何かと賛否両論が渦巻く『The Last of Us Part II』。
私は前作『The Last of Us Part I』をプレイした後、
数年が経過してから、PlayStationのゲームカタログに追加されたことをきっかけにプレイを始めた。
実は、事前にプレイ動画を見ていた妻からは「内容がつらすぎるからやらないほうがいいよ」と助言されていた。
しかし、その忠告が、逆に私の「このゲームを自分で体験したい」という強い動機付けになった。
物語は前作から数年後からスタートするが、
プレイを進めるうちに、前作の主人公であるジョエルとエリーの関係が複雑で微妙な状態にあることが伺えた。
また、プレイヤーの視点が同年代のキャラクターであるアビーと入れ替わったり、
頻繁に過去の回想が挟まれたりと、物語の理解が一時的に難しくなることもあった。
しかし、この視点の入れ替わりこそが、本作の最も優れている点であり、
同時にゲームのテーマを深く、重くしている核の部分だと思う。
本作の『Remastered』版では、キャラクターの微細な表情、
髪の質感といった描写の進化が目覚ましく、登場人物の複雑な心情が鮮明に伝わってきた。
他のゲームではムービーで済ませてしまうようなところも、
あえてプレイヤーに操作させることでキャラクターへの深い感情移入を生み出す、
このゲームの「すごいところ」だと思う。
思わずコントローラーを手放してしまいたくなるほど、
衝撃的でつらいシーンが随所にあった。
また、物語の途中で挟まれるギター演奏シーンも、本作の没入感を高める重要な仕掛けの一つだ。
プレイヤーはPS5のコントローラーの中央のタッチパッドを弦に見立てて実際に操作することができ、
ジョエルやエリーの感情を込めた演奏を追体験できる。この一見シンプルな仕掛けが、
物語のクライマックスにおいて、失ったものの大きさを静かに突きつける需要な役目を果たすことになる。
本作『The Last of Us Part II』のテーマを調べると、
「復讐の連鎖とその虚しさ」、「憎しみが生む新たな憎しみ」、そして「相互理解」等のワードが出てくる。
これらのテーマは重々しく感じられるが、実際にゲームをプレイすることで、
その本質を理解し、自分自身の貴重な「体験」として深く刻み込まれることになったと思う。
最後にこのゲームは、私にとって単なるフィクションとして終わらせたくない、非常に価値のある作品となった。