色んな作品が入り乱れ、メジャーとインディー作品の垣根がほぼなくなりつつある2024年。
自分が遊んだ作品の中でも、昨年のティアキンほど総合力で飛び抜けた作品はなく、それぞれの個性的な部分が記憶に残る2024年だった。

その中で僕がGOTYに選んだのは、「今年自分の気持ちが一番前のめりになった作品」
言い換えれば「遊ばされてる感じ」が一番少なかったゲーム
「ユニコーンオーバーロード」
正直言えば発売前は、そこまで期待していなかった。むしろ苦手かもしれないと思っていたジャンルだったので、若干不安を持つくらいだったので、そんなに期待していなかったのもあり(とはいえヴァニラの過去遊んだものがハズレ無かったので安心もしていたが)リリース日後になって体験版を遊んでみた。
そのプレイ前の気持ちとは裏腹に、結果勢いよく体験版を前のめりに遊びきり、そのまま一片の躊躇なく本編購入、クリアにまで至ったゲームで、こんなパターンは自分の中でも珍しいように思う。

見た目は美麗とは言えど2Dだし、ジャンルとしては、戦略シミュレーションっぽいし、特別な何かを見た目から感じるのは難しいかもしれない。
ストーリーもめちゃくちゃ飛び抜けたわけでもない(とはいえしっかり導いてくれるものではある)。
では何が良いかというと、「最適な戦略をプログラミングをするような戦闘のシステム」が一番なのだと僕は強く思う。

戦闘は基本的にターン制でオートで進む。
ただ戦闘時はオートなのだが、そのオート部分の内容は自分で事前に細かく指定しておけるのだ。

各キャラには戦闘中に行える個性的な幾つかの行動があるのだが、その行動に優先順位をつけて指示しておく。
例えば「ライフが25%切っている仲間がいる場合は回復をする」→「敵が4人以上いた場合は範囲攻撃をする」→「騎兵の敵がいたら騎兵特効の攻撃をする」→「どれにも当てはまらない場合は一番残り体力が少ない敵にスタンダードな攻撃をする」といったような命令を各キャラに指示しておくのだ。
1部隊大体3~5人、それぞれの兵種に、攻撃・特効・回復・バフ,デバフ…などなど色々な行動があり、その上に兵種自体にも弱点関係があったりする。
それらを加味した上で、色々な戦略を考えることが楽しい。
「素早さが速いキャラが最初に行動できた場合は、仲間の行動速度を早める効果のある術を仲間にかけて、有利に戦闘を進める」とか、
「”この攻撃によって敵にトドメを刺した場合もう一回行動できる攻撃”を活かすために他のキャラで敵のライフを削っておいて、お膳立てしておく」とか
ここでは書ききれないほど、おそらく人によってほぼ無限にありとあらゆる戦略があるだろう。
「キャラ」というデッキ構築の上で「各キャラの技」というデッキ構築の上で、それを素材に「オートメーション化」を自分でするわけだ。そりゃ無限大だわ!
しかもそれがプレイしてて「複雑すぎてわけがわからなくなる」ということもない。簡単なところから徐々に複雑なところへ、それでいて面白みの部分がわかるように一歩づつ上がっていくので、複雑すぎて飲み込めないということは少ないように思う。なんなら新しい戦略を思いついた時の「ひらめいちゃった」感。たまりませぬ。

ロジカルに物事を進めたい人には間違いなく刺さる、刺さりすぎる一本に思う。
ただそれは触ってみないと伝えるのが本当に困難で…だからこそ騙されたと思って体験版を触ってほしいのだ。
もちろん合わない人もいるだろうが、合う人は僕と同じようになってほしいと思う。

部隊を組む上で、能力的なシナジーを見出して部隊を組むのも良いだろう。
シナリオに沿ったキャラ同士の関係性を思って部隊を組むのも良いだろう。
完璧に思える部隊ができても、いいところで新しい要素が追加されてきたり、過信していると思いも寄らないところであっさり全滅したりもする。慎重になりすぎたら1ミッションのタイムリミットにぶつかることもあるだろう。
そこへのトライアンドエラーを繰り返しながら、一歩ずつ高みを目指して成長していく感じがとても良い。

ここまでシステムを激推ししてきたが、キャラもしっかり個性や立ち位置を持っていて、しかも作り手が全てのキャラに愛を持って作っている感じも感じられる。全てのキャラが誰かにとって長い時間を過ごした愛着のあるキャラになっている可能性をちゃんと考えられてると思う。好き。

他、全部隊の「士気」をゲームに落とし込んだであろうブレイブシステムも良いし、
カットできてほしい演出とかは基本カットできるし、システム的に「こうできてほしい」と思うようなところは最初から丁寧に作り込まれていた。
又ヴァニラウェアのゲーム音楽を毎回作っているベイシスケイプの曲も今作も良い。力強い。好き。

それにしてもこのご時世にストーリーに寄りかからないゲーム作りをここまで徹底できたもんだ…
僕はそんな「僕のためのゲーム」と思えるゲームを創ってくれたことを嬉しく思っている。
素敵なレビューは
拍手で応援!

