GRISの最大の魅力は、何といっても魅力的な映像表現にあります。
キャラクター造形はシンプルでありながらどこか神秘的で、余計なものを徹底的に削ぎ落としているので、想像力をかきたててくれます。
色使いも非常に繊細で、各ステージに設定されたテーマカラーが過度に主張しないバランスはお見事。
また、ステージの合間に挟まれるカットシーンは抽象的でありながら、こちらの胸の奥を揺さぶる力を持っています。
物語はあえて説明を排しており、それがまた効果的です。
おそらく「喪失と再生」を描いた物語なのだろうと思いますが、失恋なのか、死別なのか、あるいはもっと別の何かなのか――その解釈はプレイヤーごとに委ねられますので、十人いれば十通りのGRISという物語があると思います。
音楽も素晴らしく、探索パートでは神秘的に、怪物との対峙では恐ろしく、シーンごとに印象的な表情を見せてくれます。
後半のステージで登場する彼女の歌を使った謎解きでは、やさしく透明感のある声が物語のクライマックスを予感させてくれるように響きます。
パズルを解いているだけなのに、少し目が潤んでしまいました。
プレイ時間は短めですが、その中に他では得難い体験がぎゅっと詰まっています。しかも手に取りやすい価格。
GRISは、静かに、優しく降る雨のように、心を洗ってくれる作品になりました。