どんなゲーム作ってたのか知らないけれど、誰もがみんな知っている。
そんな伝説のメーカーATARIの超レトロゲーム、「ヤーの復讐」を下敷きにした近未来サイバーテクノポップメトロイドヴァニア、それが本作「YarsRising」です。
本作のベースは射撃を主体とした2D探索アクションとなります。主人公は社畜として薄給で激務に喘ぐ傍ら、ハッキングで小遣いを稼ぐ女の子。ひょんなことから勤め先のデータを盗み出そうとしたところ、謎のヤバいソフトがインストールされてしまい…?というような流れで、勤め先のブラック企業のビルを縦横無尽に探索し尽くし会社の闇を暴き責任者をぶちのめす、そんな素敵なゲームです。
ゴキゲン感をいや増すテクノでポップなBGM、外連味の効いた背景やエフェクト。アビリティはプラグインという形で入手するなど、世界観はバッチリ。ですがこのゲームの肝は、探索や攻略の合間に挟まる「ハッキング」にあります。
アクションゲームの合間にハッキング。知ってる人は思い出しますね、そうです某オートマタです。アニメ良かったですよね。アレのSTGよろしく、本作ではゲーム内ゲームとして「ヤーの復讐」のプレイを求められるのです。これがもう…なんというかこう…手心というか。ハチャメチャにムズい。ビデオゲーム黎明期故の容赦の無さが畳み掛けなだれ込み心を圧し折りに来ます。
ですが今は21世紀。今作ではミニゲームを楽にするプラグインを駆使し何とか刃向かえるのです、やさしみ。何なら無敵モードもありますので安心設計です。
そんな形で、往時のレジェンドに触れる事が出来る。べっつに遊ばなくたって今後の人生に何の影響もない昔のゲームのひとつではあると思います。ですが、たまたまプレイしたこのゲームで40年以上前のゲームプレイヤーの存在を感じ、その気持ちをうっすらトレース出来たのは、割と得難いプレイ体験だったのかな、と思わんでもないです。たぶん皆イライラしてた。だからこそクリアすれば爽快だし、上手い人は一目置かれたんだろうなあ、とか。
ちなみに「ヤー」以外にもATARIのレジェンドが収録されています。本気で難しくてコントローラー投げそうになりました。
メトロイドヴァニア部分はよくまとまっており、楽しく遊べると思います。良くも悪くもちょっと思い出に残るタイプのゲームだと思いますので、ゲーム史に興味があってお暇なら是非。