このゲームを購入する予定はありませんでした。
年末に遊ぶ新作ゲームを探していたところ、見覚えのある名前を発見。
誰だっけなあ。この名前、どこかで見た気がするんだけど……。
調べました。調べてしまいました。
高校二年の夏。
yourGOTYの趣旨と違うので具体的なタイトルは避けますが、私はとあるゲームをプレイしました。
それは深く強く、私のなかに刻みこまれた作品の一つとなりました。
見覚えのある名前は当然、そのゲームのシナリオライター、その人。
やりたい。あの作品のライターの方が手掛けたものなら、きっと素晴らしい作品に違いない。
いや、しかし、プレイできるのか……?
高校生当時のあの夏、私は大変苦しみました。
美しいゲーム体験に感動しました。
登場人物たちの辿る道に思いを馳せました。
それを遥かに上回る虚無感に囚われ、結末の在り方について考え続けました。
無気力に、ただひたすらに、作品のことを反芻していました。
自分があの長い夏の間をどうやって生活していたのか、ゲームのこと以外何も思い出せないほどです。
あれ以来、何度あのゲームを再プレイしたいと思っても、あのときに抱えていた苦しみを思い出して、手が出ませんでした。
……それでも、買ってしまいました。
たまたま出会えたのは、このゲームをやれという思し召しでしょうから。
このレビューを書いている現在、まだゲームをクリアできていません。
クリア後の精神状態がどうなっているか分からないためです。
そのため、クリア後の総括まではお話しできません。
ストーリーは架空の新宿が舞台。
命の価値があまりにも低いその街で葬儀屋として働く男は不死身の肉体と、幽霊の声が聞こえるという能力を持っています。
パートナーである幽霊の少女とともに暮らしながら、能力を得るに至った経緯を探っています。
ゲームの形式としては一般的なノベルゲーム。
あの当時と同様に美しい文章と、場面に合致した音楽が流れ、わずかに立ち絵が変化する。たまにスチルが差し込まれる。
はっきり言って、特に目新しいものは何もありません。
しかし、それがこのライターの方が手掛ける作品の素晴らしいところなのかもしれません。
ああ、果たしてこの作品はどういった結末を迎えるのか。そのときの私はどうなってしまうのか。
楽しみで、……いや、不安で仕方ありません。
――え、GOTYじゃないじゃないかですって?
いえいえ、そんなことはありません。
ゲームプレイ前からこんなに悩める作品もそうないでしょう。
このホラゲー評判いいけど、怖いの苦手だしなぁ……。大丈夫かなぁ……。延々と悩んでプレイする。
そんな感覚に近いのかもしれませんね。
本作品に限らず、この方の他作品もお勧めです。
気になる方はぜひ調べてみてください。
私の夏の思い出となっているあの作品も多くの方にやって貰いたいと今でも思っています。
責任は――取れません。