【「かわせっ!」「ゆけっ、モンスターボール!」が出来るアクションゲーム】

 それまでRPGであったポケモンにアクション要素を加えた意欲作。

 360度見渡せる広大なフィールドを走り回り、「モンスターボールを投げてポケモンを捕まえる」というポケモン世界お馴染みの流れを実際にできるというのはとても新鮮でした。

 単純に面と向かって投げるだけでは捕まえられず、草むらの中を屈んで進み「ポケモンの警戒度」を低くしてボールを投げると捕獲率が上がるといったスニーキングが要求されます。

 しかし難易度自体はそれほど高くなく、落ち着いてゆっくり背後を取ってボールを投げれば大丈夫、という優しい作りになっていました(ターゲットを固定することができるので細かなエイムも必要ありません)。

 物語を進めていくと、暴走したキング/クイーンという特別なポケモン達と戦うことになるのですが、彼らの攻撃を避けつつシズメダマと呼ばれる道具を投げる、シューティングアクションが始まります。
 キングごとに攻撃方法も様々で、フィールド上でしていた静かなスニーキングとはうって変わった激しい攻防はとても爽快感がありました。

 ある程度ひるませれば従来通り味方のポケモンと戦わせることも出来、勝負に勝てばキングがスタンしてシズメダマひとつのダメージが上がるという恩恵もあるので、プレイヤーのやりたい方法が取れるというのも好印象でした。

 ちなみにシズメダマのみでも倒しきることは可能なので、私はもっぱら素早く回避しながら地道に狙い打つ、ゴリゴリのシューティングアクションを楽しんでいました。

【ポケモンと大自然に対する畏怖】

 ゲーム性について説明しましたが、次は世界観について。

 先ほどポケモンの警戒度と書きましたが、ここにもポケモンが大事にしている世界観と絡めたスニーキングの必要性が示されていたと思います。

 舞台は過去作「ポケットモンスターダイヤモンド/パール」の数百年前。まだ人とポケモンが心を通わせきれていない、開拓の時代です。

 人はポケモンを恐れ、野生のポケモンは人を見つけると攻撃性を露わにして、突進やハイドロポンプ、サイコキネシスなど強力な技を生身の人間に放ってきます。

 攻撃を食らうとプレイヤーはしっかりダメージを受け、大体2~3回で力尽きて拠点に戻されてしまいます(気を失うだけですぐ再出発できるとは、やはりポケモン世界の人々はたくましい……)。

 その恐怖はすさまじく、それまで過去作を遊んでいて可愛い相棒的存在として慣れ親しんでいたポケモンを「畏怖するべき存在」として見るようになります。

 時に攻撃を回避しながら慎重に動くというプレイヤーの行動と物語内でそれをする理由がしっかりリンクしているため、その世界で実際に生きているような深い没入感を味わうことが出来ました。

 何より自分の背丈の2倍以上のポケモン達に全力で追いかけられる様は純粋に怖かったです。大自然を舐めたらダメだなと実感出来ました。

【ポケモンと駆け回れる世界への挑戦】

 そして近年のポケモンはオープンワールド、オープンフィールドで遊べるゲームに力を入れているようで、この「アルセウス」の前作「ソード/シールド」の「ワイルドエリア」に始まり、それを経て2022年冬に発売された最新作「スカーレット/バイオレット」は全てのマップがひとつなぎになった完全オープンワールドになりました。

 周囲を見ればポケモン達が群れをなしている。時に襲われることもありますし、人懐っこいポケモンは近づいて愛想を振り撒いてくれる。

 その世界で生きている存在としてしっかり表現されており、元々ポケモンは大好きでしたが彼らにまだまだこんな一面があったのかと驚かせられました。

 特に今作は本編作品群の過去を描いた話でもあるため、この地方には昔こんなポケモンが存在してたのか、と想像を膨らませてくれる作品となっています。

 RPGに留まらず、アクションという新たなジャンルでポケモンの新たな可能性を見せてくれた挑戦的な作品として、今後もぜひシリーズ化してほしいと思えるタイトルだと思います。
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