小出和明のGOTY
GAME OF THE YEAR
Gran Turismo7
小出和明のGOTY
GAME OF THE YEAR
Gran Turismo7

GAME OF THE YEAR
Gran Turismo7
初代グランツーリスモに触れたとき、わたしは戸惑いました。

アクセルは押しっぱなし。
曲がる時はジャンプしてドリフト。
アイテムを使えば、最下位からも成り上がれる!
そんなレースゲームの鉄則が全て通用しないのですから。

私は多分、ゲームに「手応え」を求めていないのです。
いっときの快楽を貪るように、自分が主人公になってバッタバッタと敵を切りつける。
そんな妄想に浸れればいいとすら思います。

スピードを出しすぎて、ブレーキをかけなければすぐコースアウト。
常に同じ軌跡を描くようにコーナーを何周も曲がる作業なんて、まるで主人公らしくない。リアルすぎるんです。

そんな自分が、知り合いから勧められ購入したのがグランツーリスモ7でした。

「コースを、雑談しながら走ろう」
そんな友人の誘いに、少し興味が湧きました。

ニュルブルクリンクという、実在するサーキットがあります。生活道路と地続きにあるという不思議なそのサーキットを走りながら、さまざまな話をしました。
近況や、最近やった面白いゲーム。見た映画。
プロでも一周6分かかるコースなので、本当にドライブツーリングをしているような心持ちです。

話が尽きなければ、そのままもう一周。
ちょっとスピードを出してみようかな、ともう一周。
そのうちに、体がコースを覚え始めました。

一周14分が、12分。
12分が11分。
徐々に、コーナーの位置を覚える。
ストレートでスピードを出していいところを理解していく。
そしてなにより「ここは実際に在る場所」であることも、なんだかワクワクとする要因でした。
プロのレーサーが走る場所を走り、徐々にだけれど、プロに近付いて行っている実感の面白さ。

雑談がコースの攻略の話になるころには、もう夢中になっていました。
翌日に買ったハンドルコントローラーのおかげで、貯めに貯めた電気店のポイントが0になりましたが、後悔は全くありません。
ハンドルコントローラーから伝わる、コーナーでグリップするタイヤの手応えを感じながら、いつの間にか9分を切れるように。
フィードバックされる感触が、より自分をプロレーサーに近づけてくれます。

私は、バッタバッタと敵を切り付ける主人公の妄想が好きですが、同時に、レーサーのごっこ遊びももちろん好きだったわけです。

弱い四十も過ぎれば、新しい自分の興味や興奮に諦めが出てきます。
まだ、世界は面白い。そう気づかせてくれた、グランツーリスモこそ、私のGOTYに相応しい一作だと感じています。
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