おじさんをもう一度レイブンに戻してくれて、ありがとう!ほんとうにありがとう!と感謝をおくりたくなるアーマードコア最新作。

 そもそもハマったのがPSの無印〜MoA、2までで「おじさん、新しいゲームについていけるかな…」ってすごく不安でしたが、杞憂でした。
 本作は操作性がものすごく良く、空をブーストで飛びながら、肩のミサイルを発射しつつ、左肩のシールドを張りながら右手のライフルをたたっ込みつつ、左手のブレードで切り掛かる、といったことが簡単にできるようになっている。
 特に、本作から導入のターゲットアシストとスタッガーのおかげで、近接武器が異様に便利になった。
 ひゅんひゅん避けながら斬りかかる、という私がやりたいエースパイロットを簡単に実践できてしまう。
 今までの、適切な距離をとって引きながら撃ったり、空中に陣取って撃ったり、という卑怯くさい戦い方をしないようにしてくれるあたりが素晴らしい。(ただ、オンライン対戦では、空中に陣取ってミサイルの雨を降らす誉のないアセンブリがいるそうだけど)
 おかげで、どのACと戦っても、どの新ロボと戦っても、戦いにバリエーションが豊富で、どのミッションも試行錯誤が効いてとても面白かった。
 また、本作の根幹である「ロボットの組み立て」についても、全パーツについて目が行き届いている。
 捨てパーツがない、と本当に思う。なんせ、私は終盤まで初期フレームの外装で戦い続けていたくらい、初期武器だから使わない、というのが縛りプレイでなくても使うことができる。
 例えば、ブレード。初期ブレードは威力がないものの、ブレードで追いかける距離が他の近接武器に比べてずば抜けており、実は強い、というのが一周やってからわかる。この手の装備は、初期に使うだけ使って忘れていくものの、アッセンブリーをする際に最後まで選択肢に登る、というのが良い。ジェネレータも、武器も、すべて一長一短があり、組み合わせで使い勝手が発生する。どうしても強武器は存在するものの、それでも組み合わせで特徴が出せる。いまだに、良いアッセンブリーが発見されるのが観れて、このバランスはほんとうに素晴らしい。

 これだけでも十分すぎるくらいアーマードコアとして素晴らしいのだけど、輪をかけて素晴らしいのはシナリオだ。
 本作では、登場人物の姿は出さず、アイコンと喋り方と、主人公の呼び方だけでキャラを立てる分別がすばらしい。
 シナリオ分岐はわかりやすく、3周することが前提となっているが、同じ展開をする物語であれだけ意味を変えられるのはなかなか見たことがない。
 そして、分岐の心の揺さぶり方。アーマードコアの登場人物って、いままでスナック感覚で裏切っていたはずなのに、全員がそれなりに良い人間で、どの人物についても協力をしたくなってしまう。その揺さぶりを3周に分けて楽しませくれるのでほんとうにすごいな。
 特に、イグアス。おまえ、そんなキャラだったんだ、って後半になればなるほど思う。おれがロボアニメでやりたかったこと全部載せをやってくれるシナリオでロマンがすごい。
 こんなに楽しませてくれてプレイ時間も30時間足らずでシナリオをすべて見切れる短さなのも、年をとって時間のないおじさんにはとても優しい作品で、文句なしのGOTY作品でした。
 200時間近くやらせたうえに嫌な気分にさせるサイバーパンク2077とはえらい違い。好きだけど。
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世界初!まぶたで操作するゲーム。
 このゲームは、iPhoneやPCをはじめとした「カメラがついている機器」でプレイすることを前提としている。ゲームのジャンルとしてはADVに分類されるゲームで、一人称視点のなかにあるカーソルを手で操作しつつ、カーソルを見ながら「まばたきをする」、「まばたきを耐える」という二つのアクションをプレイヤーは行うことになる。

 本作のキモは、随意と不随意の組み合わせだ。何かのアクションを指示するために、まばたきをする、ということは簡単にできる。
 だが、なにかを見続けるためにまばたたきを耐えなければならないのは、なかなかできない。本作では、そんな感じで「まばたきをするとシーンが終わってしまう」というシーンが定期的に挿入される。「あ、もっとみていたいのだけど、まばたきが…!」となってシーンが切り替わるということが結構ある。
 この「自分の身体なのにどうにもならないことがある」というのが本作のシナリオに大きく関わってくる。

 本作は、最初、死後の世界から物語が始まる。
 プレイヤーは、名もなき魂の一つとして、死後の審判を受けるために三途の川の船守と一緒に川下りをしていく。
 その道すがら、船乗りから「おまえはどのような人生を生きてきたのか」を聞かれ、それを思い出していくことになる。
 その際に説明されるのは「思い出す時間や場所はまちまちで、まばたきをしている間に変わってしまう」ということ。何回もまばたきをさせられることもあるのだけど、基本的には、まばたきをする間に人生は切り替わっていく。

