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クリアまでかかった時間はわずか7時間…
本作は1984年にパソコン版が発売され、1987年にファミコン版の登場で有名になった堀井雄二さんがドラクエ以前に手がけたアドベンチャーゲームのリメイク作品です。
総当たりでクリアが容易なコマンド選択式アドベンチャーゲームは昨今では新作も少なくなりましたが8ビットPC時代は主力ジャンルの1つでした。
わずか数時間でクリア=終わってしまうゲームをなぜ2024年のNo.1に選ぶのか?
それはこのゲームの原作が発売された昭和とリメイク版が発売された令和を繋ぐ時間経過をも演出に使う、稀有な作品だったからです。
長くなりますがこのゲームにまつわる昭和から令和に続く旅路にお付き合い頂ければ…と思います。

私が初めて遊んだのはMSX版でした。発売は1985年10月なのでファミコン版より2年近く前になります。
遊んだ当時、私は小学校6年生でした。
MSX版のメディアはカセットテープでデータレコーダーのピー、ガガガーという読み込み音が懐かしいです😅
ゲーム業界が今ほど大きくなく、でも夢があった古き良き昭和の時代…^_^
MSX版はグラフィックも荒井清和先生が参加される前なのですが後のファミコン版の大ヒットで脳内のイメージは完全に荒井先生の絵にアップデートされました。

※ここから先はゲーム冒頭部分のネタバレ要素が含まれます。
公式HPで明かされている要素のみですが真っさらな状態でプレイしたい方は読むのをお控え下さい。







リメイク版は2024年現代から当時を振り返る形で物語が始まります。
主人公であるボスこと「あなた」は1987年のオホーツク連鎖殺人事件を相棒の猿渡俊介こと「シュン」と共に解決に導いた刑事。
そんなボスも2024年現在は定年退職を間近に控え、有給消化をする立場。
そんなボスの元に1人の女子大生が訪ねてきます。
彼女の名前は「猿渡まりな」。
1987年のオホーツク連鎖殺人事件を共に解決したあの「シュン」の娘だと言うのです!
まりなはボスに父のシュンが何らかの事件に巻き込まれてしまったこと、そして奇妙なことに同時にかつて事件で重要な手がかりであったニポポ人形が消失していたことを告げます。
この出来事が、かつてボスとシュンが解決した37年前の「オホーツク事件」と深い関わりがあるのではないかと考えた二人は共に協力し、謎を解き明かすべく、北海道・釧路へと向かうことを決意します!舞台はふたたび北海道へ!
俊介を襲った犯人、消えたニポポ人形の謎、そして再び蘇る1987年の「オホーツク事件」…
北海道へ向かう列車の中でボスがまりなに語る1987年のオホーツク連鎖殺人事件…リメイク版はこういう形で物語が始まります。
そして無事に1987年パートをクリアすると列車は北海道は釧路へ到着、2024年パートがスタートします!

2024年現在から始まり、かつての相棒「シュン」の娘である「まりな」と共に列車で東京から北海道に向かう道中で1987年の事件を振り返るこの導入が本当に素晴らしく、趣深いのです!😆
それは何故か?
青函トンネル開通は1988年…私がMSXでプレイした1985年はもちろん、ファミコン版が発売された1987年当時も列車で北海道に行く事は出来ませんでした。
私はMSXでオホーツク〜を遊んだ翌年の1986年夏、北海道に引っ越した友達に会いに、行きは飛行機で、帰りは「青春18きっぷ」を使いながら札幌から千葉の実家まで旅をしました。
当時中学1年生だったのですがこの時、函館から青森の移動手段は列車ではなく青函連絡船でした。
1985年にゲームを遊んだ時は気が付かなかったのですが1986年の北海道旅行で改めて感じたのが北海道の広大さ!
鈍行列車を乗り継ぎながらの帰宅で札幌から函館まで当時、約半日かかったのが驚きでした!
37年の月日を経て今では東京から釧路まで列車で行ける…本当に感慨深いです😆

様々な謎を解き明かし、エンディングを迎えると流れる主題歌…ここでも1つの奇跡があります。
中川翔子さんが歌う主題歌「流氷に消ゆキラリ」は堀井雄二さんの作詞家デビュー作なんです!
ちなみに作曲はヒャダインさんが担当されています。

クリアまでかかった時間はわずか7時間…でもひと昔前のゲームって長く遊ぶ事より、どれだけ充実したゲーム体験が出来たか?だったと思うんです。
そういう意味では本作は「ゲームの楽しさの原点」を垣間見た気がします。
…とここまで書いて一部の方は「あれ?お前、昨年のYour GOTYでティアキン500時間以上遊んでカバンダさん探しに行く!とかレビュー書いて番組賞もらって無かった?」と感じている事でしょう😅
はい、書きましたし番組賞ももらいました😅
全く一貫性が無い事を認めた上で私たちがゲームに向き合える時間、いわゆる「可処分時間」は限られています。
それらを認めた上で短い時間で満足度が得られる本作はティアキンとはまた別の魅力が詰まっていると感じている次第です😅

本作は昭和と令和を繋ぎながら単なるリメイクにとどまらず、2024年を舞台にした新しい物語も用意されています。
37年の時間経過をも物語の味付けに使う、稀有な作品だと思います。
最後は色々込み上げて涙腺大決壊でした😅
私にとって間違いなく本年No.1作品です!
素敵なレビューは
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