冒険としての探索を楽しめるバランスに仕上がっていた。  最後に、物語について触れたい。ここからはネタバレを含むため、未プレイの方は注意してほしい。 『I』『II』ともに、オリジナル版では語られなかった出来事への「理由付け」や補完が丁寧になされており、物語の解像度が圧倒的に上がっていた。オリジナル版の内容を熟知しているからこそ、まさかこう来るとはと驚かされる意外な展開も用意されており、懐かしくも新しい体験ができた。そして何より本作のストーリーを評価するうえで欠かせないのが、『II』の真エンディングである。これがロトシリーズの全てを総括する、見事な結末だった。あの結末を見た瞬間、小学生の頃、ドラクエに触れたことで始まったロトの勇者との私の旅が、最高の形で報われたと感じた。  過去の思い出を大切にしつつ、それを超える感動を与えてくれた本作を、私のGOTYとしたい。  
Game of the Year 2025
コンボイさとみ🍙 さん
リングフィットアドベンチャー
私が今年1番お世話になったゲームはなんといってもリングフィットアドベンチャーです。 2025年7月、2人目出産を終えた私の体はひどい高血圧に悩まされていました。 地区の保健センターで栄養士さん保健師さんと相談の上「運動と食事制限で体重を今から5kg落としましょう!」ということに しかし今年の夏は大変な猛暑。 生後1ヶ月の子供を連れて運動なんて…と思っていたらコロナ禍に買ったリングコンがこちらを見ている! これなら家の中でもできるな… 確か、リングフィットアドベンチャーはプレイヤーの体力に応じて少ない回数で運動ができたな…と思い出し4年ぶりに起動! 久しぶりに会ったミブリさんは運動をサボっていた私を叱咤することなく、迎え入れてくれました そこからは地道なトレーニングを…と思いきや、各運動の合間にリングの精から 「ヨシヨシ!」 「ナイス!」 「いいね!」 「その調子!」 と応援の掛け声が!これが励みになりました。 リアルな筋トレだと回数をこなしても誰も褒めてくれないので… ここでリングフィットアドベンチャーのシステムについておさらいをしますと 各コースを進むと敵が現れます。 敵とのバトルはターン制で、プレイヤーの攻撃手段として腕・腹・足・ヨガの4種(4色)に分けられた属性攻撃を組み合わせて戦います。 この時に事前に設定した自分の体力を考慮した(ゲーム内では運動負荷と記されています)トレーニング回数をこなすとダメージを与えることができます。 レベルが上がり、強力な一部のトレーニングを習得できると3体、5体の全体攻撃が可能! 1体ずつチマチマ倒さなくて良くなるのです! 一度に5体をぶっ飛ばすのは快感〜!筋肉も喜んでるよ! 物語が進むと、敵とリングの精の因縁など気になる要素も… ストーリーはありがちなものですが、だからこそどんどん進めたくなります。 さて、このレビューを書いている今実際に体重がどのくらい落ちたのかというと、2025年7月からマイナス7kgのダイエットに成功しています! (同時進行であすけんの食事管理もしていますが) 産後半年とは思えないほど自分の体がイキイキしています! 上の子16kgを抱っこしたまま20分歩いても大丈夫! やはり身体は資本… あなたのいつものゲーム時間から15分だけ、運動習慣にしてみませんか? リングフィットアドベンチャーでね
Game of the Year 2025
ぱんたん@笹黒白 さん
ゼルダ無双 封印戦記
今作は「ゼルダの伝説ティアーズ オブ ザ キングダム」の過去の世界で起きた「封印戦争」を描く作品です 「ゼルダの伝説ティアーズ オブ ザ キングダム(以下ティアキンと略)」は2023年5月12日にニンテンドーSwitchで発売された名作アクションRPGです 発売当時 前作「ゼルダの伝説ブレス オブ ザ ワイルド(以下ブレワイと略)」から更に広がったハイラル王国を、リンクを操り駆け回っていました 謎のテクノロジーゾナウギアでの創作遊びに夢中になり 旅の目的を忘れてしまいかけた事もありましたが とあるイベントに遭遇した際に、道草くっている場合じゃない事に気付き 様々な種族の仲間達と協力し 離ればなれとなってしまったゼルダ姫をみつける旅に邁進 一気にクリアまで突っ走るハマりっぷりでした そんな「ティアキン」ですが 作品内では、封印戦争について詳しく語られることはありませんでした 作中の会話等から、恐らくこのようなことがあっただろうと想像するしかなかったのですが 私のGOTY「ゼルダ無双 封印戦記」を体験することによって ハイラル王国の知られざる過去を知ることができたのです 「ゼルダ無双 封印戦記」には「ゼルダ無双 厄災の黙示録」という前作があります 「ブレワイ」から数えて100年前の大厄災を体験できるゼルダ無双としてとても素晴らしい作品でした 前作のクオリティから今作も間違いなく楽しめるに違いないと確信していたのですが ゲーム序盤の手触りとしては、無双ゲー特有の一騎当千な爽快感が今一つ感じにくく、「おやおや?」