靖男のGOTY・レビュー

MOUSE:やとわれの探偵
レビュー
靖男 さん
MOUSE:やとわれの探偵
物語はマジシャンが"消失した"事件から始まる…。 雇われ探偵のジャックが事件を追い、証拠を集め、汚職警官やマフィアと戦い、様々な思惑の交錯する陰謀を明らかにしていく。 ゲームジャンルは一人用アクションFPS。 モノクロな画面で描かれるハードボイルドなストーリーと場面を盛り上げるジャズがマッチし、1940年代のノワール映画に浸るような体験を味わえます。 ただし、キャラクターデザインはディズニー風。 世界観はカートゥーン。 インクが飛び散り、チーズに酔う、過激な調査を始めよう! 見かけで「一発ネタのバカゲーか…」と侮ってはいけません。プレイすると完成度の高さに唸らされる作品でした。 謎を徐々に明かして盛り上げるストーリー展開が秀逸で 、アクション部分もストーリーを邪魔しない程度に抑えつつ、手強い難易度と凝ったギミックが光る内容になっています。 そして特に素晴らしいのが、細部までこだわり抜かれたアートデザインです。 マップは手書き風の3Dカートゥーン調で、小物が細やかに散りばめられ確かな生活感が漂っています。キャラクターは2Dですがアニメーションが豊富かつ滑らかで、3D世界の中で生き生きとした動きになっており、戦闘ではアニメのワンシーンに入り込んだような感覚になります。 声優や効果音など他の部分も隙がなく、これらによって形作られた空気感はカートゥーンらしいジョーク表現とハードボイルドの諧謔(かいぎゃく)が合わさり、「バカバカしいけどカッコいい」という無二の楽しさを生み出しています。 私がプレイした理由は「テーマ曲に好きなアーティストが参加してる」という程度だったので低かった期待値を大きく超えた驚きもありましたが、それ以上に開発陣のデザインへの妥協のなさに驚愕させられました。 最初から最後まで素晴らしい世界観を楽しませてくれるゲームでした。
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Game of the Year 2025
靖男 さん
The Alters
人間なら誰しも「あの時ああしておけばよかった」と思うことがあるでしょう。 例えば私の場合、難しい計算が必要になったとき、「もっと真面目に数学を勉強すればよかった」と思うわけです。そこで、このゲームには『数学を真面目に勉強した私』を作り出せる機械が登場します。『私』を作って計算してもらえば問題解決です!よかったよかった。 さて、この『私』は、この後どうしましょう。 そんなSFの物語です。 ゲームとしてはサバイバルクラフトと資源管理ストラテジーをあわせた内容で、無人惑星に不時着した唯一の生存者である主人公となり、生還することが目的です。 危険な超常現象に立ち向かいながらマップ探索で資源を回収し、様々なスキルを持った『自分』を増やして仕事を割り振ります。 しかし、増やした『自分』は少し異なった人生を歩んだ他人であるため、主人公への反発や人生に根ざしたトラウマ、作られた存在であることへの葛藤などを持っており、それぞれの『自分』と関わることでストーリーが展開します。 私はストラテジーやシミュレーションが好きなのでよくプレイするのですが、ゲームに出てくる『資源』も兼ねたキャラクターに感情移入することがあまりできていなかったように思います。主人公と一緒に一喜一憂することはできるのですが、それ以外のキャラクターはエンティティとして雑に処理していました。 しかし、このゲームに出てくるのは主人公と一部の人生経験を共有した存在であり、ストーリーを進めて主人公の人生が掘り下げられると他のキャラクターも自然と掘り下げることになり、分岐した人生から性格の違いのルーツが見えてきたりして理解が進みます。 そして、ある意味で親兄弟よりもっと近しい間柄となって苦楽を分かち合ううちに、かけがえのない仲間と思える存在になっていました。 また、特筆すべき点として、SF作品として設定や話の展開が面白いです。 倫理やエゴから生まれる選択によってストーリーがインタラクティブに分岐していき、異なった結末に行き着く流れもよくできているので、小説や映画でなく『SFゲーム』として意味のある作品だったと感じます。 良いSFを摂取しつつ感情を揺さぶられる素晴らしいゲームでした。
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Game of the Year 2024
靖男 さん
Satisfactory
5年前の発売時にプレイ済みですが、今年にアーリーアクセス終了で正式販売開始となり、遊び直したのでGOTYとしました。 さて、このゲームはすべてが素晴らしいので、とりあえずタイトルを褒めます。 『サティスファクトリー(Satisfactory)』。英語の一般形容詞で、"満足な"、"申し分ない"という意味を持ちます。工場のゲームなので、ファクトリー(Factory)と引っ掛けたジョークです。面白いですね。 そして"満足"。これが重要です。ゲームの本質を端的に表しています。 このゲームは3Dのオープンワールドを探索して工場を建築し、生産したアイテムを納品することが目標になります。 例えば1000個を納品する場合、毎分1個を生産する小さな工場を作って放置するだけで達成できます。放置していてもデメリットはありません。1000分、ゲームを起動していればクリアです。 もし待っていられないなら、大きな工場を立てることになります。いったいどこまで生産量を増やせば満足できるでしょうか。 工場の見た目はどうでしょう。機械の向きがバラバラで、繋がったコンベアが不揃いでも、生産になんの問題もありません。壁や屋根を作れますが野ざらしでも大丈夫です。 ですが、あなたは平行に並んでいないコンベアを見て、我慢ができますか? もしキレイに整理するとして、どこまで見た目を整えれば満足できるでしょうか。 そして、満足を追い求めるためのゲームシステムもよくできています。 空腹や敵の襲撃といった邪魔をする要素がないため、ゲームを起動しながら風呂にでも入っていくらでも悩むことができます。 建築操作の触り心地がとても洗練されているため、建築自体も楽しいです。 3Dの見た目が良いため、出来上がったものを見て満足感を得ることもできます。 多くの工場系ジャンルのゲームは素材同士を掛け合わせるパズル的な要素がありますが、Satisfactoryはパズルとしてはそれほど難しくありません。しかし、満足できる妥協点を考え始めると、一気に深みが増します。 工場ゲームである以上に"満足"を追求するゲームであり、それがタイトルで既に提示されている。よくできています。 今はPC版しかありませんが、PS5とXbox版が開発中で2025年に販売予定だそうなので、コンソール派の方もどうぞ満足してください。
Cult of the LambのGOTY画像
Game of the Year 2022
靖男 さん
Cult of the Lamb
村作りシミュレーション×ローグライトアクションという怪作。 どちらかが苦手でも、もう片方である程度は補えるバランスなので遊びやすいです。 特徴的なのは可愛らしいビジュアルから繰り出されるグロテスクなカルト描写で、ダークかつ明るい奇妙な世界観が楽しめます。 面白かった部分をゲームデザインから考えたとき、シミュレーションで愛着のわいた信者の生活のためにダンジョンへ行き、ダンジョン攻略を助ける能力を得るためにシミュレーションを進めるというサイクルがよくできていたのが大きかったです。 開発が数人規模のデベロッパーによるものとは思えない完成度であることにも驚かされますが、PC,PS,XBOX,Switchといった主要プラットフォーム同時発売というインディーズゲームとは思えない強気の展開にも度肝を抜かれました。