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バルダーズ・ゲート3

Game of the Year 2024
ドイ ケンイチ さん
バルダーズ・ゲート3
「バルダーズ・ゲート3」! TRPGを下敷きにしたCRPGという聞きなれないジャンル。 高すぎる自由度を売りに数々のアワードを受賞した本作。 スパイク・チュンソフト様による日本語ローカライズ版を発売日に買って、壮大でちょっとグロいオープニングに心惹かれ、ゲームを始めてみたものの、、、皆さんはハマれましたか? スゴい部分めっちゃあるし、間違いなく楽しいゲーム! 、、、なんだけど90時間プレイした自分は、結局いまいちハマれませんでした。 じゃあどうしてYour GOTY? 一旦ゲームプレイしなくなってしまったものの、ずっと楽しかったのにナゼハマれんかったんやろ?が心に渦巻いていました。 モヤる気持ちを抱えたままYour GOTYを選定にするにあたり、考察と再プレイをした結果。。。 僕は「バルダーズ・ゲート3」を選出することになるのです。 。 。 。 ところで、皆さんはTRPGやったことありますか? 来年50歳になる私は、まぁずーーーっとゲームを中心としたヲタクとして育ってきました。 自分がまだ学生だった頃は、現在のようにネット環境も普及してないからチャットや音声チャットもなく、TRPGを遊ぶには色々とハードルが高い時代だったように思います。 それでもゲーヲタなんかしてると、Wizardryはじめ初期のRPGがTRPGから生まれていることを知ったり、TRPGのリプレイから生まれたグループSNEの「ロードス島戦記」という傑作小説が発売されたり、と、なんだかんだTRPGにも興味を持つ機会が増えていきました。 TRPGプレイしてみたい。 そう思った私は、蛇の道はヘビ、TRPGのコンベンションに出かけたりしているより濃ゆーいヲタク仲間を捕まえてGM(ゲームマスター)をやってもらい、友達の家に集まってTRPGに興じました! 当時はヲタクへの風当たりが少しだけ強い時代背景でもあり、狭い部屋にオタク仲間が集まり、キャラクターシートにアニメ絵書いたり、演技をしながら会話で物語を進めていくゲーム? なんならキモオタ(の私)がエルフの美少女ツンデレキャラを演じてたりするんでしょ!? ウーワ、、きもきもっ!うな肝!砂肝!! なーんてクラスの一軍女子から思われてたりしたのでは?って邪推したりしつつも(涙) 、、TRPG!楽しかったんです!! 生い立ちや性格、口癖、などなど細かく気合いれて作った設定を反映させてキャラクターシートつくるのも、GMが造ってくれた世界を想像力で冒険することも、すごく楽しい。 そのTRPGの楽しさの中でも、私が感じた超個人的主観で考える一番のTRPGの楽しさを、ルール等々無視していろいろ魔改造したリプレイっぽいものでお伝えしてみたい。 てことで、さぁ行きましょう、、 〇滅の刃をベースに、それぞれ私、B君、C君が操る丹次郎、亥之助、善逸っぽいキャラクターの3人パーティーの冒険です。 「」はキャラを演じてセリフを発言していると考えてください。 GM:横浜村のギルドで鬼退治のクエストを請け負った一行は、横須賀の大楠山を目指します。 GM:街道をすすみ。麓の村平作村まであと少し、さー皆さん判定(ロール)してください。難易度は中。 私:おっ村に着く前に戦闘かー?えぃ…コロコロ(サイコロを振る音)…成功 B :難易度中ならラクショー!コロコロ…失敗 C :くそー俺も失敗 GM:失敗した人は街道沿いの川向こうに人影を見つけます。成功した丹次郎には人ではない亜種族が獲物(牛の死骸)を運んでいるように見えます。 B :亥「おっあそこに人がいるぞ!」 C :善「かわい娘ちゃんだったらいいなぁ♪」 私:丹「ちょっと待て、あれは人じゃない!!」 B :亥「なに!!敵か!?敵なのか!?強いのか!?」 B :亥「名乗りを上げて攻撃するか!?」 C :善「えっ敵!強そうなの?コワイー」 私:(GMに)魔物判定とかにおいの判定はできますか? GM:OKです。