私の今年のGOTYは『Elin』です。
本作はPC(Steam)で2024年11月1日に早期アクセスが開始された作品で、日本の個人開発者noa氏によって製作されました。(今作はグラフィック部分のみ別の方が担当しており、それ以外は全てnoa氏が製作しているらしいです😲)
noa氏は2007年にフリーゲームとして公開された名作ローグライク『Elona』の開発者で、今作『Elin』は『Elona』の約30年前が舞台の正当後継作となっています。

本作の内容としては、ファンタジー世界を舞台に自由に生きるローグライク要素のある2DオープンワールドサンドボックスRPGとなっています。

ゲームシステムを日本人に分かりやすく説明すると、『不思議のダンジョン』シリーズのようにプレイヤーが1つ行動すると他のNPCや敵が1つ行動する、斜め見下ろし視点のターン制RPGで、オープンワールドの世界を冒険したり、家を建てて拠点運営をしたり、NPCからの依頼をこなしたりして自由に生活していきます。
ゲーム開始時に種族やクラスなどを選択できますが、初期ステータスやスキルに多少の変化がある程度で、プレイヤーはあくまでこの世界の住人の中の一人でしかなく弱いため、拠点から近くの町まで行くのも大変です😅
それなら無理に町に行かずに拠点でのんびりスローライフをおくれば良いのでは?となるかもしれませんが、この世界では毎月結構高額な納税の義務があり、拠点に請求書が届くため、支払い可能な町まで請求書とお金を持って行かなければならないのです。(途中から自動引落も可能になります。)
そのため最初はかなり金策や食料の管理などが大変になります💦
また税金を支払わず滞納し続けるともっと大変なことになりますw

とはいえこういったサバイバル要素のゲームは2D、3D含めて他にもたくさんあるかと思います。
では私は『Elin』の何にこんなにも惹かれたのか書きたいと思います。(ここからがやっと本題です💦)

1.“現実的”にこだわったゲームシステム
一般的なサバイバルゲームでも草を刈ったり、木を切り倒して草や丸太といった素材を手に入れたりしますが、たいていは種類が違う草や木だったとしても手に入る素材は同じだったりします、しかし『Elin』では○○の草、△△の丸太といった感じで種類によって別ものとして扱われ、例えば草の床をクラフトする場合にも森の草を使うと緑の床になり、藁を使うと茶色の床になるといったこだわりがあります。
人によってはインベントリを無駄に使うので煩わしいと思う人もいると思いますが、私はこのこだわりが好きです。
またインベントリも段ボール箱などに食材を入れた場合はすぐ腐るが、クーラーボックスなどに入れた場合は腐りにくかったり、敵などから炎の攻撃をくらった場合に紙などでできたものをそのまま所持していると燃えて消滅してしまったりといった現実に即した細かな仕組みがあり、だったらこうしたら良いんじゃないか?と考える余地を与えてくれます。

2.現実離れしたカオスな世界
ゲームシステムには現実的なこだわりが詰まっていますが、その逆で世界観は現実的な倫理観を逸脱していますw
ゲーム開始時にキャラクリエイトがありますが、性別や年齢を選択できますが、それとキャラグラフィックが合っている必要ななく、なんならドットキャラのグラフィックと顔のグラフィックが全然違っていても問題なし。
種族の中に「かたつむり」があったり、クラスの中にも「観光客」という「それ必要?」と思うクラスがあったりします😅
町のNPCもユニークキャラ以外はランダム生成で、子供のドットキャラなのに顔はおっさんなキャラがいたりしますw
またゲーム開始後にチュートリアルで仲間のペットを1匹貰えますが、ペットは「犬、猫、熊、少女」から選べます。もう一度言います、ペットは「犬、猫、熊、少女」から選べます。
そしてNPCとの友好関係が深まるとデートに誘えたりしますが、これも年齢、性別関係なく誘え、なんなら会話ができれば人でなくても・・・😅(今後のアップデートで結婚もできるようになる予定のようですw)
ある意味多様性の最先端をいっている作品かもしれません。(犯罪者以外にはw)