と感じてしまったのが正直な所でした しかしながら封印戦争を描く話はとても興味深く ゼルダとラウルを中心に展開しつつ 謎のゴーレムとコログ族との不思議なコンビが織りなす多重構造シナリオの先が気になってしまい エンディングまで一気に駆け抜けたのでした EDロールを見終え、タイトル画面からゲームを再開すると なんと広大なハイラル王国地図に凄まじい数の新たなポイントが点滅開放されたのです マジか・・・という思いと まだまだ遊べるじゃないか!という思い 忽ちやる気スイッチがONになり 次々と攻略を進めていく 一つステージをクリアすると 新たな施設が解放され 新たなクエストを達成すると 見知らぬアクションが解放される そこで気付くのです ゼルダ達の動きがどんどんスムーズになっているじゃないか!? このゲームにおける到達点はEDロールを見る所では無かったのです エンディング後に新たな目標が掲げられ その目標を達成する為にはハイラル王国を隅々まで探検しつくす必要があったのです プレイアブルキャラクターに設定されているアクションを全て解放することで 今迄感じていた物足りなさが嘘のように これぞ一騎当千!といえるアクションに昇華されました 仲間キャラクターとの必殺技も 組み合わせが豊富で見ているだけでも楽しくなります ゲームの面白さのピークコントロールがお見事! これぞオープンワールドシリーズゼルダの伝説の系譜! そして無双タイトルを冠する今作ですが このゲームは紛れもなくゼルダの伝説なのです ゾナウギアとスクラビルドの重要性に気付くことで 全くの別ゲームと化すのです 私は思い出しました 「ティアキン」に於いて武器を振り回す事も大切でしたが 様々なアイテムを如何に使いこなすかも重要だったことを・・・。 そのプレイ感覚を「ゼルダ無双 封印戦記」でも味わうことができたのでした 余談ですが 名作「ティアキン」に於ける個人的残念ポイントとして ゴーレムの動作のもっさり感があったのですが 今作に登場(搭乗)するゴーレムは 「そうそう!こういう動きをしたかったのよ!」 に応えてくれているのもニヤリとさせられます 馴染みのあるキャラクターから新しく登場するキャラクターまで 個性豊かな面々が協力して封印戦争に挑んでいく今作 キャラクター同士の台詞の掛け合いやそこから感じられる関係性も 相まって魅力的な一作でした そしてプラットフォームの側面からの感想も話しておくべきかと思います 今作「ゼルダ無双 封印戦記」はニンテンドーSwitch2専用ソフトで 2人同時プレイが可能となっているのですが なんとインターネット越しにおすそ分けプレイが可能です 実際に友達に協力してもらってお試しプレイしてみましたが 想像以上に簡単且つ快適におすそ分け2人プレイができましたし ニンテンドーSwitch2の機能であるパーティーチャットで画面共有も可能でした 更にアミーボにも対応していて 1日5体までゲーム内のアイテムを獲得する事ができます ゼルダシリーズのアミーボ持ってて良かった! 任天堂ハード以外の展開は考えられないソフトタイトルであり ニンテンドーSwitch2を持っていて良かった!と心底感じさせてもらえたタイトルです マップ達成度100%に至る85時間53分24秒 「ゼルダ無双 封印戦記」間違いなく私のGOTYです コーエーテクモゲームスAAAスタジオの皆様ありがとうございました
Game of the Year 2025
とめきち🚑🥐🍙🍃 さん
アーケードアーカイブス2 トーキョーウォーズ
我が青春のアーケードゲームが 初めてのコンシューマー化! これはGOTYにするしかないでしょう! 戦車に乗り 2軍に分かれてひたすら戦車を撃破して全滅させると言う 単純ではありますが爽快なゲーム性! ワンプレイが短くてサクッと遊べるのも良きところ! オンライン対戦がないのが残念なところ ですので声を大にして言わしてください! 買ってください!そして遊んでください! さすればオンライン要素を盛り込んだ新規作品で出るやもしれません! 可能性はあります! ですので買って遊んでください!
