『INDIKA』のGOTY・レビュー一覧

新着順 Game of the Year 2025 ゲーム別
INDIKAのゲーム画像
A24賞
ジョン@営農とサブカル さん
INDIKA
ゲームにもミニシアター系、というかA24みたいな作品があるんだな、と思わせるゲーム。ゲームの仕組みを使った宗教(もっというと信仰、共産主義や自然といった大きなものへの崇拝)批判を体験する作品だ。 プレイヤーは修道院の若いシスター、INDIKAとなり、近代ロシアのような蒸気機関が異様に発達した奇妙な世界を旅することになる。目的は別の修道院の院長宛の手紙を届けること。はじめてのおつかいみたいなものなのだけど、この旅路が、彼女の人生を振り返り、そして信仰がすっかり失せてしまうまでを、ゲームの仕組みを使って語っていく。とてもメタフィクショナルな造りのゲームだ。 インディカの頭のなかにはサタンがいて、インディカを常に誘惑する。だが、その誘惑は、この陰鬱で巨大な世界において、神様を信じるよりも現実的でもっともらしい。この世界では宗教が大きな力を持っている。また、語られることはないが、ステージに現れる巨大な造形物たちはどうしてもソ連や共産主義システムを思わせる。工場のなかで平等に働いているはずなのに、どうして工場ばかりが巨大で立派で、労働者は寄生虫の如くそこに張り付いていかなければならないのか(途中、インディカはマルクスの肖像画にもお祈りをする場面がある。意識的な演出だろう)。 現在のシーンは写実的に威圧的に描かれる一方、インディカがどうして修道院に入ることになったのかは、2Dのピクセルアートのゲームとして描かれる。描写力が上がり、世界の解像度が上がった現在のシーンでは、世界が陰鬱で巨大で、インディカのような若者には到底太刀打ちできないものとして描かれている。ただ、インディカには子どもの頃の名残として、ゲームのように日々の勤めを行い、そのポイントが貯まっていくような感覚が残っている。それだけは、この写実的な世界になっても残っている。 このことがひどく残酷だ、と思う。 INDIKAの旅路は、ボーイミーツガールあり、バイクアクションあり、謎解きありの大冒険なのだけど、これが結末だというのならあんまりなゲームだ。すべては神様の計画のうち? じゃあ、こんな風になったことも計画のうちなのか。ゲームは選択肢も分岐もなく、リニアに進み、まるで運命みたいに自由な意思も関係ないまま、ほんとうに酷いところに堕ちる。最後まで一緒にいてくれるのはサタンだけだ。