におい判定どうぞ。難易度は高です。 私:コロコロ っしゃ!6ゾロでクリティカル。 GM:まだ陽が高いのでもちろん鬼ではありませんが、(クリティカルなので)ゴブリンからは人の血の匂いも感じられます。牛は十中八九、麓の村から略奪してきたものでしょう。 私:丹「っゆるさん!!」全速力で近づいて先制攻撃をしようとします。 B :丹次郎が走るのをみて、名乗りを上げます「我が名は亥之助、横浜よりこの地へ来た、そなたたちは…」 C :善「だまれ!小僧!」と亥之助に言いはなちます。www GM:では先制攻撃で戦闘に入ります。 GM:(本当は戦闘前に周囲に注意向けてたら、自然にできたダムを決壊させて倒す選択肢もあったんだけどなー) GM:では先制攻撃、丹次郎どうぞ 私:移動攻撃をゴブリンAに!(ゴブリンA回避失敗) 私:「くらえっ参ノ型 流流舞い!」 GM:ゴブリンA「ぐわぁー」「殴ったね!おやじにもぶたれたことないのに!」残りHP1です。 GM:次の行動、素早さの高い善逸さんお願いします。 C :霹靂一閃とどきますか? GM:ゴブリンAになら届きます。 C :じゃあ打ちます!「霹靂一閃」コロコロ…ファンブル(ルールにもよりますが出目が悪く単なる失敗ではなく大失敗) GM:ゴブリンAの横を通り過ぎ、牛に刀を突き立てます。善一は刀が抜けず次のターン行動不能です。 C :善「ぎゃーいやぁああー!見間違えて牛攻撃しちったー」 GM:血だらけのゴブリンAが言い放ちます「こんなの避けるまでもねえ!!」 C :悟空かよっ B :さっきから主人公すぎだろゴブリンAwww 私:メガテンの「食いしばり」も発動してたしねwww 残りの戦闘はちょっと割愛 GM:ゴブリンAは絶命、Bは虫の息で、戦闘終了しました。 私:ゴブリンBを拷問します。「鬼はどこだ?話せ!」 GM:では判定してください。難易度は低です。 私:コロコロ…失敗です。うぁー GM:(まじすか、ここはスムースに鬼の情報引き出して進んでほしかった。うーんじゃあ、、) GM:ゴブリン「上弦の参にご迷惑をかけるくらいなら、、、」と言って舌を噛んで息絶えました。 私:丹「…敵は上弦の参…」 。 。 。 と、まーこんなんが僕の考える楽しいTRPGです。 GMが用意してくれたギミックを動かすことができなかったり、ヲタク会話てんこ盛りで内輪で盛り上がって、サイコロの目という偶然性に左右されつつ、キャラクターを演じ、会話の中ではGMもファンブルを面白くしたり、簡単な判定失敗もさじ加減で少しだけ物語によりそってくれたりして、こうして作られる唯一無二の僕達だけの物語こそにTRPGの最大の面白さがあります! 上述の冒険だってダムを利用して倒していたら、会敵せずに様子見で先に村を目指していたら、ゴブリンを懐柔していたら、そう、それぞれ全く別の物語がつづられるのです! ここで私はハタと気付きました。 「バルダーズゲート3」ほぼ常にどこでもセーブ・ロードできます。 自分はより良い結果を得るために、しょっちゅうセーブ・ロードを繰り返してしまっていました。 文字通り、サイコロを振りなおしていたんです。 TRPGはファンブルも面白いと自分で言っていたのに、唯一無二の今このパーティだけの物語をやり直してしまっていました。 だってあの選択肢の先は?この人の感情に気づけていればどうなったの?って思うじゃないですか!! でもまさにこれが間違いだったんですね。 そう、サイコロの振り直し、時間の巻き戻しはGM(神)に対する冒涜でしかないのです。 のび太GMにプレイヤーのジャイアンが ジャイアン「なんだよのび太ぁーもっかい振らせろよ!」 スネオ「そうだ、そうだー」 シズカ「剛田君、それはいけないわ、神にあらがう行為よ」 のび太「しずちゃん…(ポっ)」 てな、ことなんです!! やっべーやっべー超ミスってた。 アワくった私はクリアできなかった前90時間を放棄し、基本セーブせずで遊びなおします。 なんという事でしょう…ラリアン匠が作った世界は見え方がまったく違ったものに早変わり。 サイコロの振り直し、行動選択のやり直しができない世界は、物語が緊張感を増し、唯一無二の物になっていきます。 