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猫とスープ

Game of the Year 2023
びわまま さん
ハーヴェステラ
2023年9月、私は悩んでいました。 仕事や育児が少し落ち着いて、約6年ぶりに新ハードとしてswitchを買い、念願のブレワイをクリアしたという状況。さあ次はそのままティアキンへ…!のはずだったんですが。 初めてのオープンワールドゲームを120時間遊んだ私は、大満足しつつも疲れていました。 「オープンワールドの大作を2本連続は無理!」 次に遊ぶゲームは ①ある程度一本道 ②単純作業も楽しくて、 ③でもストーリーは歯ごたえがあるのがいいな というわがままな希望をドンピシャで叶えてくれたのが、たまたまセールで出会ったこのハーヴェステラでした。 ハーヴェステラは、スクエニの新規IPゲームで、対応ハードはswitchとsteam。そのジャンルは「生活シュミレーションRPG」。ダンジョンを攻略してメインストーリーを進めていくパートと、農作物や動物の世話をする生活パートがあります。イメージとしては、ルーンファクトリーが近いでしょうか。 これをスクエニが出したんです。 ええ、あのスクエニです。 このゲームで特筆すべきは、まずは何よりもストーリー。私の勝手な偏見ですが、農作業をするゲームって、ストーリーはライトな感じで、恋愛や結婚に重きが置かれたゲームが多いと思っていました。このゲームは違います。スクエニですから。 舞台は『シーズライト』という、不思議な力を使って生活を営む世界。そのシーズライトの異常により、『死季』という、農作物が枯れ、人は死に至る病気になるという異常事態が発生しており、主人公はまずその問題を解決しようとします。 それが、気がつけば、タイムディザスターに巻き込まれた少女を中心にしたSFファンタジーに華麗にシフト。「人間とはなにか」「なぜ生きているのか」という哲学的な問を矢継ぎ早に投げかけてくるのです。 風呂敷の拡げ方は全く違うものの、それはどこのクロノ・トリガー?どこのゼノギアス? そうなんです。 こんにちは、あの頃のスクウェア。 君にここで会えるなんて。 このストーリーラインの巧みさは、いきなり壮大な物語にいくのではなく、あくまでもスタート地点が生活にあること。死季という、個々人の生活を害する身近な問題がスタート地点であること。それが日々の農作業とも違和感なく溶け込んでいきます。 また、ゲームシステムとしても農業が上手く組み込まれています。 このゲームの回復アイテムは、およそ日々の収穫物と、主人公が家のキッチンで行う料理のみ。自分で作物をとって、飯を作って、それを携えて冒険に行く。この生活と探索が地続きになっている感じがとても良いのです。 また、牧場系ゲームによくある1日の時間・活動制限。これがダンジョン攻略にも適用されて、真夜中になると倒れて強制帰還になってしまったり、スタミナが切れると戦闘も収穫もそれ以上できなくなったりと、ほどよい制約となり、ゲーム性を高めてくれています。 キャラも良いんです。パーティーメンバーは、皆それぞれが自分の仕事を持っていて、ダンジョン攻略時に集まるというシステム。各キャラのクエストがなんとそれぞれ10章も用意されていて、それぞれの過去やメインストーリーのその後を追うことができます。 なお、牧場系あるあるの結婚システムはクリア後のお楽しみ程度ですが存在します。男女誰でもパートナーにできるのがありがたい。ちなみに私は悩みすぎてまだ選べていません。みんな魅力的なんだもん。 そしてこれだけは言いたい。 音楽が、とにかく、いいんです! 音楽担当の椎名豪さんは、テイルズシリーズやゴッドイーターシリーズ、はたまたアニメ鬼滅の刃まで担当されている方とのこと。そりゃこのクオリティだわ!と膝を打ちます。音楽がいいと、ゲーム世界への没入感が違いますよね。音楽の良さは、ハーヴェステラの世界にどっぷり浸かってほしいと、そういうスクエニさんからのメッセージなのでしょう。おかげさまで、どっぷり浸かりすぎてプレイ時間90時間まできちゃいました。 総じて、新規IPとしては高いレベルにあり、日々の生活もダンジョン攻略も十分楽しめるゲームだと思います。牧場系ゲームが好き、かつ、歯ごたえのあるストーリーが好き、という方には全力でオススメです。 ただこのハーヴェステラ、発売当初の評判があまりよろしくなかったようで…。生活面と冒険面の2つのバランスが、牧場系ゲームを求める人たちの期待と齟齬があったようです。私のプレイ経験からしても、牧場経営が目的ではなく、メインストーリーのために農作業をすることが多かったです。その農作業も楽しいんですが、それ単体では物足りなかったのかもしれません。 でも、ハーヴェステラはハーヴェステラとして見てほしい。これだけ重厚なストーリーを、畑仕事をしながら楽しめるゲームは、類まれです。 新規IPでここまでのタイトルを作り上げたスクエニに拍手を。 そして、最後に。 私がこの長文を書いた理由はただひとつ。 次回作がほしいからです。 スクエニさん、ハーヴェステラ2、お願いします!!!