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Game of the Year 2025
夏川🥊🐯 さん
ときめきメモリアル Girl's Side 4th Heart
プロローグ【という名の茶番】 「去年のYourGOTYレビューで気になったゲーム、Steamのセールで買っちゃった!今年はこれ全部やるぞ〜」 2025年の春、わたしはSteamのライブラリを眺めながら今年のゲームライフを思い描いていた。 「そういえば、昨日やってた好きなYouTuberさんのゲーム配信めちゃくちゃ面白かったな〜!初めて見るゲームだったけど、チャット欄は異様に盛り上がってたし、わたしも息できないくらい笑ったな〜。よし、アーカイブ見直そう」 そうしてYouTubeを再生し始めたところ…、 「うわ!PCの画面が光って…何!?」 気がつくと、わたしは知らない部屋で倒れていた。 デスクや壁に大量に並べていた推しグッズも、数年前にデスクトップPCを買って以来ちまちま構築していた作業環境もない。 あれは…制服?でもわたしが通ってた学校の制服の10倍かわいい。ほんとに今どういう状況なんだ? とりあえず起き上がり、手に持ってたスマホの画面を見て目を疑った。 「2021年4月4日…?」 さらにGPSをオンにして地図アプリで現在地を確かめる。 「……はばたき市??」 瞬間、脳内に自分のものではない記憶が流れ込んできた。 『わたし、藤原ナツ*! この春からはばたき学園に通うことになった高校新一年生。 今日はこれから、高校生活で必要なものを買いに行くところだったんだ!早く支度しなきゃ!』 *デフォルトではなく筆者が命名した名前です。 間違いない。 ここ、配信で見た『ときめきメモリアル Girl's Side 4th Heart』の世界だ!!! かくしてわたしは、勉強に部活にバイト、もちろん恋にも大忙しな高校生活を何度もループすることになるのであった―― * * * 本レビューは転生ものの体裁でお送りします。 ネタバレおよび実際のゲーム内容を筆者が勝手に補完したエピソードを含みます。 億が一どこかで本レビューを紹介される場合は抜粋を強くおすすめします。 * * * 第一話【右も左もわからねぇ!助けて!先人の知恵】 ということで高校生・藤原ナツとして3年間を過ごすことになったが、入学早々最初の1週間は異常なレベルで濃厚だった。 イギリスから帰国したての幼なじみと9年ぶりに再会し、担任の先生が初日から教頭にしごかれ、いきなりわたしを「マリィ」と呼んできたキラキラ双子の姉妹と友達になり、教頭からスキンシップレッスンなるコンプライアンス的にギリアウトな指南を受け、世界的ファッションデザイナーという肩書きがなければほぼ不審者なおじさんから情報誌の記者に任命された。 チュートリアルに相当するイベントとはいえ、主人公補正などという一言で片付けてはいけない展開である。 しかしそんなことに圧倒されてる場合ではない。 ハッピーエンディングを掴むためには、この高校3年間で己を高めつつ気になる人と親密にならねば。 たくさんいる男子のなかから、わたしが最初に気になったのは柊夜ノ介くん。 学校では生徒会の仕事をしているいっぽう、劇団の座長も務めている子だ。 CVがいまの最推しキャラと同じという、かなり邪な理由で近づくことにした。 まずはとりあえず毎週更新される星座占いを参考にしつつ、足りないパラメータを上げることに専念した。勉強運がいい週は勉強を、健康運がいい週は運動を…あれ?行楽運と恋愛運がいいときって何すればいいの? つまずいた点はまだある。 休日になると服を買いに行けるのだが、何を選べばいいのか迷ってしまう。 というのも、キュートやナチュラルなどファッション属性が存在するのだが、どんなテイストのコーデが出来上がるのかは買って家で着てみるまでわからないのだ。 一応、夜ノ介くんはシック系が好きという情報は友達から聞き出しているが、いざそれっぽいアイテムを揃えてコーデを組んだらナチュラルになってしまった…なんてことが続き頭を抱えた。 そしてこれはわたしの短所が最大に出てしまっている点だが、いざ電話で遊びに誘おうとしても日和って何もできなくなる。 リアルでも電話はかけるのもかけられるのも苦手で、仕事で電話応対をした日には、どんなにカスカスな結果だろうと「今日は頑張った!」と思わないと精神が保たない。 「おいおい、たかがゲームだろ?もっと気楽にいけや」と思われるかもしれないが、相手は劇団の座長やぞ?「こっちの都合で1週間前とかに予定を入れさせるのは身勝手なんじゃないか?」とか「断られたのに次の週にまた誘うなんて厚かましいにも程があるんじゃ…」などと気にするのは自然なことじゃろがい。 