私は奇声をあげた。
子供の頃にディスクの裏面が擦れて真っ白になるまで遊んだあのRPGが、現代のハードでまた遊べるなんて。
リマスターが発表された瞬間の私は産まれた赤子のように泣きじゃくり、顔は老人の安らかな最期のようであった。
生と死を内包する、いわばビッグバンと呼ぶに相応しい姿だったのかもしれない。
サガフロンティア2には
2つのゲームが入っているのをご存知だろうか。
「ギュスターヴ13世」と
「ウィルナイツ」である。
ギュスターヴ13世から説明させて欲しい。ギュスターヴ13世とは何か。
大河ドラマでも、銀河英雄伝説でも、ガンダムでもいい。
あなたの人生で一番だと思った巨編を思い浮かべて欲しい。
それがギュスターヴ13世なのだ。
いま貴方が思い浮かべた好きで好きで堪らない物語。そこにでてくる人々に対して貴方は様々な思いを抱いたであろう。
賛同、拒絶、尊敬、畏怖、その他もろもろ。
それをもう一度、やるのだ。
ここでサプライズ。ネタバレをしよう。
ギュスターヴ13世は産まれる。そして死ぬ。彼には仲間がいる。そいつらも死ぬ。
女が出てくる。死ぬ。家族も出てくる。死ぬ。ライバルがいる。死ぬ。
そう、ごくごく自然なことだ。我々はいつか死ぬのだから。
このゲーム、結果は全て見えている。
「もしも」はない。
我々はこのゲームという歴史の中で生きた人々に立ち会うことだけ。
ギュスターヴ13世の波乱に満ちた人生や、周りの人間たちの美しくも醜い、感情。
それらを真正面から受け止め、咀嚼せねばならない。
それがギュスターヴ13世なのだ。
変わってウィルナイツ。このゲームは何か。
彼もまた歴史の中の1人だ。
先程のギュスターヴ13世が「感情との対峙」であるならば。
ウィルナイツは「希望」である。
なぜか。
彼の人生だけは「ネタバレ」がされていないからだ。
ウィルナイツは死ぬの?
周りの人間は?
ライバルは?ヒロインは?
ギュスターヴ13世との関係は?
自分から言えることは何も無い。
そしてゲームを始めるにあたって、貴方にはある選択をしてもらうことになる。
それはゲームそのもの変えてしまう、大きな大きな決断だ。
紹介したふたつのゲームを、どちらから、どうやって進めるのか?
全ての歴史を理解した上でウィルナイツという希望を読み解くのか。
未知の大陸に身を投じ、その都度やってくる歴史の門を力いっぱい開くのか。
この世界の「サガ」はたった今、
貴方に委ねられた。