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Baby Steps

Game of the Year 2025
Ochi-napo@55歳でゲームと模型 さん
Baby Steps
まずは皆さんに問題です。 2Dであれ3Dであれアクションゲームで操作キャラを前に進めたい場合、どう言う操作をすれば良いですか? はい、正解! 十字キーを押すか、Lステックを倒すかのどちらかですよね。 普通はそれだけで操作キャラは思いのままにフィールドを風の様に駆けてくれるはずです。 ところが! このゲーム 「BABY STEPS」はキャラを前に進めるだけの為に 左右のトリガーボタンとLスティック 3つのボタンを操作する必要があるのです。え、意味が分かりませんか? そうですか、そうですか。 それでは詳しく歩く為の操作説明を致しましょう。 その1 Lトリガーを押すと左足が上がる その2 Lスティックを前に倒すと上げた足が前に出る その3 Lトリガーを離すと上げていた足が地面につく その4 続いてRトリガーを押して右足を上げる その5 Lスティックを前に倒すと右足が前に出る その6 Rトリガーを離すと上げていた足が地面につく この繰り返しでやっと歩行する事が出来るのです。 Lスティックを倒す方向は前に限定されませんので、後ろ歩きやカニ歩きも可能ですが、序盤の平坦な道でさえボタン操作のリズムが狂うと簡単に転んでしまうので普通に前進する事がまず難しい。 その上、さらにゲームが進んでいくとツルツル滑るぬかるみや砂漠、足を置くスペースが殆どない細すぎる橋など、あなたにスキルアップを求めてくる難所が次々に待ち受けております。 それ故どれだけスキルを上げたとしても、やっと上ってきた山道の頂上付近でうっかり足を滑らせて一気にスタート地点まで滑落なんて事は日常茶飯事なので、コントローラーを投げて壊さない様な平常心か、或いは何台でもコントローラーを買い直せる財力かのどちらかは持っていると安心です。 この作品の一番の特徴についてお話が済んだ所で、私が本作をどういった方にお勧めしたいかと言う視点でレビューをしてみたいと思います。 このゲームは目的が全く提示されない系のゲームになりますので、そこにいらっしゃる「Outer Wilds」大好き勢の方にはいの一番にお勧めせねばなりません。レビューもここまで読んだら閉じちゃって構いません。さあ、今すぐに購入してプレイを始めて下さい。 ド変態のあなたなら必ず気に入るはずです。 不条理なゲームや映画が好きな方にもこのゲームをお勧めするべきですね。たかだか歩く事が既に大変と聞いた時点であなたの様な方の心は震えてしまっているでしょうし、このゲームのフィールドに点在するレンガ造りのタワー等に(何度も落下しながら)登っていくとその先には食べても何の効果もない果物を食べられる特典が有ったり、意味不明のアタオカショートムービー(内容はとてもここで書けない)を見る事が出来ると聞けば、もうプレイする以外に選択肢はないでしょう。さぁ、今すぐあなたもダウンロード! そして実は人生にちょっと疲れを感じているあなたにも心からお勧めしたい。 「は?疲れている人間が苦労を金で買うみたいなゲームをやる訳ないだろ!」 と言われてしまうと思いますが、まぁ聞いてください。 そもそも言い忘れていましたが、あなたが操作するキャラは名をネイトと言い、 「35歳で地下部屋に引きこもっている小汚いオジサン。(多分、風呂キャンセル勢)そのくせプライドだけは高く自分を強く見せたい」 と言う属性です。だいぶ終わってます。 で、このネイトがいつもの様にソファーでグダグダしていると突然、見たこともないフィールドに転送される所からゲームがスタートするのです。出来る事と言えば歩く事だけ。 それなのに、冒頭に語った通りキャラを前に進ませる事が既に一苦労な訳ですからフィールドを隈なく探索し尽くすなんて事は至難の業で、先述した様なちょっとしたミニゲーム的な建物等を全て見つける事は不可能なんです。歩く事しか出来ないのに…。 これって開発側の意地悪にも思えますが、 「この世の全てに関わる必要もないし、そんなに頑張んなくてもいいんじゃないの?ただ、歩くだけでも結構大変だし。歩いていればどこかには着くよ、きっと。」 寧ろそんなメッセージを感じるのです。 他にも、このゲームのあらゆる個所に優しいメッセージが散りばめられていますので、ちょっと人生に疲れたあなたにも私は是非プレイして貰いたい。 但し、自分でプレイしない限り絶対にこれを理解する事は出来ません。なので慌てなくとも良いので暇のある時に購入して少しずつプレイしてみて頂きたいと切に思います。 今年の各国のゲームアワードで、本作が全くノミネートされなかったのが残念でなりません。他人のレビューや実況動画を見た所で自分で体験しない事には本質を掴み得ない作品である以上仕方ないんですが…。つまりなんて言う変えればいいのかな……そう!とても身体性の高いゲームなんですよ。これからAIが世の中にどんどん浸透して行くのを止める事は恐らく出来ないので、我らが彼らの攻勢に抗うには身体性が何より重要だ!だからプレイして!! と、無理矢理にこのレビューを終わらせてみました。 それでは、新年はトリガーボタンを何万回とプッシュして筋肉を披露させて下さいね。