Game of the Year 2025
かじー@テレビゲームの中林 さん
ブリガンダイン ルーナジア戦記
2024年の暮れ、ある事を引き金に左腕が上げられない状況に見舞われた。その当時にプレイしていたゲームが所謂死にゲーだった。Lスティックを最大限に活用しなければならないソフトに挑戦している時、注意しながら動かしていても想定外の敵アクションに見舞われ、対処していると、気がつけば左肩にとてつもない痛みが走る様な状況でした。原因は身に覚えがない程度の些細な事だったはずが、診断の結果 『左肩亜脱臼』 と言われ、暫くの間【アプリケーションの不具合による強制終了】ではなく、【人体の不具合による挑戦終了】とあいなったわけである。 そんな折、怪我も寛解に向かい、2025年も半分を越えた辺りに出会ったのが、yourGOTYに選ばせていただいた本作となります。 20年ぶりの新作と謳われた今作は、過去PlayStationで販売された戦略シミュレーションで、三國志や信長の野望の様な歴史ifではなく、ファンタジー世界の一大陸内にある6つの国から一つを選び統一を目指すという物。古の魔獣から人間を守ったとされる五つのマナ・ストーンがこの世界では重要で、今では国の象徴として装備品に組み込まれた特別の鎧 “ブリガンダイン”として当主たちが所持しています。それぞれが“正義” “高潔” “自由” “誇り” “自我”と呼ばれ、それぞれ国家や思想に基づいて人間達が統一に向かって戦います。王道の国家、覇道を目指す国家、そして持たざる国家と、善悪ではない部分から選べるのが面白い部分で、セオリーの若き王子から祭り上げられる姫、国によっては一言『クズ』でまとめられる当主もおり、6者6様の人間模様が描かれます。 コンパクトなパッケージの分、想像に任せるだけではない緻密な世界設定があるのでテキストを読むだけでもかなりのボリュームになります。細かなゲームシステムは実際触れてみてで大丈夫で、例えるなら内政や人事の要らない国取りに特化したシミュレーションなので、1ターンで4.5個の国に侵攻して一気に戦況を変えたりもできます。戦闘で負けたキャラクターがロストしたりもないので使役するモンスター達と育成しながらがっつり戦略をねって遊んでみてください。 yourGOTYに選出させていただいた理由は、肩の怪我をきっかけに、改めて【コントローラーを持たずとも遊べる自由度】に焦点を当てています。画面と睨めっこしながら隣接する敵国に誰を侵攻させるのか、ベンチウォーマーには何をさせるのかを考えて遂行する楽しさ。それに伴って、世界観にハマればハマる程、自分に仕えている騎士達は今現在どんな状況に置かれた上で戦いに赴いているのか、さながら脳内でファンタジー小説を読む様な感覚で取り組む事が楽しくなります。その上でコントローラーを持たずとも、果ては起動してないのにキャラクター達が勝手に動き出す感覚になれます。主人公が6人から選べる事で各々の結末が善悪定かならぬ各々の決着がプレイする度に紐解かれるので色々なifが体験できます。 他にも色々語りたい部分はあれど、画面を見ながらコントローラーではなく腕組みしながら戦略を練ることの楽しさを一度体感してみていただきたいと心から思います。
Game of the Year 2025
コジラ a.k.a スピニング東方不敗 さん
ドラゴンクエストIII そして伝説へ…