前回はマップの隅々まで確認しに行っていましたが、TRPGだと考えたら、普通行き先を決めたらなんかしらの 行き詰まりがない限り、引き返して別の道はいきませんし、行動選択の規範もTRPGになぞらえると、このキャラクター ならどういうセリフ発しそうか?どういう行動とりそうか?まさにロールプレイすることで世界は変わりました。 この高いといわれる自由度は、行動選択=ロールプレイの幅を持たせるためのものだったのです。 「頭に巣食った寄生生物を取り除く」という大きなストーリー展開のある本作ですが、1万7000種以上 マルチエンディングがあるのも、GMである制作側がアドリブを利かせられないCRPGであるがためなんでしょう。 制作側が最大限自由に冒険できる場を作り、プレイヤー達が作り上げた物語が唯一無二のものとなって、 プレイフィールとして残る。 任天堂大好きっ子の私はティアキンを抑えるゲーム?ほんとにー? と思ってた昨年から時間を経てたどり着いた結論として、 「バルダーズ・ゲート3」神ゲーです!! 最後に一つだけ蛇足させてください。 Your GOTY選定のための検証するために、実況動画なんかもいろいろ見ました。 その知見をもとに、このゲームの魅力を語るとするならばマルチプレイは外せません。 GMであるラリアンスタジオ様はソロプレイでも楽しめるよう、プレイヤーがいろいろ考えることだできるよう、 最大限の自由度といろいろなNPC、緻密で壮大なシーンを用意してくれています。 とは言えこのゲームはやっぱりTRPGなんです。 「ちょっおまえ宝箱こわす前に盗賊の俺に言えって言ってんじゃん」 「ボス殴りに行くからバフかけてー」 「おいおいなんでそんな離れたとこで戦闘になってんのさww」 こんな風にワイワイガヤガヤしながら自分「達」だけの物語をつづっていくのがこのゲームの最大の魅力かもしれません。
Game of the Year 2024
どど さん
バルダーズ・ゲート3
君は「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を知っているか? 大丈夫だ。私もこのゲームをプレイするまでよく知らなかった。 バルダーズ・ゲート3はラリアン・スタジオから2023年に正式リリースされたRPGです。当初は日本語化もされておらず、国内での知名度は決して高くはなかったと思いますが、史上稀に見るゲーム豊作年である去年、大激戦を制してGOTYを受賞したことで驚かれた方も多いと思います。日本語版は同年12月に発売され、これはラリアン・スタジオの前作にあたる「ディヴィニティ」「ディヴィニティ2」(どっちも名作!)に引き続き、スパイク・チュンソフトが担当しています。ほんとにありがとう、スパイク・チュンソフト。そろそろ侍道の新作がやりたいです。 ゲームの内容としては、壮大なダンジョンズ&ドラゴンズ(以下D&D)の世界観をビデオゲーム化し、TRPGのゲームシステムを忠実に落とし込んだ素晴らしい作品――なんて風に格好よくレビューしたいのですが、正直なところ私はD&DもTRPGもよく知らないため、ひとつのRPGとしてプレイした感想を話していければと思います。主に話したいことは4つです。 1つ目は「歯ごたえのある面白いバトル」です。 ストラテジー系を得意とする同スタジオらしく、今作のバトルも戦略性があってめちゃくちゃ面白いです。レベルシステムではあるのですが安易にレベル上げが出来ないようになっていますし、大体のプレイヤーが途中でカンストするような作りになっていますので、プロローグからエンディングまでずーっと緊張感のある戦闘が続きます。他にも武器や防具の豊富さ、キャラクタービルドの幅広さ、フィールドの環境を利用した攻略、交戦前の下調べや細工や奇襲等、様々な要素がてんこもりで楽しすぎます。ただし、戦闘のテンポは悪く、TRPGさながらダイスロールで行動の成否が決まるシステムなので合わない人は合わないかなと思います。 2つ目は「とんでもないゲームボリューム」です。 