「バルダーズ・ゲート3」!
TRPGを下敷きにしたCRPGという聞きなれないジャンル。
高すぎる自由度を売りに数々のアワードを受賞した本作。
スパイク・チュンソフト様による日本語ローカライズ版を発売日に買って、壮大でちょっとグロいオープニングに心惹かれ、ゲームを始めてみたものの、、、皆さんはハマれましたか?
スゴい部分めっちゃあるし、間違いなく楽しいゲーム!
、、、なんだけど90時間プレイした自分は、結局いまいちハマれませんでした。
じゃあどうしてYour GOTY?
一旦ゲームプレイしなくなってしまったものの、ずっと楽しかったのにナゼハマれんかったんやろ?が心に渦巻いていました。
モヤる気持ちを抱えたままYour GOTYを選定にするにあたり、考察と再プレイをした結果。。。
僕は「バルダーズ・ゲート3」を選出することになるのです。
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ところで、皆さんはTRPGやったことありますか?
来年50歳になる私は、まぁずーーーっとゲームを中心としたヲタクとして育ってきました。
自分がまだ学生だった頃は、現在のようにネット環境も普及してないからチャットや音声チャットもなく、TRPGを遊ぶには色々とハードルが高い時代だったように思います。
それでもゲーヲタなんかしてると、Wizardryはじめ初期のRPGがTRPGから生まれていることを知ったり、TRPGのリプレイから生まれたグループSNEの「ロードス島戦記」という傑作小説が発売されたり、と、なんだかんだTRPGにも興味を持つ機会が増えていきました。
TRPGプレイしてみたい。
そう思った私は、蛇の道はヘビ、TRPGのコンベンションに出かけたりしているより濃ゆーいヲタク仲間を捕まえてGM(ゲームマスター)をやってもらい、友達の家に集まってTRPGに興じました!
当時はヲタクへの風当たりが少しだけ強い時代背景でもあり、狭い部屋にオタク仲間が集まり、キャラクターシートにアニメ絵書いたり、演技をしながら会話で物語を進めていくゲーム?
なんならキモオタ(の私)がエルフの美少女ツンデレキャラを演じてたりするんでしょ!?
ウーワ、、きもきもっ!うな肝!砂肝!!
なーんてクラスの一軍女子から思われてたりしたのでは?って邪推したりしつつも(涙)
、、TRPG!楽しかったんです!!
生い立ちや性格、口癖、などなど細かく気合いれて作った設定を反映させてキャラクターシートつくるのも、GMが造ってくれた世界を想像力で冒険することも、すごく楽しい。
そのTRPGの楽しさの中でも、私が感じた超個人的主観で考える一番のTRPGの楽しさを、ルール等々無視していろいろ魔改造したリプレイっぽいものでお伝えしてみたい。
てことで、さぁ行きましょう、、
〇滅の刃をベースに、それぞれ私、B君、C君が操る丹次郎、亥之助、善逸っぽいキャラクターの3人パーティーの冒険です。
「」はキャラを演じてセリフを発言していると考えてください。
GM:横浜村のギルドで鬼退治のクエストを請け負った一行は、横須賀の大楠山を目指します。
GM:街道をすすみ。麓の村平作村まであと少し、さー皆さん判定(ロール)してください。難易度は中。
私:おっ村に着く前に戦闘かー?えぃ…コロコロ(サイコロを振る音)…成功
B :難易度中ならラクショー!コロコロ…失敗
C :くそー俺も失敗
GM:失敗した人は街道沿いの川向こうに人影を見つけます。成功した丹次郎には人ではない亜種族が獲物(牛の死骸)を運んでいるように見えます。
B :亥「おっあそこに人がいるぞ!」
C :善「かわい娘ちゃんだったらいいなぁ♪」
私:丹「ちょっと待て、あれは人じゃない!!」
B :亥「なに!!敵か!?敵なのか!?強いのか!?」
B :亥「名乗りを上げて攻撃するか!?」
C :善「えっ敵!強そうなの?コワイー」
私:(GMに)魔物判定とかにおいの判定はできますか?
GM:OKです。におい判定どうぞ。難易度は高です。
私:コロコロ っしゃ!6ゾロでクリティカル。
GM:まだ陽が高いのでもちろん鬼ではありませんが、(クリティカルなので)ゴブリンからは人の血の匂いも感じられます。牛は十中八九、麓の村から略奪してきたものでしょう。
私:丹「っゆるさん!!」全速力で近づいて先制攻撃をしようとします。
B :丹次郎が走るのをみて、名乗りを上げます「我が名は亥之助、横浜よりこの地へ来た、そなたたちは…」
C :善「だまれ!小僧!」と亥之助に言いはなちます。www
GM:では先制攻撃で戦闘に入ります。
GM:(本当は戦闘前に周囲に注意向けてたら、自然にできたダムを決壊させて倒す選択肢もあったんだけどなー)
GM:では先制攻撃、丹次郎どうぞ
私:移動攻撃をゴブリンAに!(ゴブリンA回避失敗)
私:「くらえっ参ノ型 流流舞い!」
GM:ゴブリンA「ぐわぁー」「殴ったね!おやじにもぶたれたことないのに!」残りHP1です。
GM:次の行動、素早さの高い善逸さんお願いします。
C :霹靂一閃とどきますか?