 プレイヤーが思い出していく人生というのは、自分が生まれてから、育っていって、どう死ぬことになったのか。
 子持ちのおじさんが見ていてしんどいのは、プレイヤーの「親」の気持ちが痛いほどわかるからだ。
 ピアニストの夢を諦めて会計士になった母親、愛情深いけれど教育熱心な母親についてけない父親、そんななかでもすくすくと育って、隣の家の女の子と初恋をする自分、などなど、ちょっとずつ成長していく自分を中心とした物語の登場人物全員に共感が及んでしまう。
 そして、その自分がなぜ死ぬことになったのかは、涙なくしては見れない。そんな状況を見守るためには、まばたきを耐えなければならないのだけど、涙が溢れたりしてる状況で耐えさせられるのが、かなりしんどい。
 別段、まばたきを耐えたからって、シナリオの分岐はないのだけど。
 けれど、それを耐えるように作っているあたりが、いい意味で「鬼畜の所業」。どうしてこんな酷い目に遭わされるのか、と思う。子供がいる方は、ほんの2〜3時間でクリアまで行けるので、ぜひともやってみてください。

 一応、キーボードなどでまぶたの入力の代わりをやれる設定も存在するが、面白さが半減するのでやめておきましょう。
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「映像を観て、調べて、考察をする」という「映画を観る楽しみ」をゲーム化した稀有なゲーム。
 本作では、1960年代から2000年代までにバラバラに存在する未公開映画のシーンの断片を見ていく、という体のゲームである。
 プレイヤーは、出演している作品がすべて未公開の幻の女優マリッサ・マーセルの、未公開作品の断片を見ながら、その映像をつなぎ合わせて編集する、という作業に従事していくことになる。
 プレイヤーができるのは、シーンを再生する、シーンのなかにある気になった箇所をクリックする、シーンを逆再生する、だけだ。
 シーンを再生すれば勝手に分類され、新たなシーンを出すには、根気よく映像を観続けなければならない。悪いことに、クリックをして出てくるものはランダムで、映像コンプリートはしんどい。
 本作では、1960年代から出ているマリッサのフィルムを見ていくことになる。彼女は、見てわかるとおり、2000年代まで美貌がそのまま、若い姿のままである。なんでそんなに年をとらないのか、使っている基礎化粧品はなんなのか、アンチエイジングはやっぱり処女の生き血なのか、は映像を見ながら想像をしていくことになる。
 ちなみに、シナリオは、思った以上に素直で、彼女の正体は事前に想像していた部分とは大きく変わらない。
 けれど、彼女が何者なのかを調べるには、映像のなかで「異音」がするのを見極めて逆再生をしなければならない。
 昔の映画とかには、逆再生をすると悪魔が写っていた、とか、地獄からの声がする、とかいう噂があるものがあったが、本作ではそれを織り込んでもいる。実際に、そういったオカルト的な要素を出すために逆再生をするのだが、それはわかっていてもギョッとする。
 お話はなんとなく、想像がつくものの、かなり独特なゲーム体験ができて楽しかったです。映画がお好きなら、やって損はないゲームだと思います。

 また、ゲームにしては珍しく、濡れ場やヌードがいっぱい出てくるので、「映画のなかにでてくる不意なおっぱい」などの栄養分が不足しているおじさんにはとても良い気がします。
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Netflixゲームに加えられてたので、iPhoneでプレイした。UIを除けば、わりと面白く、話したいことができる奇妙なゲーム。

 本作は、アドベンチャーゲームに分類される。プレイヤーはアメリカの新婚のサラリーマン(ジェームズ・マカヴォイ!)となり、自宅に帰るところから始まる。 
 家に着くと、妻が自分の誕生日のディナーを作ってくれていて、楽しい食事をする。妻から、プレゼントがある、と言われて渡されたのは「赤ちゃんの服」。子供が出来たの、と嬉しそうに話す妻とこれからのことを話していると、不意にチャイムが鳴る。
 警察だ、と名乗る男(ウィリアム・デフォー!)は礼状を見せることなく妻と自分を縛りあげ、妻に尋問を始まる。やめろ!と止めようとすると、男は自分の首に手をかけ、そして…。時間がすっ飛び、プレイヤーは「帰ってきたばかり」の部屋に戻っている。
 プレイヤーはそうやって、家に帰ってきてから男に殺されるまでの12分間を、何度も何度も繰り返してしまうことになる。
 どうやったら妻と自分を救うことができるのか、男はどうして自分たちを殺しに来るのか、男が執拗に妻に聴く時計とは何のことか、そんなことを何度も死にながら、調べていくことになる。