3.無限な冒険を可能にするランダムマップ
『Elin』のワールドマップは基本は固定のマップで、町やストーリーに関わる洞窟などは固定で配置されています。
一般的なRPGではワールドマップで町や洞窟に辿り着くと町や洞窟の中のマップに切り替わる仕組み(最近は完全にシームレスなRPGも多いですが)で、『Elin』もその点は同様ですが、『Elin』が凄いのは町や洞窟だけではなくワールドマップの歩くことができる1マス1マスの中に入ることができ、自分で入ったり敵との戦闘になると強制的に中に入りランダム生成されたマップで、戦闘をしたり素材を集めたりができます。
また町で情報屋から情報を聞くと、ワールドマップ上に期間限定の洞窟が出現し、洞窟を探索して宝を見つけたりボスと戦ったりができます。
これにより固定のワールドマップでありながら無限に冒険を楽しむことができるようになっています。

4.不自由を超越した自由
よくこのゲームを紹介するときに自由度が高いと表現されることが多いですが、自由度が高い = 何でもできる ではないと思っています。
最初の方でも述べた通り、プレイヤーは最初は弱く、納税も高くて、生きていくだけでかなり大変です。
操作はほぼマウスのみでできますが、手に持っているものや、開いているものなどによってクリックや右クリックした際のアクションが違ってくるため、誤操作によって腐った食材を食べてしまったり、床に設置しようとしたアイテムを仲間にプレゼントしてしまったり、NPCを攻撃してしまって衛兵にボコボコにされたりもします😅
インベントリにいきなり重いものを入れると重さで圧死しますw
そういった不便な部分を乗り越えてプレイヤーを成長させると、やれることがどんどん増えていくといった感じになっています。

5.思わずツッコミを入れたくようなアップデート
本作はゲームを起動するとまずアップデート情報が表示されます。
他のゲームであればよく見もせず閉じてしまうところですが、本作のアップデート情報にはたまに変なアップデートが混ざっているので、思わず見てしまいますw
以前あったアップデートでは「卵を電子レンジで温めると一定確率で爆発するように」というのがあり、すぐに大爆発で建物が全壊する検証動画が上がっていて、即行で爆発の威力を抑える追加アップデートが行われてましたw
このアップデートの影響か分かりませんが、私も自慢の我が家(草の豆腐建築💦)にて焚き火で卵を調理してたら、爆発こそしませんでしたが家が少し燃えました😅
さらに直近のアップデートでは「おもいやりパンティー着用条例」が追加されました。もう一度言います、「おもいやりパンティー着用条例」が追加されましたw

6.充実のカスタマイズ機能やMod対応
設定画面を開くと文字サイズや実験的な機能などいろいろな項目が自分好みに設定可能になっています。またUIの位置なども自由に変更できたり、テクスチャを自分で入れ替えたりもできるツールも用意されています。
またModにも対応しており、Steamワークショップにはキャラクターの見た目を変えるものから、隠れた情報を可視化するもの、ゲームシステムそのものを改変するものまで、既にたくさんのModが公開されているのでゲームを自分好みに変更することが可能です。

長々と語りましたが私は前作の『Elona』は未プレイで、さらに『Elin』のプレイ時間は30時間程度で、長編RPGでもなければだいたいクリアするかクライマックスに入っていくくらいの時間かとは思いますが、『Elin』ではまだ序盤のペーペーに毛が生えた程度で、ベテランの方々には「お前が何語ってんだ!」とお叱りを受けるところでしょうね😅
実際の進み具合も、現在無料配信されているデモ版よりちょっと進んでいるくらいかと思います・・・💦
逆を言えばデモ版でもこのくらいは楽しめてセーブデータもそのまま製品版に引き継げるので、気になった方はとりあえずデモ版をプレイしてみると良いかと思います。

こんなゲームが日本の個人開発者によって製作され、まだ早期アクセスとはいえ目立ったバグもない(そもそもバグか仕様か分からない部分もありますがw)のは本当に驚きです。
noa氏が『Elin』に込めた思いは、トレーラーでも語られている

・あなたに伝えたい「物語」がある
・あなたに届けたい「冒険」がある
・あなたに感じてほしい「世界」がある

とのことで、現実世界があまりに息苦しい世の中になってしまっているので、自由でカオスな『Elin』により惹かれているのかもしれません。
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本作はPC(Steam)及びNintendo Switchで2024年1月18日(Steam)にリリースされた作品で、韓国の開発者Somi氏によって製作されました。
Somi氏は過去に「罪悪感三部作」と称される『レプリカ』『リーガルダンジョン』『The Wake』を製作し、どれも高い評価を得ています。

