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Game of the Year 2022
ジョン@営農とサブカル さん
ポケットモンスター バイオレット
親になってから初めて触ることになったポケットモンスター。 まさか40歳手前で、わざタイプの相性表を暗記することになるとは思っていなかった。まだクリアはほど遠い状況だが、妻と娘とたのしくゲームが出来ている。 6歳の娘でも軽く進めることもできるし、いきなり高レベル帯に挑戦もできる。 やり込む気はあんまりしないが、良いバランスのゲームだなと思う。オープンワールドゲームにありがちなバグやラグが多いのはご愛嬌。 オープンワールドのおかげでポケットモンスターの世界を歩き回れて、野生のポケモンの生態を見られるのがとても興味深い。草ポケモンには葉脈が走り、ドラゴンポケモンは爬虫類の目の動きをする、ゴーストタイプは夜にしか現れず、大発生する時間も種類も生態に沿っている。一体一体、「いきもの」としての生態を付与しようと努力しているところが、ポケモンのサファリパークを作ろうとしている感じがして素晴らしい。 「ポケモンを食べるなんてとんでもない!」という描写が徹底しているアニメと違い、ゲームは「ポケモンを食べる」世界だ。それをあっけからんと出してるのも好感が持てる。例えばマケンカニの説明に「パエリアの具材として使われる」とあるがピクニックの材料では漠然とシーフードとなっていて、むやみにやたらに強調しないのがほど良い。 そして、緑と赤の頃からの宿痾である「ポケモンを戦闘させる遊びと、それを生業とするトレーナーの倫理」については、今作はちょっとチャレンジングなことをしているように思う。 今作には、「ネモ」という同級生がライバルとして登場する。ネット上では、ハンター✖️ハンターのヒソカのように扱われてるポケモンバトルジャンキーだ。 彼女は、ポケモンバトルに憑かれているため、ポケモンを数で認識したり、育てている量が多い。進めていくと「この娘、なにか、おかしい」というのがはっきりと分かってくる。 系統にはっきりとした愛着のあるジムリーダーや不良たちと違い、彼女は節操なく、ポケモンを使いこなす。 きっと、彼女のボックスには、面倒も見られず放置されたポケモンや卵が何百体といる。ポケモンにニックネームもつけず、種族名で呼んでいるに違いない。現実でいうなら、犬を「イヌ」とよび、複数の犬を番号で区別しているようなサイコパスしぐさをしてるはずだ。 彼女のふるまいは、言ってしまえば過去作で操作してきたようなポケモンマスターやチャンピオンを目指すプレイヤーの振る舞いとまったく同じだ。 本来、あの世界の住人はポケモンに愛着をもち、少ない数しか面倒を見ない、というかみれないのが普通なのだ。道行くポケモントレーナーの持ちポケモンが少ないのはそのためだ。 ポケモンをモノのように扱える、考えられる人間だけがチャンピオンになっていく世界なのだ。 そういった、プレイヤーの異常性を見せる鏡として、あんなポップな活発女子キャラを出してきたあたり、任天堂の底意地の悪さを感じられて素晴らしい。 ネモの異常さを際立たせることによって「彼女のような人ばかりではない」としたのはうまいなと思う。 また、彼女との対比で出てくる学友のペパーは、たった一体のポケモンの病気を治すために、各地のスパイスを探して回っていて、プレイヤーと共闘として強大なヌシポケモンに挑んでいく。 ネモと比べるとなんと健気なことか。娘には、ペパーのような面倒みきれるポケモンを大事にする子に育ってほしいなとゲームをしながら思う。 お子様向けーなゲームな感じはするものの、大人がやればジュブナイルとして楽しめるし、子どもに向けた配慮もされていて親子で始めるRPGとしてとても良い作品なので、わたしのGOTYになりました。