アルタは無敗の戦士だった。
勝ち続けることが全て。傲慢な彼女は勝つ事で自分を証明し続ける。
だが、その人生初めての敗北を経験し、今までの自分が音を立てて崩れていく。
鍛錬を積んでも強くなれない。そこから続くさらなる敗北。どれだけ頑張っても勝てない。
アルタは自分でも気づかない内に心は磨耗し、燃え尽き、剣すら重くて握れなくなっていた。
そんなアルタ迷い辿り着いたのが、森の奥にあるティーハウス。このティーハウスは、“限界に近い人たち”が迷い込む場所だ。
そこを営むのは、大柄でマイペースで、やたらとゆるい男・ボロ。
アルタの事を終始「お嬢さん」と呼ぶ彼にふんわりと誘導され、流れのままにアルタは店を手伝うことになる。
やることはシンプル。でも面倒くさい。
水を汲み、沸かし、茶葉を測り、抽出して、注ぐ。
効率化ゼロ。近道はない。急かされることもゼロ。
注文と違っていたら作り直す。それだけ。罰もない。
アルタの他にも、迷いたどり着いた客たちがふらっと訪れる。皆、自分では気づいていないだけで、心がもう限界寸前の客達。ただ一杯のお茶に救われ、お茶を飲み干した客は、心の窓がふっと開いたみたいに最初は隠していた本音をぽつり、ぽつりと零し始める。
気づけば自分の本心に辿り着き、そしてまた森へ帰っていく。
アルタは、そのすべてを見守る。
Wanderstop は“お茶”を通じて心を見つめ直す物語だ。
焦らなくていい、急がなくていい、強くなくていい。
ただ、自分のままでいる時間を取り戻すゲーム。
ゆっくりとした時間が流れるたび、アルタの心も、プレイヤーの心も、少しずつ温まっていく。そんな、静かで優しくて、気づけば深呼吸してしまうような一作だ。
個人的にダレカレをプレイした後に、このワンダーストップに触れて欲しい。