【弐瓶勉風近未来サイバーパンクmeetsバイオハザードwithクトゥルフ神話】

プレイヤーはレプリカ(量産型のアンドロイド)のエルスターとなって、未知の感染症によって荒廃した施設シェルピンスキーを探索し、捜し人であるゲシュタルト(人間)のアリーナ・ソウの行方を追う。
シェルピンスキーでは感染症によって死から蘇ったレプリカが徘徊しており、パズルや鍵付き扉といった仕掛けで行く道が塞がれている。
プレイヤーは銃器、治療キットといったアイテムを駆使しながらこれらの障害を排除あるいは回避し、ゲームを進めていく。(wiki引用)

見下ろし型の3Dとも2Dドットとも言えないけれどどこか懐かしいグラフィックデザイン。
バイオハザードを踏襲したアイテム所持制限や弾薬数制限により常に焦燥と恐怖が混在するホラー要素。
物語は謎に包まれ、時折現れるメッセージにはこの世に存在しない筈の奇書の引用が散りばめられる。
不可解が不可解を呼び、物語が先へ進めば進むほどその難解さは増していく。
フレーバーテキストと割り切れば意味を理解する事なく、謎を謎のままクリア出来てしまう物語ではあるが、ひとたび物語を理解しようと足を踏み込めばその深さにゾッとする作りになっているのがこの作品SIGNALISだ。

考察含めどっぷりハマらせて頂いた傑作アクションホラーADV。
毎日画面のスクリーンショットからこの文章ってなんの文章だ?アンブローズ・ピアスのカルコサの住人か、とかラブクラフトのネクロノミコンの引用か、とか。
ヨハネの黙示録とか、ロバートWチャンバースの黄衣の王とか。
わからなければネットで探す、見つける、買って読む。
進むにつれてどんどん読む本が増えていく。
そして様々な本を読み進めれば進めるほど物語を深く理解できている気がして。
より深く探れる様に、より深く潜れるように、新たに得た知識を酸素に深海に潜って宝を探す様な、それは新しいゲーム体験だった。
ゲームの進め方(敵を何体殺したか?銃を何発撃ったか?扉を何枚開けたか?何分そこに留まったか?など、プレイスタイル)によってエンディングが変わるというのも、条件を聞くまで全くわからず聞いてから大分困惑したが。
知りたいよぉ、わかりたいよぉ、これなんなんだよぉという言葉がプレイしながら、メモを取りながら何度口をついた事か。
見た事実と調べた事実だけをゲーム後に紙に書き出していく。
物語を想像する。
この時間が自分がゲームをしてる理由なのかな、と感じさせてくれる。

このゲームの持つ魅力は沢山あるけれど、語られきらない謎と想像の余地を残したストーリーライン、登場人物の関係性、時間軸。
その全てを読み解きたいと願うプレイヤーの知的好奇心と想像力が、作者の意図しない新しい物語を生むのではないか、という期待感。
それがこのゲームの強みで、他を寄せ付けない魅力になっている様に思う。
この作品は日本からは本当に少ないが、海外から多くのファンアートが流れてくる。
その多くがそれぞれが考えたオリジナルレプリカの新しい物語だ。
こうやってプレイヤーが作者の想像を超えていく。
そういう余地を本当に素晴らしく思う。
ラブクラフトが作ったクトゥルフ神話をロバートEハワードら多くの作家が様々な新しい物語で肉付けした様に、多くの想像力がSIGNALISの新しい物語を今産み続けている。
自分もこの物語の全てに納得したいと感じたプレイヤーの1人としてこの謎に満ちた世界を楽しませて頂いた事に深く感謝申し上げたい。
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