シングルプレイのゲームとしては非常に珍しく(協力プレイモードもあるため厳密には違うが)、Steamでは同作の平均プレイ時間が100時間超えだそうです。あのスカイリムの平均プレイ時間は約75時間らしいので異常さが際立ちます。こんな超大作ではありますが、同スタジオの社長は「ゲームが短すぎないか心配だった」とインタビューで答えています。おまえは何を言っているんだ? ちなみに、私はクリアまで150時間以上かかりました。これは余談なのですが、私は子供が幼いこともあり、週に3回、それぞれ2時間ほどしかゲームをしません。なので、このゲームを始めたのは今年の1月でしたが、クリアしたのは8月の初め頃でした。気がつけば夏。 3つ目は「魅力的な仲間たち」です。 本作では、初めに主人公に選ばない限りオリジンキャラクターと呼ばれる6人を仲間にすることが出来ます(もちろん仲間にしないことも可能です)。この6人がほんっとーにめちゃくちゃ魅力的です。「だぁ↑りぃん↓」と甘ったるい声でささやく色男や一緒に冒険へ連れ出すとガチめの口喧嘩をする女性お2人、激渋メンタルちょい弱めの魔法使いに怒ると炎が出てしまう姉御、お前もはや主人公だろってツッコミを入れたくなる正義漢……皆が自分の信念や悩みを持って主人公と一緒に旅をしてくれます。なので、道中で仲間にとって不快な行動をすると意見してきますし、許せないことをしてしまえばパーティから離反します。そんな自分をしっかり持っている仲間たちだからこそ、最初は共通の目的のために仕方なく行動を共にしているだけでしたが、旅が続くにつれて唯一無二の戦友同士になっていくその姿には心が揺さぶられるものがあります。 4つ目は「自由度の高いストーリー」です。 広いフィールドの探検や戦闘以外にたくさんあるクエストの解決方法等、あらゆる面で自由度の高い本作ですが、その中でも一番自由度の高いのはストーリーだと思います。なぜなら、主人公はあらゆる場面で選択を迫られます。それは世界の命運を決める重たいものから雑談の返答程度のちょっとしたものまで、主人公の判断の全てがプレイヤーに委ねられます。そして、自分の行動は後の世界に影響を与えていきます。これはRPGとして当然の要素に聞こえますが、同作はそこの作り込みがえげつないです。なんせエンディングのパターンが17000もあるため、同じ道のりで進むプレイヤーは非常に少ないと思います。まさに自分だけの旅、という感じがします。個人的にはこのポイントが本作の一番凄いところだと思っています。 以上が、私がバルダーズ・ゲート3を推す主な理由となります。D&DもTRPGもよく知らない私ですが、十二分にこのゲームを楽しめました。どうしても専門用語は出てきますがネットで調べれば意味はすぐ出てきますし、初めにカスタム主人公かダークアージというのを選べば記憶喪失という形で物語が始まるので(もしかしたらオリジンキャラクターを選んでもそうかもしれません)、D&Dをよく知らないプレイヤーとの親和性が高いと思います。また、良くも悪くも洋ゲー感は強いですし、とっつきづらさもあるため万人向けとは口が裂けても言えないですが、刺さる人には刺さること間違いなしです。私はとんでもなく刺さりましたし、クリアした直後の長い旅を終えた寂しさのような感情を忘れることはないと思います。 さてさて、ここまで読んで下さりありがとうございました。本作が2023年のGOTYを受賞したのはかなりびっくりしましたが、思えば2017年にディヴィニティ2がゼルダの伝説ブレスオブザワイルドに競り負けGOTYの受賞を逃し、その次の作品であるバルダーズ・ゲート3がゼルダの伝説ティアーズオブザキングダムを破ってGOTYを受賞したのは凄いストーリーだなと感じました。どうしても日本では馴染みの薄いジャンルの本作ではありますが、とても素晴らしい作品なので1人でも多くの方に触って頂けるといちファンとしてとても嬉しいです。 最後にはなりますが、本作の日本語化がまだされていないときに購入を迷っていた自分に、購入を決意させて下さったとあるポッドキャスターさんのバルダーズ・ゲート3への熱い感想へ感謝を述べ、終わりとさせて頂きます。ありがとうございました。