RTSの対戦要素を、ターン制の4Xゲームに落とし込んだような印象を受ける作品。

舞台は、人類が異星からの影響で滅亡した後の世界。ポストアポカリプス系の4Xストラテジーとして、荒廃した地球を舞台に展開されます。
ゲームの焦点は戦闘にあり、すべての勢力が力で支配を目指す、まさに「大戦略」といえる内容です。

プレイヤーは、人類勢力、サイボーグ化した新たな人類勢力、異星の力を取り込んだ勢力など、計7つの勢力から1つを選び、地球の覇権を争います。
軍事力を駆使して他勢力を排除することが基本目標です。侵略や外交を通じて、自勢力の優位を築く戦略が求められます。

特徴的なのは、4Xゲームとしては珍しい「監視」行動が戦闘システムに組み込まれている点です。これにより、敵のターン中に射程内に入った敵に先制攻撃を仕掛けることが可能です。たとえば、森林地帯にユニットを隠し、待ち伏せ攻撃を行うといった防衛戦術が非常に有効となります。

AIも非常に賢く、勝ち目がないと判断すると戦力を温存し、有利な場面では積極的に攻めてきます。
4Xの戦略要素と戦術シミュレーションが融合した、ユニークなゲーム体験を提供してくれる作品です。

★★★★★★★
以下は終盤のネタバレを含む、特に良かった点です。

勝利条件は「同盟国以外の全勢力を滅ぼすこと」という、やや単調に思える内容ではありますが、大乱闘のような世界大戦イベントが発生し、非常に盛り上がります。このイベントは、戦略ゲーム特有の「形勢が確定した後のダレる時間」を巧みに回避しており、エンディングに向けたカタルシスがしっかりと感じられる構成が素晴らしいと感じました。

一方で、悪い点として挙げられるのは、途中で優勢な派閥に乗り換えられる仕様です。これにより、勝利達成の価値がやや薄れてしまう印象があります。
もし勝利条件に独自性や厳しさが加われば、達成感がさらに高まるのではないかと感じました。

また、この仕組みは、ゲーム勝利そのものよりも、マルチエンディングによる多様な物語体験を重視する方向性に向けられると、より魅力的になると思います。他のファンタジーやSF系タイトルにも応用することで、幅広いプレイヤー層を惹きつける可能性があると感じました。

『ZEPHON』は、戦略ゲームの新しい形を示す一作と言えると思います。
今後の進化に大いに期待したい作品です。
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