やっとの思いで電話ができたのが7月、初回デートはなんと花火大会である。ヤバイ女と思われなかったかいまだに恐怖している。 そんなわけで、パラメータ上げもデートもままならず、時間だけがズルズルと進んでいってしまっていた。 あまりに何もわからないまま3年間が終わるのは嫌すぎる! そう思い、1年目の年末直前にある手段に出た。 テテーン! >>先輩マリィ作・虎の巻(有志による攻略サイト)~!<< わたしが参考にしたものは、知りたいことがしっかり整頓された状態でまとめられているうえに、ネタバレにも配慮されていて本当にありがたかった。特にファッションについてはほぼノーヒントで辛かったので感謝してもしきれない。 そんな先人の助けの甲斐あって、1年目の年度末あたりから、わたしの恋路はなんとか軌道に乗ってきた。 もちろん完全に成り行きまかせで行動していくのもアリだろう。そのうち人生をロールプレイしている感覚で3年間を過ごしてみようと思っている。 第二話【デレ特別警報は突然に… -精神がもたない夜-】 「ナツさん」 1周目・2年目の秋のある日、不意に夜ノ介くんからそう呼ばれた。 (あれ?さっきまで『藤原さん』呼びだったのに) 「できるだけ自然にしたつもりですが……どうかな?」 「え!?うん、いいよいいよ!!」 GS4をプレイした経験のある方ならおわかりだろう。 好感度が「好き」(上から2番目)に上がったのである! こうなると諸々の風向きが変わってくる。 「ナツさん。今度の日曜日、空いてますか?」 まず夜ノ介くんのほうからデートに誘ってくるようになる。電話するたびになけなしの勇気を振りしぼった甲斐があったぞ。 「あ、もちろん空いてるよ!」 「誘いに応じてもらえるって、こんなに嬉しいものなんですね」 そうだよ!!! わたしも今までお誘いにOKしてもらったとき、毎回同じ気持ちを噛みしめてたんだよ! デート当日も様子が変わる。 そろそろ帰る時間かなーとそわそわしていると、夜ノ介くんが口を開いた。 「この後、まだ時間はありますか?」 え、延長戦? それまではそのまま自宅に送り届けられていたのに。 「大丈夫だけど…なぁに?」 「じゃあ、もう少し一緒にいましょう」 一緒にいられる時間が増えるのはシンプルに嬉しくなる。わたしたちの関係もここまできたのか。 行き先の大半は海かホタルの住処だったんだけど、そこでいろいろ突っ込んだ話をしたね。 お掃除ロボットとの対決が起きそうになった話とかいまだに心に引っかかってるよ。 で、極め付けがその延長戦で時折触り放題タイム、その名も大接近モードが起こるようになる。 最初のほうで一瞬言及したスキンシップが、なんとデートの帰り道で好きなだけできてしまう時間が発生しちゃうのだ。しかも想像以上にじっくりと。 「それ具体的に何してんのさ」と聞かれそうだが、正直わたしにもよくわからないため想像におまかせしますとしか言いようがない(というかどういう時間なんだとさえ思っている)。 ひとつだけ言えるとすれば、ヤバイ。最中ももちろんだが、それ以上に終わったあとの会話がとんでもなくて何度か呼吸が止まった。 ちなみに夜ノ介くんの大接近モードがGS4中トップクラスのヤバさであることを知るのは、また別の話である。 それからなんだかんだあって卒業式の日、夜ノ介くんは教会まで迎えに来てくれた。 詳しくは伏せるが、3年目に彼がとある事件を乗り越える様子を横で見ていたこともあって、ちょっと泣いちゃった。 めでたしめでたし… いや、これからが本番やぞ! 第三話【全方向ヒロインの事件簿 -こんなの聞いてないですわ〜!-】 冒頭で「高校生活を何度もループする」と述べたが、わたしはこの3年間を8回繰り返している。 学校行事のような大きなイベントは一緒だが、その詳細や日常での出来事はループごとに少しずつ異なっていて、結果的に毎回違う味わいの高校生活を体験できていたと思う。 ???「でも毎回別の男子のルートを攻略してるのなら、違うストーリーが見られるのは当然じゃない?」 違うんです。 本命の人といないときに事件が起こるんです。 例えば2周目。 このときは知的好奇心の擬人化こと本多くんと、友達カップルのような関係を育んでいた。 1周目に迷走したことやうっかり爆弾をつけてしまったことなどを反省し、パラメータも好感度も着実に上げられるように行動、なんのハードルもなく結ばれるだろうと確信していた。 3年目の9月までは。 「ちょっとしんどいな…でも次の日曜に10時間寝るって決めてるから頑張らないと…」 3年目の夏休み明けから少し経ったある日、わたしは屋上で小休憩を取っていた。風に吹かれていると、誰かから声をかけられた。 「こら」 「あ、七ツ森くん」 七ツ森くんというのは同級生のひとりである。