「話を聞こう。その前に一杯どうかな?」
生きていれば誰かに話を聞いてもらいたい日もある。
もしくは誰かの話に耳を傾けたくなる時も。
必要なのはゆっくりくつろげる場所と温かい飲み物、
あと無口でお喋りな店主がいれば十分だ。
異なる種族が共存する現実のような異世界。
雨ばかりが降るどこかで見たような街、シアトル。
そこには深夜にしか開いていないカフェがある。
メニューはコーヒーやお茶などの飲み物のみ。
おきまりの酒はおろか軽食すら置いていない。
それでもこの場所には夜な夜な多くの人がやってくる。
単純じゃない喜怒哀楽と、ままならない人生を携えて。
このゲームでプレイヤーは店のマスターとなり、客に飲み物をサーブしながら話に華を咲かせる。
たわいもない内容から人生の岐路になるようなものまで、その話題は事欠かない。
基本的にはその行く末を見守るだけだが、もしかするとささいなことがきっかけで運命は大きく変わっていくかもしれない。
例えばあなたの出す飲み物…とかね。
そうそう。店の主人たるもの、お客さんたちの忘れ物にも気をつけなければならない。
ちゃんと渡さねば。
そう…ちゃんと。
ゆっくりとした雰囲気と群像劇。
ローファイヒップホップを中心とした浮遊感のあるBGM。
飲み物を入れたり材料を切ったりするときの小気味良いSE。
ゲームだからこそ組み込める演出がふんだんにありつつ、一冊の本をじっくりと読み進めるかのような深みがある。
そんな「体験」が数時間程度にぎゅっと詰まっているのだ。
前作の物語を知ってるか知らないか、個人的にそれは大した問題じゃないと思う。
先入観なしで彼ら彼女らと出会うのも、また格別な体験になることであろう。
長文失礼しました。
このレビューを読んでさり、心より感謝いたします。
まだ味わったことがないのでしたら
この機会に一杯、いかがですか?