本作の内容としては、未解決の少女行方不明事件を当時事件を担当した元警部の記憶の断片を再構成して真相に迫るテキストアドベンチャーとなっています。

ゲーム画面は黒を基調としたシンプルな画面で、上部に登場人物の名前が表示され、その下に当時警部が聞き込みなどを行った際の会話の内容が表示されます。
最初は誰と会話をしている内容かは分かりません。(その人物の下に表示されたからといってその人物との会話とは限りません。)
その会話の中の特定のキーワードをクリックすると、そのキーワードに関連する別の会話が追加されます。
そうやっていくつかの会話を出していくと会話同士の繋がりが見えてくるようになり、会話を正しく配置し直すことで徐々に誰と、いつ、どのような場面で会話をしているのかが分かってきます。
そして本作の関係者は全員嘘をついています。
なぜ嘘をついたのか・・・自身の保身のため?誰かを守るため?
何が嘘か気付くことでさらに真相に近づくことができます。
見た目はシンプルですが、この真相を解明していく課程の見せ方が秀逸で、3時間程度で終わる短い作品ながら、時間以上の満足感が感じられ、真相が分かった時には目頭が熱くなりました。
価格も手頃なので、ぜひネタバレを見ずに自身で真相を解明していただきたい作品です。

なお本作に登場する元警部の名前は清崎蒼とあり、これは『リーガルダンジョン』の主人公と同じ名前となっている。
明確に同一人物であるとはどこにも示されていませんが、役職などから考えても同一人物である可能性は高いと思われます。
本作をプレイする上で『リーガルダンジョン』をプレイしておく必要は特にありませんが、本作をプレイして気に入ったならば『リーガルダンジョン』を含めた「罪悪感三部作」もプレイしてみても良いかもしれませんね。
なぜ今回同じ名前のキャラクターなのか、そこにも何かSomi氏が込めた意図やメッセージがあると思われるので、機会があればぜひ聞いてみたい。
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本作はPC(Steam)/PlayStation 5/Xbox Series X|S/iOS/Androidで2022年8月31日(Steam)にリリースされた作品で、イギリスのゲームデザイナーSam Barlow氏が手掛けました。
Sam Barlow氏は『Her Story』『Telling Lies』といった実写映像の独特なアドベンチャーを手掛けております。
特に『Her Story』はSam Barlow氏の名を広めた作品で、警察のデータベースに分割保存されているある人物の取り調べ映像から、キーワードを直接入力で検索して別の映像に飛び、彼女の物語を追っていく作品で、この仕組みや精神は『IMMORTALITY』にも継承されていると思います。

本作の内容としては、複数の年代で同じ女優が出演する映画が撮影されたが、どれも公開されることはなくその女優も姿を消した、映画はなぜ未公開となってしまったのか、女優はどうなったのか、その真相を探る実写映像で構成されたアドベンチャーとなっています。
プレイヤーはたまたま倉庫で大量の映像を発見したスタッフ(おそらく)で、『Her Story』のように映像から映像に飛んで真相を探りますが、『Her Story』と違いキーワードを入力するのではなく、映像の中のオブジェクトを選択することでそのオブジェクトに関連した別の映像に飛べるため、『Her Story』より視覚的に分かりやすい仕組みになっています。
映像は、映画の撮影風景だけではなく、役者のインタビュー映像やリハーサルの映像、関係者集まってのミーティング映像、プライベートな映像など様々。
Sam Barlow氏の作品は全てそうなのですが、「これが真相です!」とはっきり出るわけではなく、集めた映像から「これが真相なんじゃないかな」とプレイヤー自身が考察していく感じなので、人によって解釈が変わる可能性があります。
またいろいろな映像を見ているうちにある違和感に気付くと思います。
それに気付くとプレイヤーの目的がガラッと変わってきて、不思議な体験がプレイヤーを襲います。
ぜひご自身でプレイして確かめていただきたい!

といった感じでオススメしたいところですが、いったいなぜオススメしづらいのか・・・

本作は1968年、1970年、1999年に撮影された3本の架空の映画が題材となっており、この時代の映画にはだいたいのセオリーがあり、映画の中に必ずと言っていいほどお色気シーンや濡れ場シーンが存在します💦
本作で撮影された映画も例外ではなく、映像を飛んでいると唐突に濡れ場シーンが飛び込んできたり、○○と△△の親密な関係のプライベートと思われる映像が出てきたりします😅
本作は特に成人指定作品ではありませんが、役者たちが大胆にさらけ出してますw

私自身はもういいオッサンなので別にどうってことはないのですが、誰でもそうとは限らないので、オススメする相手を考えないといらぬ誤解を与えかねない😅
とても良い作品なのですが、なかなか声を大にしてオススメしづらい作品ですw
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