「あの頃の自分が、隣に座っていたんだ」 私のyourGOTY2025はドラゴンクエスト3HD2Dリメイクだ。 このサイトを見てる君には、原作ファミコン版も今回のリメイク版も、説明は要らないよね。 知らなかったなら検索しておくれ。 原作ファミコン版を遊んでいたのは、私が小学生低学年の頃。 兄のぼうけんのしょを消してしまって、しこたま怒られたのは一生忘れられない。 兄よゴメン。不幸な事故だったんだ。 だけどね、この素晴らしいリメイク版ドラクエ3を遊んでいて思い出したんだ! 当時、パーティのメンバーは身の回りの人の名前を付けるのが主流だった。 兄のパーティの戦士には私の名前。 私がバシルーラで飛ばされても迎えに行くことなく、そのまま冒険を続けていた兄を隣で見ていたら、仲間外れにされた様に感じて泣いてしまって、兄の部屋からつまみ出された事を思い出したり。 友だちと一緒に幽霊船さがしをしてて、やっと見つけたケド怖くて少ししか探索出来なかった事を思い出したり。 隣の兄ちゃんが、私が歌っていると敵のエンカウント率が下がる気がすると言って、2人で歌いながらネクロゴンドを抜けた事を思い出したり。 こんな小さくて下らない思い出たちを、たくさん思い出しながらプレイした本作。 気がついたら、あの頃の自分が隣に座ってたんだ。 兄も、隣の兄ちゃんも、友だちも。 みんなで画面を覗いてたんだ。 楽しいね、ドラクエ面白いねって。 思い出話はこれくらいにします。 今作をプレイして、あの頃にタイムスリップ出来たのは、原作を大切にしつつ、遊び易くリメイクされているからだと思います。 リメイク版の良かった点をいくつか挙げてみます。 映像面の良かった所としては、まずはダンジョン。 キャラが松明を持っている様に描いてあり、自分の回りは明るく、遠くは少し暗く表現されています。 松明の明かりを頼りに進むダンジョンは臨場感があり、冒険の解像度を上げてくれました。 次に、戦闘画面。 味方側は、コマンド選択中に背中のみを表示するだけ。 味方がアニメーションしても、それは見ごたえがあって面白かったとは思いますが、敵のアニメーションだけにすることで、テンポ良くバトルする事が出来ました。 そして細かい所だけど凄く気に入ったのは、町やダンジョンの外観がキチンと描いてある事。 シャンパーニの塔にたどり着いた時、ファミコン版の内部マップや構造を思い出し、納得の外観に感動しました。 遊び易さもリメイクしてあります。 難易度設定で、戦闘不能にならない様に出来る様にしたのは英断だったと思います。 冒険は進めたいケド、レベル上げしてる時間なんて無いよ!って人は助かったと思います。 地味な事ではあるけれど、ルーラの移動先を、施設の中か外かを選べる所も、小さなストレスが無くなってて良かった点です。 書き足されたシナリオも最高でした。 旅立ちの日、息子を起こす母と祖父の会話。 物語の途中で、再び息子を送り出す母の苦悩。 行く先々で、父オルテガの物語を聞きながら旅を進め、そして父との再会…。 父の愛、母の愛を噛み締めながら、涙を拭いてプレイしました。 そして、大魔王を倒した後のエピローグは1&2の期待を非常に高めてくれました。 幼い頃の思い出と共に、世界を股にかけ大冒険したドラクエ3リメイク版を、私のyourGOTY2025に選びます。 忘れてしまっていた沢山の事を思い出させてくれて、本当にありがとうございました。 子どもの頃の私も、今の私も大満足の作品でした。
Game of the Year 2025
ジョン@営農とサブカル さん
DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH
<<このレビューには本作のネタバレが含まれています>> 「デスストランディング2 オン・ザ・ビーチ」は、プリミティブな労働の喜びに満ち溢れた「はたらくおじさん」のためのゲームだ。 本作は、デス・ストランディングという現象に覆われた世界で、BTと呼ばれる化け物や武装集団が跋扈する危険地帯を横断し、A地点からB地点へひたすら荷物を運ぶ—という、世にも珍しい「労働」をテーマにしたゲームである。 前作でアメリカ大陸をカイラル通信網でつないだ主人公サム・ポーター・ブリッジズは、ブリッジベイビーだった「ルー」と家族になり、穏やかな日々を送っていた。しかし新たな依頼を受けてルーを家に残しているときに、彼女はサムを狙った襲撃に巻き込まれ命を落とす。深い喪失を抱えたサムは、その傷を癒すためにオーストラリア大陸をつなぐ旅へと向かう——本作はここから幕を開ける。 