じつは人気モデルであることを隠しているらしいが、わたしはうっかりそれを見抜いてしまったため口止めをされている。 「あ、じゃなくて…顔色、めちゃくちゃ悪いじゃないか」 「へへ…元々顔色ないタイプでして」 そんな風に他愛のない会話をしていたと思ったら、なんと七ツ森くんがおでこをくっつけてきた。 「!?!?」 「熱は……ないな」 …なんでぇ?? 補足すると、2周目では本多くん以外の男子には全くといっていいほどアプローチをしていない。にもかかわらずこんなことが起きてしまったため大混乱。 でも寝たらなんでも忘れる才能に秀でているわたしなので、一晩寝たらこの衝撃も落ち着くだろうと思いながら眠りについた。 翌朝目覚めた瞬間、鮮明に思い出してしまった。 フェスや推しのイベントでもそんなことにならないのに! これで終われば一時の気の迷いかなとも思えるが、数日後追い討ちのごとくデートの誘いが来てしまった。 本多くんに悪いよと思ったけれども断れなかった。助けてくれ。 さらに数日後、本多くんと七ツ森くんと学食に行くことになるという事案が発生した。きっとこのときのわたしの笑顔は引きつっていたに違いない。修羅場になんなくてよかった。 (ちなみに七ツ森くんについては3周目に本命として追いかけました。3年目のクリスマスに推定95デシベルの大声を上げたのはいい思い出です) 一例を挙げてみたが、正直これも氷山の一角にすぎない。 これ以外にも何かしら予想していなかった事件が発生するため、一筋縄ではいかせてもらえない展開も面白味を含んでいたと思う。ヒロインはツライぜ。 エピローグ【という名のまとめとお詫び】 そんなこんなでループから一旦戻ってきたいま、このレビューを書いている。 以上の様子のおかしさからわかる通り、わたしの2025年は女子高生のロールプレイに没入する一年であった。 現時点で文字数が去年の投稿の数倍に膨れ上がってしまっているが、これでも泣く泣く割愛した出来事が山ほどある。もうちょっとコンパクトにまとめられなかったのか。 ここまでであえて詳しく触れなかったポイントがある。それは「掘り下げがいのある人物像」だ。 最初に登場人物の肩書やざっくりしたキャラ紹介だけ見たら、ダンガンロンパ並みに超人だらけだ。こんなメンツと釣り合う恋愛ができるのかよと思われるかもしれない。 しかしどの人物も、何気ない発言や節々で起こるイベントを見る度に、第一印象だけではわからない「この人はこういう人格なんや」という面がだんだん見えてくるのだ。 その積み重ねを繰り返すことで、わたしにとって彼らがどんどん血の通った存在のように感じられていく様はたまらなかった。 詳細はレビューの体をなさないオタク語りと化してしまうため、こればっかりは実際にプレイして見てみてほしい。 さらにわたしはまだ全体の6分の1くらいしかエンディングを見ていない。近いうちに次のループをしに行く予定だ。 じつはこれまでの人生、わたしは乙女ゲームというジャンルをプレイすることがほとんどなかった。 高校生だった2010年前後、乙女ゲームにどハマりしていた友人が何人もいた。ゲーム内容で刺さったポイントを教えてもらったり、ドラマCDを借りて聴いたことも何度かあった。しかし当時の乙女ゲームの主戦場であったPSPを持っていなかったことに加え、その頃のわたしはゲームより漫画作品のほうに夢中だったこともあり、このまま乙女ゲームにはハマることはないだろうなと思いながら生きていた。 ではなぜそんなわたしが、ビッグタイトルやドカンとバズった話題作、そしてSwitch2発売という特大トピックを全部差し置いて、ときメモGS4を今年のYourGOTYに選んだのか? 狂わされたから!!! だって恋もYourGOTYも落ちるものですもの!! 余談だが、その後取り憑かれたような勢いで過去のGSシリーズもすべて遊んだ。 GS3は6周、GS1とGS2は爆弾処理と恋敵の対応が大変で1周ずつしかできていないが、どれもGS4とは空気感が全く違うので興味があれば過去作も遊んでみてほしい。「GS4の男子はみんな人間性が出来上がりすぎている!」と感じた人なら尚更だ。 特にGS3に関しては、衝撃的な展開に何度も情緒をかき乱され、GS4とどちらをGOTYにするか延々迷うレベルの良作だった。システムもGS4と近いのでとっつきやすいと思う。 最後までお付き合いいただき、誠に申し訳ございませんでした。 部門賞は普通のレビューを書きます。 ちなみに昨年のレビューを読んで買ったゲームたちには何一つ手をつけていません。重ねてお詫び申し上げます。 たったひとつのゲームで今年のゲーム予定を崩壊させ、己のオタク人生の軌道を45°変えてしまった人間の有り様をどうか嗤ってください。 ご清聴ありがとうございました。