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Game of the Year 2024
たけお🎙️軽量級ゲーマーラジオ さん
ペルソナ3 リロード
幾度、この物語の結末を見たことだろう。 ペルソナ3は2006年にPS2オリジナル版が発売され、以降PSPリマスター版やマンガ、舞台、映画などといったメディアミックスが多く展開されている。シリーズのファンである私はその大多数に触れてきた。そのため、ストーリーのエンディングとそれに至るまでの経緯までを、かなり明確に覚えている。 にも関わらず、オリジナル版のリメイク作品であるペルソナ3リロードをプレイした一番の感想は、ストーリーが最高であったことだ。本当に良かった。そう感じるのは、この作品の映像表現や演出がとても素晴らしかったからだ。 映像表現として特筆するのは、ムービーのクオリティの高さである。ムービーには、テレビアニメのような2Dアニメーションと、ゲーム中で操作するキャラクターモデルが躍動する3Dアニメーションがある。要所にこれらが差し込まれることで、物語はより豊かに彩られていく。 特に良かった点は、これらのムービー間でキャラクターの表情差がほとんどないことだ。オリジナル版では、ゲームハードの性能上、2Dアニメと3Dアニメのキャラクター間で表情がどうしても異なるように見えていた。レトロゲームになじみのあるプレイヤーなら、パッケージや説明書のイラストをもとにキャラクターの表情を補完することは、当然の慣れ親しんだ行為かもしれない。ただ本作では、イベント中にムービーが切り替わっても、確かに同じ面立ちのキャラクターたちが物語を織りなしているのだ。 補完に割いていた頭のリソースは解放され、私がよく知り得たストーリーにも、さらにどっぷりと浸れた要因であった。 演出面では、本作から追加された仲間とのエピソードが、物語への没入感を加速させている。ペルソナ3以降のシリーズには、コミュシステムと呼ばれるものがある。主人公は物語に登場する様々な人たちと関係を築くことができ、交流を深める対象には仲間キャラクターも含まれている。 オリジナル版では、主人公と異性の仲間キャラクターと交流することができた。一方で、主人公と同性の仲間キャラクターはこのシステムの対象ではなかった。彼らとの交流はメインストーリーで語られるのみだったのだ。 そういった背景から、ペルソナ3は仲間同士の関係性が薄いストーリー、というのが語り草になっていた、と私は感じている。そんな評価を払拭するように、本作では仲間全員、一人一人に対して、特別なエピソードが追加されている。 この追加エピソードによって、物語の結末へ至る過程には仲間たちと過ごす日常が確かにあったこと、それがより鮮明に、色濃く演出されている。非日常を駆けるのが主体だからこそ、この演出は本当に良いスパイスだったと感じている。 また、エピソードの内容によっては、展開済のペルソナ3派生作品とリンクしているものもあり、シリーズ間の整合性やつながりを感じるものとなっていた。ファンであればクスッとほくそ笑むようなものも含まれており、非常に満足できる追加要素であった。 令和の時代に再装填された本作のストーリーは、最新ハードの性能を十二分に生かした映像表現と演出を引っ提げて、18年前の平成の時代に生まれた作品をより細部まで、鮮やかに語るものとなった。往年のペルソナシリーズファンはもちろん、普段RPGを好んでプレイする方、少年少女の青春や葛藤を描くジュブナイルストーリーに目がない方には一押しのタイトルだ。 魅力的なキャラクターたちが紡ぐストーリーの結末は、ぜひあなたの目で確かめてみてほしい。 ところで、私はこのゲーム、ひいてはこのペルソナシリーズの音楽が、とても好みである。 ライブイベントがあれば欠かさずチケットを購入するぐらいには、とてもとても好みである。 その音楽の良さについても語りたい。 が、楽曲の良さを形容する語彙や文章表現を、私は持ち得ていない。 それらをしまう引き出しが壊れている。 いやむしろ、引き出しなんて最初からなかったのかもしれない。 ゆえに、是非、是非に検索して視聴してほしい。 Spotifyで「アトラスサウンドチーム」と検索すれば、とても幸せな空間があなたを待っている。 これを最後に力強く推させていただきたい。