「OPUS」シリーズの3作目にして、ボリュームやビジュアルなどが過去作から大幅に強化された本作は大まかに、シナリオを進めるテキストパート⇔キャラクター操作や宇宙空間を移動する探索パートというサイクルで、ここに宇宙船での移動に必要となる燃料やそれを購入する資金をやりくりするリソース管理の要素がアクセント的に絡んでくる。といっても探索パートの難易度は高いわけでもなく、リソース管理にしてもリスクゼロの救済要素も用意されているので、あくまでノベルゲームが主軸と言える内容だ。実際、本作のストロングポイントは東洋風なビジュアルの数々に感情を揺さぶる音楽、そしてこのシリーズが最も得意とする苦さと温かみの両立したストーリーで、それらの組み合わせで表出される全体の雰囲気が凄くいい。そして広大な宇宙を旅する世界観に対して、物語は次第にメインキャラクター3人の過去=内面に降りていく展開となっており、『ゼロ・グラビティ』『インターステラー』『ファースト・マン』『アド・アストラ』など2010年代に流行したリアル志向の宇宙SF映画に近い感触を覚える(『インターステラー』からの影響は開発者も公言している)。

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正確には「CrossfireX スペクトル作戦」。韓国のデベロッパー、スマイルゲートが展開する「クロスファイア」シリーズの新作だが、シングルキャンペーンはフィンランドの会社で「Alan Wake」「CONTROL」など世界観やストーリーに定評のあるRemedy Entertainmentが手掛けるという、少し変わった座組でリリースされた。そんな2つあるシングルキャンペーンの片方である「スペクトル作戦」は、ボリュームとしてはそれほど無くゲームプレイもこのジャンルで想像されるイメージから全く外れないものの、私がFPSに求める「外連味あふれる演出」がふんだんに取り入れられていたことが嬉しかった。特に近年はハードの高性能化によりグラフィックのリアルさが高まるにつれ、シナリオ方面も生々しさを打ち出すものが増えたように思える。それはそれで面白くもあるのだけど、一方でFPS黄金期のようなゲームが減った(そもそもシングルキャンペーンを実装すること自体少なくなってきた)のは寂しかっただけに、本作の派手さ重視な演出の数々は大真面目に往年のミリタリーシューターをやりきる清々しさが気持ちよかった。

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ポケモンシリーズの面白さとは何だろう。対戦の奥深さ、ポケモンや人間らキャラクターの魅力など思いつくことは多くあるが、その原点は「世界の中でポケモンを捕まえる」というコンセプトではないか。話は逸れるが2021年のゴールデン・ジョイスティック・アワードにて選考された「Ultimate Game of All Time」の選出過程で、「スペースインベーダー」「テトリス」「スーパーマリオ64」「Cod4 MW」「GTA5」ら錚々たる作品群に並んでポケモンシリーズから選ばれたのは「ポケモンGO」だった(ちなみに受賞は「ダークソウル」)。これはもちろんARゲームという概念を爆発的に人口に膾炙した功績もあるだろうけれど、前述のコンセプトを最もはっきりと打ち出したタイトルだったからではないかと想像してしまう(なにせ現実世界を実際に歩き回ってポケモンを探すことになるのだから)。前置きが長くなったが今年リリースされた本編シリーズで「アルセウス」の方に軍配を上げるのは、アクション要素や広めのオープンなフィールドなどを導入したことによって、このコンセプトを上手くゲームに落とし込めていると感じられたからだ。フィールドを歩く。様々な生態を見せるポケモンが現れる。初めてこのシリーズを遊んだときの感動が蘇ったようだった。

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