今年のGOTYは迷いに迷った。
正直ハード問わず多数の有力候補があったが、悩んだ結果私は『ドンキーコング バナンザ』にGOTYの座を譲ることにした(誰目線?)
まず、このゲームは新規プレイヤーに向けているのは当然として、完全にスーパードンキーコング世代も狙い撃ちにしている。
SFCであの衝撃をリアルタイムで体験した身としては、序盤の数分で「見た目は全然違うけどこれは紛れもなくドンキーコングだ」と確信した。
あの独特の重量感とか、探索していて何かを発見する時のあの“ちょっとした高揚感”とか、ジャングルの色味や空気感とか、プレイしていて何度もニヤリとした。
それでいて、中身は完全に現代のゲーム。
特に“破壊”と“探索”がここまで自然にゲーム体験として組み込まれているのがすごい。
壁を殴って壊す、床の下を覗き込む、怪しい場所に物を投げてみる──SFC時代にやっていた行動が、今はそのまま“新しいルート”や“意外な発見”につながるようにデザインされている。
懐かしさで引っ張るんじゃなくて、昔の遊び方を現代の自由度でちゃんとアップデートしてくれている。
これはシリーズの「続編」としてよりも、「再定義」に近い感覚だった。
ネタバレになるので具体的な言及は避けるが、終盤の展開は本当に胸が熱くなった。
そしてこれがGOTYの決定打になったと言って差し支えないだろう。
露骨に懐古に寄らず、でも確実にスーパードンキーコング世代に刺さるように作られている。このさじ加減は本当に見事だった。
技術的な進化はもちろん感じるが、それ以上に“あの頃のワクワクする気持ち”を、ごく自然に、しかも最新の形で返してくれたという意味で特別だった。
スーパードンキーコング世代にとって、この作品の刺さり方はちょっとレベルが違うと思う。
懐かしさよりも、“今だからこそできる進化”でとどめを刺してきた一本。
ドンキーコングバナンザ、最高でした。