雨のそぼ降る裏路地、赤黒い男が明滅するネオンに照らされ、濡れた街路に長い影を落とす。
忍装束であった。頭巾に覆われた目元は殺意を湛え、鋭く輝いている。口元を覆うメンポには剣呑な書体で、「忍殺」の二文字が刻まれている。
――噂は届いていた。ニンジャを殺すニンジャ。無所属のノラ=ニンジャであるテレスコは、総身の毛が逆立つのを感じた。
逃げる。不可能だ。戦う。ありえない。ブザマに命を乞う。どれほどの効果があるものか。
影が動く。緩慢に、しかし無駄の無い動作で、しなやかに両の掌が合わさる。
「ドーモ…」
終わりだ。今やこのネオサイタマでは、こそこそと小銭を稼ぎながら暮らすことすら許されない。
もしも生き延びられれば、すぐに田舎に引き籠もり、ゲームでもしていよう――テレスコは深く息を呑み、目を瞑った。思わず合わせた手が、アイサツの為か祈りの為かは、もはや分からない。震えている事だけが確かだ。
「…ニンジャスレイヤーです」
(「ゴーティ・オブ・ユアーズ」に続く)