プロモーションビデオ等

ショップ・メーカーサイト


みなさんお気づきだろうか。
今年はSILENT HILLの”新作”が二本も出ていることに…

このご時世にハイクオリティな純粋ホラーを出すあなたたちを讃えたい
ホラーゲームというのは純粋なホラーゲームでいることが難しいジャンルである。
ことさらサイレントヒルは比較的純粋なホラーゲームを求められがちである
(発売前にトレーラーが少し燃えたくらいには)
「ホラーゲームはホラーが主体でなくてはいけない」
「ホラーのエッセンスのある何かではいけない」
その上でハイクオリティなものを作るということは、それだけ多くの人に手に取ってもらえる作品でなくではいけないということだ。
それは、多くの人に好まれる魅力的な「恐怖」であり、ゲームでなくてはいけない。
しかし人間は基本的に恐怖に近づきたくは無いのだ。
なんと難しいことか。

しかしリメイクとして再び現れたSILENT HILL 2は、それらを全て両立させ、
原作をプレイした人の大きな期待も裏切らない出来で、しかも変更点にも色々な思いを馳せられる大変良いリメイク作品だったように思う。
研ぎ澄まされた恐怖中心に起きつつ、しかし恐怖にも意味と物語があることに気づく。
しかしそれを明確には語らず、読み手の解釈を尊重する。
「人間の想像力こそ恐怖の源泉なのだ!」

と、それとは別に
それに先駆けて出た完全新作のSILENT HILL: The Short Messageも今年とても応援したいのだ。

(震えながら恐怖に向き合ったで賞②へ続く)
素敵なレビューは
拍手で応援!

プロモーションビデオ等

ショップ・メーカーサイト


(震えながら恐怖に向き合ったで賞①からの続き)

と、それとは別に
それに先駆けて出た完全新作のSILENT HILL: The Short Messageも今年とても応援したいのだ。

当方3時間ほどでクリアまで行ったこの作品。
「今出すこと」を念頭に置いた完全新作、しかも無料のSILENT HILL。
過去シリーズになかったFPS視点や、ゲームプレイ前に丁寧なメンタルに対する注意書きを書かないといけないほど「現代のサイコロジカル(精神的な)ホラー」を描こうとした内容。
それは置きに行った試験的作品じゃなく、ちゃんと思い切りがあった。

(これはどちらの作品にも言えることだが)ゲームプレイ前に丁寧なメンタルに対する注意書きは、”これは創作である”という前提であると同時に、しかしゲームの「ゲームの超えた影響力があることを知ってもいるから」だと思う。
それはサイコロジカルホラーの名前に恥じず、しかし人の精神を嘲笑うこともしない。
SILENT HILLに縛られず、しかしSILENT HILLである。これがどれほど難しいことか。
「人間にとって最大の恐怖は何であるか」そんな問いを、この作品たちは僕に、プレイヤーに問いかけてくる。

今後出てくる予定である、映画return to SILENT HILL、日本を舞台にしたSILENT HILL f
他SILENT HILL関連作品に期待をさせるに至るこの2024年のSILENT HILL。
2024年にリリースされた2作は、そこへの期待をより大きいものにしてくれた。
しかし作り手も「恐怖」に真摯に向き合うと言うのは、きっととてつもない恐怖を伴うだろう。
だからこそそこにあるものを僕は見たいと思うのかもしれない。
素敵なレビューは
拍手で応援!

プロモーションビデオ等

ショップ・メーカーサイト


シェアする

過去のGOTY

音亀HARU◆サウンドクリエイター◆ゲームと音楽とポッドキャストとさん( @HARU_THANATOS )

Game of the Year 2022
Horizon Forbidden West

音亀HARU◆サウンドクリエイター◆ゲームと音楽とポッドキャストとさん( @HARU_THANATOS )

Game of the Year 2023
ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム

あなたもGOTYを発表してみませんか?

X(旧Twitter)アカウントでログインするだけで、
簡単にGOTY発表ページが作れます!
自由に部門賞を追加することも可能!
(ログインすることで 利用規約に同意したものとみなされます)

他のGOTYを見る


みんなのGOTYを見る

イチィゴォーさん( @1e5o_tktb )

Game of the Year 2024
Q2 HUMANITY

もっと見る