GM:ゴブリンAになら届きます。
C :じゃあ打ちます!「霹靂一閃」コロコロ…ファンブル(ルールにもよりますが出目が悪く単なる失敗ではなく大失敗)
GM:ゴブリンAの横を通り過ぎ、牛に刀を突き立てます。善一は刀が抜けず次のターン行動不能です。
C :善「ぎゃーいやぁああー!見間違えて牛攻撃しちったー」
GM:血だらけのゴブリンAが言い放ちます「こんなの避けるまでもねえ!!」
C :悟空かよっ
B :さっきから主人公すぎだろゴブリンAwww
私:メガテンの「食いしばり」も発動してたしねwww
残りの戦闘はちょっと割愛
GM:ゴブリンAは絶命、Bは虫の息で、戦闘終了しました。
私:ゴブリンBを拷問します。「鬼はどこだ?話せ!」
GM:では判定してください。難易度は低です。
私:コロコロ…失敗です。うぁー
GM:(まじすか、ここはスムースに鬼の情報引き出して進んでほしかった。うーんじゃあ、、)
GM:ゴブリン「上弦の参にご迷惑をかけるくらいなら、、、」と言って舌を噛んで息絶えました。
私:丹「…敵は上弦の参…」
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と、まーこんなんが僕の考える楽しいTRPGです。
GMが用意してくれたギミックを動かすことができなかったり、ヲタク会話てんこ盛りで内輪で盛り上がって、サイコロの目という偶然性に左右されつつ、キャラクターを演じ、会話の中ではGMもファンブルを面白くしたり、簡単な判定失敗もさじ加減で少しだけ物語によりそってくれたりして、こうして作られる唯一無二の僕達だけの物語こそにTRPGの最大の面白さがあります!
上述の冒険だってダムを利用して倒していたら、会敵せずに様子見で先に村を目指していたら、ゴブリンを懐柔していたら、そう、それぞれ全く別の物語がつづられるのです!
ここで私はハタと気付きました。
「バルダーズゲート3」ほぼ常にどこでもセーブ・ロードできます。
自分はより良い結果を得るために、しょっちゅうセーブ・ロードを繰り返してしまっていました。
文字通り、サイコロを振りなおしていたんです。
TRPGはファンブルも面白いと自分で言っていたのに、唯一無二の今このパーティだけの物語をやり直してしまっていました。
だってあの選択肢の先は?この人の感情に気づけていればどうなったの?って思うじゃないですか!!
でもまさにこれが間違いだったんですね。
そう、サイコロの振り直し、時間の巻き戻しはGM(神)に対する冒涜でしかないのです。
のび太GMにプレイヤーのジャイアンが
ジャイアン「なんだよのび太ぁーもっかい振らせろよ!」
スネオ「そうだ、そうだー」
シズカ「剛田君、それはいけないわ、神にあらがう行為よ」
のび太「しずちゃん…(ポっ)」
てな、ことなんです!!
やっべーやっべー超ミスってた。
アワくった私はクリアできなかった前90時間を放棄し、基本セーブせずで遊びなおします。
なんという事でしょう…ラリアン匠が作った世界は見え方がまったく違ったものに早変わり。
サイコロの振り直し、行動選択のやり直しができない世界は、物語が緊張感を増し、唯一無二の物になっていきます。
前回はマップの隅々まで確認しに行っていましたが、TRPGだと考えたら、普通行き先を決めたらなんかしらの
行き詰まりがない限り、引き返して別の道はいきませんし、行動選択の規範もTRPGになぞらえると、このキャラクター
ならどういうセリフ発しそうか?どういう行動とりそうか?まさにロールプレイすることで世界は変わりました。
この高いといわれる自由度は、行動選択=ロールプレイの幅を持たせるためのものだったのです。
「頭に巣食った寄生生物を取り除く」という大きなストーリー展開のある本作ですが、1万7000種以上
マルチエンディングがあるのも、GMである制作側がアドリブを利かせられないCRPGであるがためなんでしょう。
制作側が最大限自由に冒険できる場を作り、プレイヤー達が作り上げた物語が唯一無二のものとなって、
プレイフィールとして残る。
任天堂大好きっ子の私はティアキンを抑えるゲーム?ほんとにー?
と思ってた昨年から時間を経てたどり着いた結論として、
「バルダーズ・ゲート3」神ゲーです!!
最後に一つだけ蛇足させてください。
Your GOTY選定のための検証するために、実況動画なんかもいろいろ見ました。
その知見をもとに、このゲームの魅力を語るとするならばマルチプレイは外せません。
GMであるラリアンスタジオ様はソロプレイでも楽しめるよう、プレイヤーがいろいろ考えることだできるよう、
最大限の自由度といろいろなNPC、緻密で壮大なシーンを用意してくれています。
とは言えこのゲームはやっぱりTRPGなんです。
「ちょっおまえ宝箱こわす前に盗賊の俺に言えって言ってんじゃん」
「ボス殴りに行くからバフかけてー」
「おいおいなんでそんな離れたとこで戦闘になってんのさww」
こんな風にワイワイガヤガヤしながら自分「達」だけの物語をつづっていくのがこのゲームの最大の魅力かもしれません。