本作が前作と変わらず面白いのは、資本主義経済と切り離されたプリミティブな労働の喜びがあるからだ。 本作のなかでは徹底して貨幣経済と切り離された世界が描かれている。プレイヤーが受け取るのは「いいね」という承認だけ。それは無限に送り合うことができ、アイテムと交換ができるわけでもない。 だが、だからこそこのゲームは働くことの純粋な喜びを提示できている。自分が作った橋や道路を他のプレイヤーが使い、「いいね」が送られてくる。誰かの役に立っている実感、社会とつながっている感覚——現実世界では貨幣経済やその他の要因によって希薄化してしまったこれらの感情を、本作は変わらず与えてくれる。 前作よりも複雑化したコース、カイラルクリーチャー、道中頻発するトラブル、大配送など配送のバリエーションもかなり増えている。 カール・マルクスの疎外論によれば、資本主義社会では労働者は自分が作った生産物からも、労働行為そのものからも切り離されてしまう。 本作で「なわ」と表現される「つながり」がもたらすのは「疎外」を受けない本来の労働だ。資本主義経済における「生産性」とは無縁のゲームという空間において、何かと格差を感じることも、何かに搾取されることもなく、働くことで、労働が本来持っていたはずの喜びを得ることができる。 昭和・平成を生きてきた「はたらくおじさん」たちが夢中でやっていた労働には、本来、こうした素朴な承認があったのではないだろうか。 小島秀夫監督が60代であることを考えれば当然かもしれないが、本作で描かれるストーリーは昭和・平成の価値観で働いてきた男性たちの物語なのだろう。 象徴的なのは、ルーという存在の扱いだ。ゲーム冒頭で彼女は命を落とし、物語から退場することになる。 輸送船DHVマゼランという「イエ」が常に同行する本作において、ルーを連れて旅をする描き方もあったはずだ。ルーを殺さずとも、彼女をダシにサムがずっと旅をし、仕事の合間にルーの世話をしたり、病気になった彼女のために抗生物質を探したり、そんなふうに描くことだってできたのではないか。もし小島秀夫監督が令和のはたらくおじさんであったなら、そうした「仕事と育児の両立」を描いていたのではないだろうか。 だがルーが育つ過程は意図的に省略されている。これは家族を顧みず仕事に没頭してきた世代が、子どもの成長を日常的に見守る経験を持たなかったことの表れのように思う。彼らにとって子どもの記憶とは、生まれた1年間くらいの乳幼児期と、大きくなって言葉を話せるようになった青年期くらいしか鮮明に残っていないのではないか。 また、本作では妻の不貞という要素も描かれる。サムと対峙することになる謎の男ニール・バナはサムの妻と不貞関係にあったと疑われるシーンが多くある。仕事に没頭して家族をないがしろにし、その家族が不貞に走る——そしてそれを止める資格が自分にあるのか悩む。この描写もまた、働くことにすべてを捧げた世代固有の苦悩のように思う。「課長島耕作」や「黄昏流星群」を彷彿とさせる展開だ。 そんな世代が傷ついた己を癒すのは何かといえば、「仕事」なのだ。 サムの周りにはドールマンやフラジャイルといった、彼をケアしようとする人々がいる。だが彼は、その直接的なケアを受け取ることができない。ひたすら仕事に打ち込み、その過程でようやくケアされていることに気づき、傷と向き合っていく——この構造そのものが、昭和・平成的な働くおじさんの生き方を象徴しているように思う。 令和を生きる働く父親である私にとって、こうした生き方はもはや許されない。家族をケアしながら働き、自分の傷も仕事以外の方法で癒さなければならない時代だ。 本作が描くのは、もう戻れない時代の労働だ。仕事に没頭し、それで心を癒すことが許された時代。家族を顧みなくても、それが「男の生き方」として容認された時代。 私たちはもうその時代には戻れないし、戻るべきでもない。だが、ゲームの中でなら、その時代の労働を追体験できる。それは郷愁かもしれないが、同時に、失われた何かへの哀悼でもあるのだ。
