「まだすべてのタマシイの契約書を集めていないだろう?」
カートゥーン調のグラフィックと高難易度アクションとのギャップに惹かれ、Cupheadを購入した。何度もゲームオーバーになりながらコツコツ進め、やっとこさラストステージまでたどり着いた。
そこでボスキャラ「キングダイス」から言われたのが冒頭のセリフ。
そう、このゲームは難易度レギュラー以上で全ステージをクリアしなければ「タマシイの契約書」なるものを集めることができず、ラスボスに挑めない仕様になっていたのだ。案の定、イージーモードでプレイしていた私は、ラスボスを目の前にして門前払いとなった。
しかしながら、19体のボスと再戦する気力は、私にはもう残っていなかった。そっとCupheadを棚にしまい、他のゲームでお茶を濁すこととした。
それから数ヶ月間、他のゲームを遊んでいる時も仕事をしている時も、キングダイスの言葉が頭から離れなかった。
Cupheadから目をそらしたまま、お前は前に進めるのか?そんな自問自答を繰り返した末、私は再びCupheadに向き合うことを決意した。
通勤電車内で攻略法を研究し、イメージトレーニングを繰り返した。集中力を維持するため、一日に挑むボスは一体と決めた。失敗しても感情を乱さず、ただただ毎晩トライアンドエラーを繰り返した。
そして復帰から三週間後、全ての契約書を集め直し、死闘の末にラスボスを撃破。無意識に声を上げ、ガッツポーズをしていた。妻がその姿を生暖かい目で眺めていた。
「823回、汝は過ちを犯し、滅びた。」
これも感慨深いセリフだった。823回のゲームオーバーを通じて、私は困難に立ち向かう勇気、メンタルコントロール、問題解決のための思考法を学ぶことができた。この先、困難から逃げ出したくなった時、キングダイスが私に囁くだろう。
「まだすべてのタマシイの契約書を集めていないだろう?」と。