 ループモノミステリにありがちなことを繰り返していくうちに、ちょっとずつ分かっていく真実、ループの秘密、そして、なぜこの時間に囚われてしまったのか、といったところまでがものすごい納得感をもったシナリオになっていて、とても面白かった。ネタバレしたい気分でいっぱいになるけど、黙っておきます。

 ただ、本作をiPhoneやiPadでやるのは、まったくおすすめ出来ない。
 UIがとても、とても悪い。画面上部に、取得したアイテムがあり、これを選択することがかなり多くある。だけど、iOSでこれをやるとアプリ自体が一旦切り替わりになってしまい、その度にゲームがやり直しになる。
 ただでさえ、何回もやり直しをさせられるゲームなのに、12分間を操作ミスでやり直しさせられるのは「ムキーーーーー!!」ってなります。やるならsteamでやりましょう。
 けど、それ以外はおすすめです。
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人の心の中には、いくつもの分人がいて、それぞれがそれぞれに思ったことを喋っている。もしも、それが一つ一つはっきりとした意思を持って自分の行動に影響を与えていたら?というのをまざまざと感じさせてくれるのが本作である。

 本作では、プレイヤーは、アルコール中毒で、記憶を失った全裸中年男性となり、自分を取り戻すために、とある殺人事件の捜査をすることになる。どうもプレイヤーは、この街に捜査にやってきた刑事のようなのだが、酒の飲み過ぎで頭を打って記憶がない。
 たまたま迎えにきてくれた同僚のキム捜査官と一緒に、どうにか捜査官としての体裁を整えながら、事件の捜査をしていく。

 その際に、プレイヤーの頭の中では、たくさんある人格がひっきりなしに喋り続 ける。
 内省的な気分を司る内陸帝国が話し相手の裏の意図を読み、百科事典が歴史やアイテムのトリビアをこれみよがしに披露し、俊敏性がいつでもスリの機会を伺っている、といった感じで、それぞれが喋る。
 そして、この人格は、同時に、プレイヤーのスキルでもあって、スキルポイントを振ると、その人格の持っているスキルが強化されていく。これらの人格=スキルを駆使して、三日間で事件を解決するのを目指していく。
 進んでいくうちにわかったことだが、本作は、我々の住んでいる地球とは違う世界が舞台になっていることがわかる。
 ただ、似たような歴史を通っており、相変わらず共産主義と資本主義は争っていて、王侯貴族と民衆は対立し、企業は労働組合と対立している。そんな似て非なる世界を見比べながら、事件に没入するのに、ものすごくテキストを読み込むことになる。
 一周だけだと良くわからないこともあるが、繰り返しやるとものすごーく味のあるゲームであった。未プレイで、ADVをやられる方、ぜひともやってみたら良いのではないでしょうか。
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機械翻訳をされたバージョンが方々で配布されていたことでお馴染みの、連続配信型のADVゲーム。このたび、有志による翻訳をされたバージョンが、Netflixゲームスで追加されたのでiOSでプレイしてみました。

 本作は、マジックリアリズム的な世界観の、アメリカはケンタッキー州を舞台とした群像劇ADVゲームだ。
 ただ、描かれるのは現代アメリカが抱えている、ローンとアルコール中毒と喪われた連帯についてのとてもビターなファンタジー作品である。
 プレイヤーは最初、リサイクルショップを経営しているコンウェイという老人になり、最後の家具配達をするためにケンタッキー州にあるという「0号線」という道を進んでいくことになる。
 この0号線は、どの地図にも載っておらず、そもそもどのようにしていったらいいのかわからない。街の近隣の人に話を聞きながら、不可思議な手段を用いて0号線を目指していくと、その先には、常に燃え続ける樹木、巨大な鳥たちが暮らす森、古い家を丸ごと保管している奇妙な博物館に行き当たっていく。
 本作は、連作短編形式となっているので、登場人物や主人公を入れ替えながら、このコンウェイの配達の旅に合流していくことになる。
 シナリオの分岐はなさそうなのだが、とにかく、どの選択肢を選んでも、膨大なテキストが出てくる。これを訳された有志の方に感謝を評したくなる、とても素晴らしいゲームでした。未プレイの方はぜひ、やってみてください。

 ちなみに、プレイは、この素敵な翻訳が非公式MODで導入できるSteam版か、NetflixゲームでプレイできるiOS版だけがおすすめです。
 他のバージョンは、翻訳が…機械翻訳…なので…。
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