Game of the Year 2025
ホシカゲ@リディル鯖(幻想薬の使い手) さん
ウィザードリィ外伝 五つの試練
ダンジョンゲームといえばウィザードリィシリーズだと勝手に思っています。このゲーム自体はかなり前に発売されましたが、ユーザーが作ったシナリオを遊ぶことが出来るのが強みになるでしょう。(その代わりにシナリオを作るのは大変ですが…)
Game of the Year 2025
Lava Yuki(ゆき・らわ) さん
テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター
私のGOTY 2025は『テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター』です! 実は『テイルズ オブ グレイセス エフ』は、2009年に初めてプレイしたテイルズ作品で、これをきっかけに「テイルズ」シリーズを知り、すっかりハマっていきました。
15年後にリマスターとして再びプレイできるなんて本当に懐かしくて、最後まで心から楽しめました。 ストーリー:
ストーリーはどちらかというと王道のRPGなんですが、そこには片思いの恋愛や友情、家族愛といったふんわりと温かい要素がたくさん含まれていて、個人的にとても好きです。
子供っぽいと感じる人もいるかもしれないけど、昔少女漫画が大好きだった私にとっては、大人になった今でも可愛いなと思っています。
それに、テイルズシリーズの中で一番笑った作品もまさにこのグレイセスFです。スキットには冗談や可愛いユーモアが豊富で本当に面白かったです。 今作ならではのユニークな点といえば、「未来への系譜編」ですね。
多くのゲームでは、追加ストーリーはDLCとして販売されることが多いけど、グレイセスでは本編と一緒に収録されているのが嬉しいポイントです。
数時間でクリアできる短めの内容なんだけど、結婚や恋愛に関する会話やスキットが多く、少し恥ずかしく感じる場面もありつつ、女性プレイヤーとしてはとても好きでした。 キャラクター:
テイルズは、やっぱりストーリーよりキャラクターの魅力が大きいシリーズなんじゃないかな。
今作のパーティーメンバーは中々個性的でスキットでのやり取りが本当に楽しかったです。
特に、超真面目なヒューバートと、いつもフラフラしている能天気なパスカルの関係性がお気に入りでした。 女子力抜群のシェリア、可愛くて純粋なソフィ、モテモテのマリク、誠実で仲間想いのアスベル……全員が魅力的で捨てキャラは一人もいません。
リチャードは本編では色々不憫で少し可哀想だと思っていたけど、未来編では意外とふざけている場面も多くてすごく面白かったです。 戦闘:
グレイセスFといえば、やはり戦闘システムですね。
多くのプレイヤーからシリーズの中でもトップクラスだと高く評価されているようですが、私もまったく同感です。 MPのようなTP制ではなく、「CC」というシステムが採用されており、術技をテンポよく使えてコンボも繋げやすいです。術技を使うとCCを消費しますが、ガードやジャスト回避など特定の行動を成功させることでCCが回復するため、ダンジョン攻略中に枯渇する心配もありません。爽快感があって雑魚戦でも飽きないぐらい楽しかったです。 術技はA技とB技に分かれており、称号やサブイベントで習得できます。
称号の種類も非常に多く、装備する称号によってさまざまな恩恵も得られます。
例えば、1000以上のダメージを半減したり、受けたダメージを次の攻撃に上乗せしたりと、装備品だけでなく称号の選択もしっかり考える必要があります。 探索:
エクシリア以降のテイルズでは、ダンジョンやフィールド探索が広いマップを中心になっているけど、グレイセスFは昔のテイルズと同様にダンジョンがパズル式になっています。難易度はそこまで高くないし、リマスター版では目標表示やエンカウントオフ機能もあるため、割とサクサクに進めました。宝箱の位置もワールドマップで表示されることになっていて非常に便利。 リマスター版のシステム面:
