やはりゲームとの出会いにも「縁」というものがあります。

いつもの自分なら絶対に楽しめるであろうゲームが些細なタイミングのズレで楽しめないまま不完全燃焼で終わってしまったり、数年前にプレイしてなんとも思わなかったゲームを改めてプレイしてみたら思いの外、心の深いところに刺さってしまった、みたいな経験はありませんか?

近年稀に見るゲームの大作・傑作ラッシュになった2023年、私の心に一番深く刺さったのは15年前に携帯電話用(スマートフォンじゃないよ!)のRPGとして発売されたこのゲームでした。2022年にSwitchとSteamにベタ移植されています。

新約ラストバイブルシリーズは女神転生シリーズの派生作であるラストバイブルシリーズの系譜にある作品です。新約とありますが、ラストバイブル2と新約ラストバイブル2にストーリー上の繋がりは全くありません。携帯電話で展開された新約ラストバイブルシリーズの2作目です。ややこしいですね。

ゲームシステムはオーソドックスなオールドスタイルRPGといえますが、女神転生シリーズお約束の悪魔合体はキッチリ入っています。また当時の携帯電話用ゲームとしてはかなりシステムが親切で遊びやすく、適度に寄り道要素も散りばめられています。ゲームバランスは少々大味ですが、コンパクトな昔ながらのRPGを遊びたい気分の人にはちょうど良い大きさです。

そしてこのゲームの一番の特徴はストーリーです。シンプルなドット絵で展開されるそのストーリーは陰鬱そのもの。この解像度でなければとても見ていられない辛い描写がひたすら続きます。

それもそのはず、実はこの作品は仏教でいう「四苦八苦」がモチーフとして取り上げられていて、「生きる上で決して逃れられない苦しみとどう向き合うか」をゲーム中ずっと突きつけてくるのです。

星全体に広がる疫病に苦しむ人たちは死の恐怖を和らげるために宗教の教えに縋り、痛みを和らげる代わりに思考を麻痺させる薬を飲んで苦しみから逃れようとします。主人公達が苦労して救い出した人々が、救い出されたことによってまた別の苦しみに囚われることすらあります。主人公達のキャラややりとりは底抜けに明るいのですがそんなものでは中和できない暗さです。

また、ゲーム終盤で現れる大いなる存在はこの星の人々を救済するために皆殺しにしますねみたいなことを言ってくるのですが、この手のボスの言い分にほんの少しでも心が揺れるのは初めての体験でした。

実は私のプライベートでは、ここ一、二年辛いことが立て続けに起こり、継続的に心が苦しみ続けていまして、そんな中でプレイした新約ラストバイブル2。生きることは苦しい。その苦しみからは逃れられない。じゃあどうする?
とにかくそのテーマが刺さる刺さる。

正直に言ってしまえば2023年に遊んだゲームでこれより楽しんだゲームはたくさんあります。今年は本当に豊作でしたね。でも2023年私の心の一番近くに寄り添ったゲームはこれです。ならばこのゲームが私の2023年のGOTYなんだと思います。

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