PS3版にはなかった追加要素が複数あって結構遊びやすくなっていると思います。
例えば、最初からグレードショップが利用できること、エンカウントオフ、オートセーブ機能など。また、戦闘勝利画面でキャラクターのセリフが文字表示されるようになった点も嬉しいです。 2周目をプレイする時間がない方や、ストーリーだけを楽しみながらサクサク進めたい方にとってはとても便利だと思います。DLCのコスチュームがすべて収録されているのも良かったです。 音楽・デザイン:
グラフィックは少し改善されていますが、個人的にはPS3版とそこまで大きな違いは感じませんでした。
ただ、元々デザインや音楽が大好きな作品ですし、オープニングテーマであるBoAさんの「まもりたいWHITE WISHES」は、カラオケで何度も歌うほど思い入れのある一曲です。 総合評価:★★★★★(5つ星)
王道ストーリーでありながら、可愛くて温かい雰囲気を持つ『グレイセスF』は、テイルズシリーズの中でも一番好きな作品です。
特にキャラクターやスキット、戦闘システムが素晴らしくて、本当に傑作だなと思っています!テイルズに少しでも興味がある方には、ぜひおすすめしたい一本です!
Game of the Year 2025
シュナイダー さん
サガ フロンティア2 リマスター
私は奇声をあげた。 子供の頃にディスクの裏面が擦れて真っ白になるまで遊んだあのRPGが、現代のハードでまた遊べるなんて。 リマスターが発表された瞬間の私は産まれた赤子のように泣きじゃくり、顔は老人の安らかな最期のようであった。 生と死を内包する、いわばビッグバンと呼ぶに相応しい姿だったのかもしれない。 サガフロンティア2には 2つのゲームが入っているのをご存知だろうか。 「ギュスターヴ13世」と 「ウィルナイツ」である。 ギュスターヴ13世から説明させて欲しい。ギュスターヴ13世とは何か。 大河ドラマでも、銀河英雄伝説でも、ガンダムでもいい。 あなたの人生で一番だと思った巨編を思い浮かべて欲しい。 それがギュスターヴ13世なのだ。 いま貴方が思い浮かべた好きで好きで堪らない物語。そこにでてくる人々に対して貴方は様々な思いを抱いたであろう。 賛同、拒絶、尊敬、畏怖、その他もろもろ。 それをもう一度、やるのだ。 ここでサプライズ。ネタバレをしよう。 ギュスターヴ13世は産まれる。そして死ぬ。彼には仲間がいる。そいつらも死ぬ。 女が出てくる。死ぬ。家族も出てくる。死ぬ。ライバルがいる。死ぬ。 そう、ごくごく自然なことだ。我々はいつか死ぬのだから。 このゲーム、結果は全て見えている。 「もしも」はない。 我々はこのゲームという歴史の中で生きた人々に立ち会うことだけ。 ギュスターヴ13世の波乱に満ちた人生や、周りの人間たちの美しくも醜い、感情。 それらを真正面から受け止め、咀嚼せねばならない。 それがギュスターヴ13世なのだ。 変わってウィルナイツ。このゲームは何か。 彼もまた歴史の中の1人だ。 先程のギュスターヴ13世が「感情との対峙」であるならば。 ウィルナイツは「希望」である。 なぜか。 彼の人生だけは「ネタバレ」がされていないからだ。 ウィルナイツは死ぬの? 周りの人間は? ライバルは?ヒロインは? ギュスターヴ13世との関係は? 自分から言えることは何も無い。 そしてゲームを始めるにあたって、貴方にはある選択をしてもらうことになる。 それはゲームそのもの変えてしまう、大きな大きな決断だ。 紹介したふたつのゲームを、どちらから、どうやって進めるのか? 全ての歴史を理解した上でウィルナイツという希望を読み解くのか。 未知の大陸に身を投じ、その都度やってくる歴史の門を力いっぱい開くのか。 この世界の「サガ」はたった今、 貴方に委ねられた。